ヤング・ピープルズ・コンサートvol.8


8月13日、今年も佐渡裕のヤングピープルズコンサートを聴きにいった。今年は兵庫県立芸術文化センターでの公演というのが何よりも楽しみ。チケットはママが奮闘して確保したが、例年のように発売日の発売開始時刻には電話はまるでつながらなかったらしい。ようやく確保できたのは4階の桟敷席。それでもチケットとれただけで満足。

今年のテーマは「指揮者ってなあ2?」。指揮者をテーマにするのが2回目だから、「なあ2」なんだそうだ。会場では指揮棒を500円で販売していた。吹奏楽部の指揮をするために千里中央のヤマハで指揮棒を買ったあと、ネットでしらべたら同じくらいの値段の指揮棒があって愕然としたものだ。だからあまりお買い得感はしなかったが、記念に1本買った。もちろん子どもたちは無料でもらえるから、合計3本。一家に3本もいらんのちゃうん? とママ。でも、叩きの練習したらすぐに潰れちゃうんですよ。

ママは芸術文化センターをすでに利用したことがある。しかも舞台裏のスタッフとしてだから、うらやましい。でも大ホールははじめてだった。木質系の内装材をふんだんに使い、コンクリート壁さえ板の模様を残している贅沢なつくり。音響効果が楽しみだ。といっても4階桟敷席なので、あまり期待できないが。せめて見るだけとおもって、まずは1階席中央まで入っていってホール内を概観した。とてもいいホールだ。

開演前、ホワイエをウロウロしていると、佐渡裕に出くわした。そういえばいつも開演前にお客の前に顔をだしているのだった。あわてて客席にいた子どもたちを呼ぼうとおもったが、すでにバイオリンの腕前を披露した後のようだった。

さて、4階桟敷席からみると、ステージは奈落の底。演奏を見るためには身を乗り出さないと手前部分が見えない。しかし、演奏はとてもよく響いてきた。オケの一部分見えなくても、音は響いてくるのだ。そして演奏も上手い。圧巻は「春の祭典」だった。上海太郎と室町瞳によるダンスも楽しかった。体操服とセーラー服で踊ってたのが残念だったけど、子どもたちにはそのほうがリズムが分かりやすかったかもしれない。でもせっかくだから本格的バレエもやってほしいと思ったものだ。

今回のテーマである指揮者はいつごろから存在したのか、をコントを交えながら説明していった。現在の指揮者と同じスタイルをとった最初の指揮者は、ワーグナーの弟子のハンスフォンビューローです。というと、半ズボンをはいた上海太郎がでてきて、それは半ズボンやろ、と佐渡が突っ込む。で、それが超ウケるのだ。楽しい。晃志もハンズボンビューロという名前を覚えた。

リズムの解説で、テイクファイブに合わせて「でかいひと、まって」を繰り返して言い続けるってのを会場にも求めた。それに佐渡がメロディに合わせた歌詞をかぶせていく。会場と一体になって音楽をつくる。

この種の語呂合わせによるリズムとりを、もっとたくさん、いろいろやりたい気がした。

それにしても去年と違って、指揮者の姿をより綿密に見つめていた。どうしてあのような指揮ができるのだろうと。自分が指揮することを想定しながら佐渡裕の指揮に見入ってしまった。幸いにも今年のテーマは指揮者なので、客席で棒を振ってても変な目で見られることはない。

第一部の最後の曲は、マーラーの交響曲第5番4楽章アダージェット。指揮棒なしで演奏しますと宣言して、演奏を始めた。あの美しく静かな曲なのに佐渡の手振りは大きく、身体全体で音を引き出している。でもその優雅でダイナミックな踊りがあるから、音がより一層響いて聴こえてくる。そして消え入るように曲が終わったあとの静寂。あれはよかった。曲が終わるか終わらないかのうちに拍手をしたがる人がいるが、曲のあとにほんのわずかでもいいから静寂がほしい。とくにこのアダージェットは最後の音が消えてなくなるまで待っていたい。それが実現していた。佐渡の見事な指揮は会場をも引き込んで演奏者と一体化させたに違いない。ダイナミックな動きがあるからこそ、静寂を要求する動きも理解できるようになるのだろう。感動した。

佐渡裕でマーラーの9番を聴きたい。

さて、前回、前々回とアンコール2曲目は「星条旗を永遠なれ」で、会場からは楽器を持参して参加していいということだったのが、今回はそれがなかった。お決まりの「マンボ」の後もアンコールの拍手が続くと、ミッションインポッシブルのテーマを触りだけ演奏して終わってしまった。あれ? なんでなん? 亮佑はいかにはやく階下まで駈け下るか、ルートを下見していたのに。

そうそう、例によってこの演奏会の様子がテレビ収録されて放映されます。10月の何日だっけ?


月 - 8 月 14, 2006   04:28 午前