トランペットの音色を人の歌声のように


以前に佐渡裕のヤングピープルズコンサートに原朋直がゲスト出演したとき、どんな音を出したいかという佐渡の問いに原は、人が歌うようにと言っていたように思う。

トランペットの音が人の声のように聴こえのるだろうかと疑ったが、原朋直の音は、本当に柔らかくて、まさに人が発声しているかのような感じだった。

トランペットの音色は、どちらかというと攻撃的、戦闘的なイメージが濃いので、穏やかで柔らかい音が聴こえてきた時は意外だった。
まるでフリューゲルホルン、でも単にトランペットのスレンダーな感じが残っている音だった。

ひょっとしてジャズトランペットの目指す音は似ているのだろうか。

昔、タモリがトランペットを習いはじめてTVで演奏を披露していたころ、息を押し出すような吹き方が気になったけど、音色は柔らかくて、上達するにつれて澄んだ音になっていった。ジャズが好きなタモリの友人である日野皓正に習っていたと言っていたと思う。あの柔らかい音は、マウスピースを強く押し付けてしまうと出ない。初心者はつい強く押し付けてしまって無理に音を出そうしがちだが、習い始めにマウスピースの当て方を正しく教わると、きれいな音がでるようになるという見本のように思ったものだ。

音を聞いて楽器を当てる場合、ほとんど最初のアタック音で判別するという。ロングトーンの出だし部分を削除して、途中から聴かせると、楽器を判別するのが難しいらしい。アタック音にさえ注意すれば、楽器の音色は、音域を別として、同じような音になるということだろう。

ということは、楽器が奏でる人の声、というは、ひょっとしてどの楽器にも共通して、究極の音色なのかもしれない。


月 - 10 月 13, 2008   02:28 午前