ワーグナーの楽劇《ワルキューレ》を聴き始めたらポニョとつながった《ワルキューレ》は、ワーグナーの楽劇《ニーベルングの指環》の一部。《指環》とか《リング》とか略して呼ばれているこの楽劇は、《ラインの黄金》《ワルキューレ》《ジークフリート》《神々の黄昏》の4つの楽劇から構成される長大な作品。上演に4日かかるが、毎年バイロイト音楽祭で上演される。
それぞれの楽劇は独立して上演されることが多く、一部は管弦楽だけでも演奏されている。
だから楽劇全体は聴いたことがなくても、管弦楽曲としてのワーグナーはよく聴いていた。レーグナー指揮の「ジークフリート牧歌」は愛聴している。 コッポラ監督の映画「地獄の黙示録」で「ワルキューレの騎行」が使われたのは有名。実は、そのシーンが頭から離れない。嫌な印象をもっている。(同様に、キューブリック監督の映画「時計じかけのオレンジ」を見た後はしばらくベートーヴェンの第九が聴けなかった。) しかし、先日バイロイト音楽祭のボックスCDを買って、まずは管弦楽として有名な部分を聴き、楽劇全体としては《ローエングリン》を数回聴いた後、《トリスタンとイゾルデ》を聴きはじめて、ワーグナーの楽劇にハマってしまった。 《トリスタンとイゾルデ》は、ネットであらすじを調べてから聞いていた。だから「愛の死」では、おもわず涙が出てきたりする(「前奏曲」はレーグナーの演奏をよく聴いたが、「愛の死」は知らなかった。) 《ローエングリン》は、ある程度話を知っていたので、とりあえずすんなり聴けた。 でも《リング》は全く知らなかった。それでもまずは《ラインの黄金》をかけっぱなしにして聴いていた。「前奏曲」を聴いていたから、親しみやすいかった。何度か聴いたのちに《ワルキューレ》を最初から順番に聴き始めた。 そこで、先日、ようやく《ラインの黄金》と《ワルキューレ》のあらすじを調べてみた。とりあえずウィキペディア。 それにしてもあまりにも無知な私。映画「ロードオブザリング」を観るまでは、「指環物語」と「ニーベルングの指環」は同じ話と思っていた。映画をみたあと「指環物語」は読んだが、《リング》にはいっさい関わらなかった。 実は次男の晃志は、ジークフリートについて詳しい。北欧神話についてよく知っている。私は、晃志ほど知らない。ちょっと恥ずかしい。 あらためて《リング》を調べてみて、ライン川の川底で見つけた黄金から作られた指環にまつわる神話物語だったと知る。《リング》もやはりファンタジーの世界だった。違うと言うこことが分かっても、川底と指環の取り合いとなると、やっぱり「指環物語」と似ているじゃないかと思ってしまう。ヨーロッパのひとは、呪いの指環が好きなんだ。 《ラインの黄金》は、指環を横取りしたヴォータンだが、指環には呪いがかけられていたので止むなく手放したものの、やっぱり取り戻したいヴォータンの話。 《ワルキューレ》は《ラインの黄金》以降、遠大な指環奪還計画を練ったヴォータンが、その計画の欠陥に気づき、娘ブリュンヒルデにジークムントを死にいたらしむように命じる。しかしブリュンヒルデは父の命に背いてしまう。怒りに溢れたヴォータンは父娘の縁を切り、ブリュンヒルデを魔の炎で取り囲む。しかし救済策は打っておいたので、次回作《ジークフリート》においてブリュンヒルデは救われることを暗示して終わる。なお、ブリュンヒルデはワルキューレの一人で、ワルキューレは天馬に乗って、戦死した勇者をワルハラ城(ヴォータンの城)に連れてくる役目を担っていた。 とりあえず、ここまで知って、ブリュンヒルデに聞き覚えがあるような気がしてたら、ウィキの「ヴァルキューレ」の項目に次のように書いてあった。 「崖の上のポニョ」の登場人物ポニョの本当の名前はブリュンヒルデである。また、映画では「ヴァルキューレの騎行」が使用されている。 そうそう、ブリュンヒルデって、どうしてそんな変なドイツ名をつけるのだろうと思ったら、ワルキューレがベースにあったということか。 しかしポニョが津波に乗ってくるときの音楽は「ワルキューレの騎行」に似てたけど、ワルキューレの騎行だったっけ? ちがったように思う。ワルキューレと似ているが、明らかに別の曲だった。あれは、著作権がらみの金儲け主義におちっいったジブリ特有のペテンだ。 それにしてもワキューレは死者を連れ去るもので、舞台選出でも死者のイメージが強いらしい。それをポニョが陸にあがってくるときに使うのはいったどういう意図なのか。 と思って調べてみると、まず、あの曲は「引用」とのこと。 引用? 引用とは、オリジナルのメロディを数小節だけ使うことじゃないの? それってキダタロウ作曲の「アホの坂田」と一緒のいいわけ? (これについては下記ブログ記事が詳しい。まったく同感) キダ・タロー作曲『アホの坂田』とメキシコ民謡の関係 -著作物の引用とは しかし、どうして「ポニョ」が「ワルキューレ」なのかについては、下記ブログ記事も同じ疑問。 ぽん太のみちくさ精神科: 【映画】なんでワルキューレなの?「崖の上のポニョ」 ここ で「ポニョの飛行」を試聴できるそうなので、これが「ワルキューレの騎行」の引用かどうか判断してほしい。 あまり深読みせずに、北欧神話とポニョとの関連を語っているブログもある さくらの映画スイッチ: 宮崎駿監督 ポニョのことば このくらい割り切ってみたほうが楽しいかもしれない。 さてさて、こうしてみると、さらに《ワルキューレ》を聴き込んで、物語の続きとして《ジークフリート》と《神々の黄昏》を知りたくなった。 |
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カレンダ
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Total entries in this category: Published On: 1 月 24, 2010 01:09 午後 |