マーラー:交響曲第9番


クラシック音楽のひとりごと 」は、毎日毎日クラシック音楽を聴いて、その感想を述べているだが、毎日異なる曲を聴き続けることのできるライブラリーがすごい。今回はマーラーの9番 だった。演奏はショルティ/シカゴ響。

マーラーの交響曲を聞き始めたころを思い出す。演奏も少なかった。同時代でいうと、バーンスタインかショルティだったように思う。ショルティは、キングレコードのロンドンレーベルの廉価版で何かの曲を聴いたとき、その力強い演奏に迫力を感じたものの、デリカシーがないような気がして、あまり好きではなかった。結局ショルティのマーラーはまだ聞いたことがない。

マーラーの9番は、音楽を聴いたただけで涙を流した初めての曲だ。

高校時代の友人がチャイコフスキーの交響曲第6番《悲愴》を聴くと涙がでてくるといっていたが、ちょっと信じられなかった。まさか、そんなことが我が身におこるなんて、思いもよらなかった。

第4楽章の半ばを過ぎたあたり、バイオリンが思いっきり音を引っ張って下降してくところ。弦が思いっきり伸ばした音を強く響かせ、アクセントをつけて一音ずつゆったりと鳴らし、音階を下がるところ。

何度聴いてもここでは背筋がゾクソクして、感動する。

これがオーケストラの弦の響きの魅力だ。

この部分を聴きたいために何度も聴いた。でも第4楽章だけを聴いたのではだめだ。ゆっくり腰をすえて、途中で邪魔されることなく集中して聴くことが大切。すると、その部分に感情がぐっと高まってきて、美しい弦の響きに自然と涙がでてきた。

最初に買ったCDは、カラヤン/ベルリンフィルのライブ録音。カラヤンのマーラーは少ないので、たぶん新譜のときに思いきって買ったように思う。そして、その耽美的な第4楽章に惚れ込んでしまった。愛聴盤となった。

泣いたのは初めて聴いた時ではなかった。何度か聴き込んで、曲の流れを把握してからだと思う。

そのマーラーの9番を生で聴いたのは、ベルティーニ/ベルリン放送交響楽団(だったっけ?)、大阪フェスティバルホール。当時ベルティーニがどんな人か知らなかった。でもマーラーの9番を聴きたかった。カラヤンのような第4楽章を聴きたかった。

いまとなってはもうベルティーニの指揮を覚えていない。しかし、演奏は最高だった。第4楽章、冒頭から弦が美しい、その注目の箇所で、涙が出てきた。感動した。大感動だった。


アバド/ウィーンフィルのを聴いている。あれほどカラヤン一辺倒だったこの9番も、いろんな演奏を聴きたくなった。


木 - 8 月 30, 2007   11:54 午後