エコカーは必ずしもエコノミーではない


ホンダのインサイトが好調な売れ行きだ。外観はまるでプリウスとの評価もなんのその、本家のトヨタは焦って新型プリウスにおいて大きな値下げを行なったらしい。しかし高級感(というか、見た目の剛性)がなくなって、おもちゃのように薄っぺらく見えて、魅力的ではなくなった。

ハイブリッド車のウリはなんといっても燃費。インサイトの燃費は1リットル当たり30km/ℓ、プリウスは38/ℓ、ちなみにフィットは24km/ℓ(10・15モード)。

実際の町乗りでは、カタログ値より低くなる。

ちなみに私のフィットのカタログ値は20km/リットルだが、実際の燃費を計算してみる。

通勤路は片道約20km、週5日で往復200km、土日の出勤や買い物やドライブを考慮すると、ひと月で840kmくらいかな。年間の走行量は10000kmくらいなのでちょうど計算があう。月に2回30数リットルずつ給油しているので60リットル必要で、そうすると燃費は14kmで、カタログ値の70%となる。

この比率をインサイトに適用する(ハイブリッドなので異なるとは思うけど)と燃費は21km

年間10000km走行するとして、フィットは714ℓ、インサイトは476リットル、なんと238リットルも少ないガソリンで走行することができる。1リットル115円として、27370円!

いや、ちょっと、まて。

たった27370円しかガソリン代は得にならないとは?

インサイトとフィットの価格差は2~30万円くらいだろうか。インサイト購入時は税金が安くなったり補助金があったり優遇されるので、その価格差はいくぶん少なくなるとしても、ガソリン代は年間で2万7千円しか安くならない。

3年車検時に元が取れて、それ以上乗り続けると割安感がある、とすると購入から車検まで、購入費とガソリン代以外の維持費の差は82110円でなければならない。

なのに、一番安いインサイト(G)は、189万円、対して一番安いフィット(G)は120万円、一番高いフィット(RS-4WD)でも179万円。

一番安いインサイトを買うなら、一番高いフィットを買っても経済的にはそれほど変わらず、むしろ内装や足回りを楽しむことができるということかもしれない。

車体価格が高いということは、製造コストが高いということだが、ガソリン車にはない部品が多用されていることを考えると、その時点であまりエコでないともいえる。ハイブリッド車が普及していくと部品も安くなって、車両価格はもっと安くなるのだろうか。販売戦略的にはこれ以上安くならないだろうな。



以前、初代インサイトが出たときか、シビックのハイブリッドが出たときに、ホンダの営業が、ハイブリッドでエコを目指すより、エンジンそのものの燃費を向上させるほうが環境負荷を抑えることができると言っていたのを思い出した。そのときは、さすがエンジンのホンダ、排ガス規制も最初に乗り切ったはホンダでしたね、でも、そうは言ってもハイブリッドつくらないとホンダの立つ瀬がないでしょう、と返答したような気がする。

フィットはなかなか気にっている。初代フィットの硬めの足回りが気持ちいい。通勤時でも早朝などの空いている時間帯に、信号待ちがあまりなかったりすると、簡易燃費計が19kmを示すこともある。先日は18.6kmを記録した。

主の浮気心を知ってか、まだまだインサイトには負けないぞ、と主張しているよう様な気がした。


木 - 5 月 28, 2009   03:36 午前