いつかはバイロイト


先日、HMVのクラシックサイトで「バイロイト名演集(33CD)」というBOXセットが目に留まった。

1961年~1985年ステレオ録音。バイロイト栄光の記録。『オランダ人』から『パルジファル』まで全10作品まとめて激安価格で登場。

激安って?

なんと、8104円!(輸入盤3点同時購入で25%オフの場合)

1枚当たり約245円。1作品あたり平均、810円。

確かに安い。しかもほとんどベームの指揮。40年も前の録音だけど、一応ステレオ録音。

実は最初にクライバーの『魔弾の射手』(2CD)が2356円だったので、3点抱き合わせの他の2点を探していたら、『ニーベルングの指環』(14CD)が2346円というのを見つけた。。新譜1枚分の値段で、『指環』全曲(14枚分)聴けるの? と目を疑った。指揮はギュンター・ノイホルトという知らない人だが、レビューをみても最高と評価している人が多い。

しかし『指環』に関しては、ハイティンク(14CD)が5506円だった。ハイティンクのほうが安心だけど、価格は倍以上する。さらに、カラヤン(14CD)だと14562円。こうなると、もう貧乏生活者では手が出ない。

ほかには、

マリア・カラスの『ルチア』『ノルマ』『椿姫』『トスカ』のセット(10CD)は1804円。
プッチーニのオベラ全集(20CD)は、5348円。
テンシュテットのマーラー交響曲全集(11CD)、5506円。

などが欲しいし、

ド・ビリーの『フィガロの結婚』『ドンジョバンニ』『コシ・ファン・トゥッテ』が2277円

もお買い得。マーラーを除いては、いずれもオペラだが、LPとかLDをもっていても、もう久しく聴いていないか、持っていないものばかり。こうしてリストアップしていくと、25%オフで数百円稼ぐのためにかえって高くついてしまうではないか。

しかし、ノイホルトの『指環』(14CD)が、2356円というのを知ってしまうと、どうしてもワーグナーが聴きたくなった。単体なら2836円。『指環』入門としては、それでも十分に安い。これだけでもいいかな、と思ってしまった。

ところが昨日、もういちどHMVのサイトをのぞくと、「本日のお買い得セール」として「バイロイト名演集」が7563円の特価になっていた。元値が10805円だから25%オフより安い! と思って、つい注文してしまった。

それが今夕、届いた。さっそくベームの『トリスタンとイゾルデ』から聴いてみる。前奏曲は、LPでよく聴いていたレーグナー/ベルリン放送交響楽団の、優美で耽美的な演奏とは異なり、どことなく無骨で造形がしっかりした演奏。しかし、ところどころに感じる官能美。これはきっとワーグナーの曲自身がなせる技なんだろう。歌がはじまるともう別世界。次第に引き込まれていくワーグナーの世界。話の筋など知らなくても、ずっと聴き続けたいという気にさせてくれる。

iTunesに入れてしまうとCDを出し入れする手間もなく、約3時間半を一気に聴くことができる。この調子で33CDを聴くのにどのくらいかかるのだろう。



高校時代、バイロイトに憧れていた。木造の演奏会場のオケピットからの響きがすばらしいと聞いていた。20年~30年したらバイロイトで生の演奏で聴きたいと思っていたものだ。それがドイツ旅行はおろか、安ホテル1泊の料金くらいの廉価版でしか聴けないのが情けない。まあ、かつての名盤をこの価格でかえることには感謝。

このCDを聴き込んで、いつかはバイロイト。

収録曲は以下のとおり。
歌手は不案内なので、とりあえず指揮者のみ。





バイロイト名演集

CD1&2
歌劇『さまよえるオランダ人』全曲/サヴァリッシュ(1961年7月、8月)

CD3-5
歌劇『タンホイザー』全曲/サヴァリッシュ(1962年7月、8月)

CD6-8
歌劇『ローエングリン』全曲/サヴァリッシュ(1962年7月、8月)

CD9-11
楽劇『トリスタンとイゾルデ』全曲/カール・ベーム(1966年7月)

CD12-15
楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』全曲/ヴァルヴィゾ(1974年7月、8月)

CD16-29
楽劇『ニーベルングの指環』/カール・ベーム
・『ラインの黄金』全曲(1966年7月)
・『ワルキューレ』全曲(1967年7月、8月)
・『ジークフリート』全曲(1966年7月)
・『神々の黄昏』全曲(1967年7月、8月)

CD30-33
舞台神聖祝典劇『パルジファル』全曲/レヴァイン(1985年7月、8月(デジタル))

ここしばらく、これを聴き続けることができると思うと、わくわくします。




日 - 9 月 7, 2008   06:44 午後