姜建華(ジャン・ジェンホワ)の二胡演奏会


25日の夕刻、立教大学チャペルでの演奏会。会場に響き渡る二胡。引き立てるピアノ伴奏(長尾博子)。こんなに間近ですばらしい演奏を聴いて涙がでてきました。

満面の笑顔で登場した姜建華さん。演奏者のにこやかな姿勢が聴く者の心を和ませてくれる。

一番感動したのはアヴェマリア。聴こえるかどうかわからない弱音の出だし。どんな楽器でもピアニッシモはむずかしい。それがアタック音なしにスーっと響き始める。チャペル周辺で聴こえる蝉の声さえ音楽の一部と化している。これが芭蕉のいう「岩にしみいる蝉の声」なんだんろうか。いやいや、この蝉はヒグラシらしいが、泣いていたのはミンミンゼミ。最初、できれば鳴いてほしくないとおもっていたが、自然環境のなかで聴く響きはスタジオ録音したCDの響きとは全く別物。目をつぶって聴くと別世界に導かれる気分だった。

グリーンスリーブスもよかった。二胡の響きが人の声のように感じる。あの小さな共鳴体からどうやってこんな響きがでるのだろう。鳥の声や馬の声をまねた演奏もしてくれた。しかしあえてまねるのではなく、普通に演奏していて時折聴こえる人の声。背筋ゾクゾクの涙ものでした。小沢征爾が感涙したという響きはこれなんだろうか? トロンボーンのアンサンブルでは倍音成分が共鳴することによって聴こえる天使の響きというのがあるそうだが、二胡ひとつだけで人の声に聴こえるのだ。

ピアノ伴奏もすばらしい。自己主張せずにしっかりと二胡の響きをサポートしているのだが、ピアノだけ聴いていても気持ちいい。どうしてこういう演奏ができるんだろう。

それにしても数メートル先で生演奏しているなんて夢みたいだった。こんなの初めてと思っていたが、ずいぶん昔高橋悠治の演奏を芦屋のサロンで聴いたことを思い出した。そういえばそういうこともあったっけ。昔はいろいろ音楽会に出かけていたのになあ。


木 - 8 月 25, 2005   11:20 午後