グノーの歌劇《ファウスト》より「宝石の歌」


「宝石の歌」をYouTubeで検索をかけると、名だたるソプラノ歌手の動画がたくさんアップされているではないか。すごいね、YouTube。数年前に全曲聴くのを諦めた理由は、CDがあまり発売されていない有名でないオペラだと思ったからだけど、自分で勝手にそう思い込んでいただけのことがよく分った。とにかく、今はたくさんの「宝石の歌」を聴くことができることに感謝。

しかも、なんと、全曲をYouTubeで、簡単に聴く(観る)ことができるのには驚いた。この程度で驚いていてはいけない。すでに、ヴェルディの《リゴレット》の名演(1987年のパルマ公演) もYouTubeで発見しているのだし、TV版『オペラ座の怪人』があるくらいなんだから。

オランジュ音楽祭 2008年(インヴァ・ムーラ)
Gounod Faust Alagna, Mula, Pape, Lapointe, Cond Plasson Act I
Gounod Faust Alagna, Mula, Pape, Lapointe, Cond Plasson Act II
Gounod Faust Alagna, Mula, Pape, Lapointe, Cond Plasson Act III
Gounod Faust Alagna, Mula, Pape, Lapointe, Cond Plasson Act IV
Gounod Faust Alagna, Mula, Pape, Lapointe, Cond Plasson Act V

コベントガーデン王立歌劇場2004年(アンジェラ・ゲオルギュー)
Opera "Faust". Сounod. 1/17


全曲聴くのは後回しにして、まず「宝石の歌」(Oh Dieu! Que de bijoux)を聴いてみる。あらためて驚いたのは、このオペラはフランス語の作品だということである。ゲーテの原作がドイツ語だから、てっきりドイツ語だと思っていたは間違いだった。そして、このフランス語の発音がまた魅力の一つ。ビゼーの《カルメン》もそうだが、フランス語の美しさと音楽のとりあわせの妙がとても心地よいときがある。くっきりはっきり軽快かつリズミカルに発する言葉とオーケストラの掛け合いが見事にハマったら最高の「宝石の歌」になることがわかった。

「宝石の歌」は、ほんとうにたくさんの動画があるが、そのような理由で、ロスアンヘレスが一番気に入った。ロスアンヘレスは、クリュイタンス指揮パリオペラ座管弦楽団(1958年録音)でも歌っていて、名盤の誉れが高い(オペラ「ファウスト」(グノー作曲)の音楽改訂の経緯などについて )。YouTubeではその演奏家どうか分らないが、プチプチとノイズの入るのが時代を感じさせてくれる。

ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス(スクラッチノイズがはいるので音源はLPかな)
victoria de los angeles gounod-faust "un bouquet!...jewel song "o dieu! que de bijoux!"


ロスアンヘレスのマルガレータ役の評については、「ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス マルグリート録音 」に一覧表がある。が、次の演奏に関しては記載されていない。

ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス(1949年ワルター・ジュスキント指揮フィルハーモニア管弦楽団)
Victoria de los Angeles. Faust. Gounod.


新しいところでは2009年のインヴァ・ムーラが気に入った。つい最近《リゴレット》にハマってしまってムーラを知った私としては、2001年のベローナ野外劇場での《リゴレット》 がとても印象的。とくにSi Vandetta のヌッチとの二重唱 は、力強くてとてもいい。YouTubeでの「宝石の歌」はライブ映像が多いが、ムーラのCDを聴いたときは新鮮だった。ライブより新しい録音なのに発音は断然美しい。ライブ音源はどれもフランス語の発音の歯切れが悪い。ムーラもライブではそれほど良くない。2008年のは映像音声ともに綺麗だけど、歌は2006年のほうがいい。

インヴァ・ムーラ(2009年、イヴォ・リパノヴィツ(指揮ザグレブ・フィルハーモニー管弦楽団)
Inva Mula - Ah, je ris (Air des bijoux)

インヴァ・ムーラ(2006)
Jewel Song - Faust Contest - Inva Mula

インヴァ・ムーラ(2008年オランジュ音楽祭)
Inva Mula "Jewel Song" Faust - Orange 2008


TV版『オペラ座の怪人』の中でも「宝石の歌」を歌っていた(1:48あたりから)。これは吹き替えだと思うけど、実際に歌っている歌手は誰だろう?それに関する資料が見つからない。
The Phantom of the Opera 19/21 (1990 Kopit ver.)

いろいろ聴いてみて思ったけど、マルガレーテの声はやや金属的な声のほうが適してるのかもしれない。
気になった動画を以下にまとめて表示。

レナータ・スコットはNHKホールのこけら落とし公演だそうだ。最高の歌手陣に加えて上演に際していろいろな省略をしていないなど、映像化された《ファウスト》としては傑作との評価が多いようだ。

ルネ・フレミングの歌い方がいいけど、全体に迫力がありすぎる気がする。もっと可憐さや清純さを感じ取りたい。

最後に、当日のピアノ伴奏に慣れる為に、ピアノ伴奏のものを一つ選んでみたが、これがなかなかいい。


レナータ・スコット(1973年東京NHKホール)
Air des Bijoux - Renata Scotto (Marguerite, Faust)

ミレッラ・フレーニ(1977)
Mirella Freni "Oh Dieu! que de bijoux" Faust

ルネ・フレミング(1997年メトロポリタン歌劇場)
Oh Dieu! Que de bijoux. Jewel Song. (Faust) Renee Fleming live at the Met 1997

アンナ・ネトレプコ(2003年ジャナンドレア・ノセダ指揮ウィーンフィル)
Anna Netrebko: Jewel Song (Air des bijoux) Faust by Gounod

アンジェラ・ゲオルギュー(2004年コベントガーデン王立歌劇場)
Angela Gheorghiu "Oh Dieu! que de bijoux" Faust

マリーナ・ポプラフスカヤ(2011年メトロポリタン歌劇場)
Marina Poplavskaya - Ballade du Roi de Thule...Air de bijoux (Met 2011)

Natalie Donnelly
L'air des Bijoux / The Jewel Song from Gounod's Faust







木 - 1月 26, 2012   05:26 午前         |