トロンボーンの不思議


前回、高校の吹奏楽部ことを書き始めたら、どんどんいろんなことを思い出してきた。とくのトロンボーンをはじめて手にしたときのこと。

トロンボーンという楽器は、ご存知のように、管をスライドさせて音程をとる。トランペットなど他の金管楽器はピストンを押して管の長さを調整して音を変える。木管楽器は基本的に笛とおなじで、あらかじめ穴があいている筒の穴の押さえ方で音が変わる。つまりいずれも指使いをおぼえれば音階が吹ける。

ところがトロンボーンは、管をスライドするだけ。いったいどうやって音階を吹くのだろう。ずーと疑問だった。

実は、トロンボーンのスライドには音を出すポジションがある。それが他の管楽器の指使いに相当する。普通1〜6まであって、1が一番詰めた状態で、6が普通に伸ばした状態。スライド可動部分の先端がベル(朝顔のように開いた部分)の先端と並ぶところが4。スライドを持つ取手がベルの先端とならぶところが3。1と3の中間が2。4と6の中間が5。ポジションが1つ下がる毎に、音は半音あがる(管が短くなるから)。6の次に半音下の7というのがあるが、これはスライドが抜けそうになる。

まずポジションをおぼえながら音階の練習をする。しかしいつもかならず同じ位置でスライドを止めるなんてことができるものなのか。

いまになっていえるが、できるのだ。なんども練習していると腕が勝手におぼえる。たぶん、弦楽器の弦を指で押さえるのと同じなんだろう。

さあ、いよいよ楽譜をもらって練習だ、とおもいきや、もうひとつ厄介なことがあった。

楽譜がヘ音記号だったのだ。さらに、楽譜はCで書かれているだ。この意味が最初わからなかった。楽譜がCとは?

楽譜上のドの音がCであるということ。トロンボーンは普通B♭管。管を一番詰めた状態でB♭が鳴るように調整されているが、しかるにトロンボーンの楽器自体のドはB♭であるから、レの音(ポジション6)が楽譜上のド。つまりCをドと考えて、音階をかんがえなければならない。だから、練習のときはCの音階を練習する。Cをドとおぼえるようにする。どうしてそんなちぐはぐなことをするんだろう。

ところで、このB♭とかCとかは、ドイツ語で発音する。B♭はべー、Cはツェー。これは調がかわってもかわらない。要は音名=イロハニホヘトと一緒。これに対してドレミファソラシドは、調によってドの位置がかわる。こうなると、音楽教育は小中学校の音楽の時間しか知らないボクには、チンプンカンプンだったが、とにかくどの楽器でも同じ音をよぶときはドイツ読みのアルファベットだった。






木 - 4 月 20, 2006   11:52 午後