宛名職人15は早急な改善を


リリース時期を再三延期して発売に漕ぎ着けたのだがら、さぞかしMacOSXのGUIをふんだんに取り込んでいるのだろう、と期待した年賀状作成ソフトの宛名職人15は、前バージョンより使い勝手が悪くなっていた。

とてもMacユーザー向けにつくられたソフトとは思えない。おそらくWindowsユーザでさえ操作に戸惑うだろう。それほど使い勝手が悪い。表面的にMacOSX対応らしくなったにすぎず、設計思想はMac用どころか、パソコンソフトとしての体裁をなしていない。

まず、最初のリリースでは、前バージョンのデータが読み込めなかった。1年も販売時期を延期したにも関わらず、この為体はいったいどういうことだ。しかし、サポートは電話かファックスのみ。メールで不具合を報告することさえできない。そういう些細なサポートを蔑ろにしていること自体がアジェンダの開発姿勢を表しているように思う。

リリースと同時にアップデーターを公開していたが、それでも解決していない。11月はじめにはインストーラは届いていたが、矢継ぎ早にアップデータを更新して、実際に使えるようになったのは12月にはいってからだった。

この時点で、あとは推して量るべしだったのだ。

以下、イライラした点を思いつくままに列挙する。アジェンダは早急に改善すべき。

○ 印刷プレビューが別ウィンドウで開かない

さて、前バージョンの宛名職人14の住所データをようやく読み込むことができたので、さっそく一覧表形式で印刷して確認しようとした。印刷項目とレイアウトの確認のために「印刷プレビュー」ボタンをクリックすると、何も変化がない。

よく見ると、いまままで画面上で一覧表示されていたウィンドウが印刷用の表に切り替わっていた。しばらく、それに気づかなかった。ウィンドウタイトルバーのツールアイコンが薄くなったので、てっきり別ウィンドウで開くものとして待っていた。カーソルも虹色でぐるぐる回っていた。

印刷プレビューを同じウィンドウに表示するソフトははじめてだ。これは、MacOX対応というより、一般的なパソコンソフトとして、ユーザーが期待する反応と全く異なるのではないか。

○ 印刷プレビューで確認できるのは表示カラムとカラム幅のみ

項目が多くてページ幅に収まらない場合は、列と列のあいだに太い線が表示されてページの区切りを表している。それだけだった。ちょっと驚きだった。印刷プレビューとは、実際の紙にどのようにレイアウトされるかを確認するもののはず。現在の印刷プレビューにはユーザーが確認したい情報(余白、行数、カラム数、カラム幅、行高さなど)がないし、指定もできない。

前バージョンではかろうじて1ページの行数が指定できたので、これでは機能低下だ。

これでMacOSXのGUIに対応したとよくも言えるものだ。これではMS-DOS時代のソフトよりひどい。

○ 住所データ一覧でほかにも指定できないことがたくさん

データ一覧で、用紙の余白、表の行数、カラム数、カラム幅、行高さなどがエクセルの表のよう指定できない

カラムがページをはみ出したとき姓名カラムが表側として自動追加される印刷する(選択にすべき)

ページ毎に表頭(項目名)が表示されない(最初のページに表示されるだけ)

項目がはみ出して用紙がもったいないのでA3でPDFに出力してA4で印刷しようと考えた。ところが、プレビューで「任意のプリンタ」で用紙指定しても、印刷時にデフォルトプリンタに変更されてしまう。プレビューはいったい何のための画面なのか?

あれこれ試行錯誤して、PDF仮想プリンターをインストしてプレビュー時に指定、A3用紙縦でPDF出力したのちに、アドビリーダーで開いてA4に縮小印刷した。なんともまどろっかしい。

○ フォントパネルを使っていない

宛名面での使用フォントを変えようとしたが、MacOSXのフォントパネルに対応していない。しかもフォント名一覧では、フォントがグループでまとめられずにすべて表示されてかえって分かりにくい。しかもただ名称だけ。どのようなフォントなのか確認できない。致命的な欠陥ではないが、MacOSXのGUIを採用と標榜するからにはフォトンパネルを採用すべき。使わないのなら、せめて変更するまえに、フォントの内容が確認できるくらいのことはしてほしい。

(追記090101)裏面作成で、テキストボックスに文字を入力するときのパレット内に「フォントパネルを表示…」ボタンがあった。しかし、そこからしかフォントパネルをひらくことができない。

○ データベースとしての基本機能が欠落

インターフェースばかりではない。機能的にも大幅に低下している。なによりも住所録のデータベース機能については、腹立たしいことばかり。iTunesやアドレスブック(MacOSX標準)の操作性を確保したと豪語しているが、設計思想はまったく異なっている。見栄えだけをiTunes風にして、なおかつ欠点をそのまま継承したと思われる。基本的なデータベース機能は前バージョンのほうが優れている。

まずこれはカード型データベースであるという大前提を忘れているのではないか。

バージョンアップというのは機能が充実することだと思うが、これでは有償バージョンアップユーザーは納得しないのではないだろうか。

○ 新規レコードの入力の仕方がわからない

一番困ったのは、新規に住所を登録しようとしても画面上に新規レコードを作成するボタンがない!
メニューにもない。

ようやくアクションというボタンのプルダウンメニューの中にだけに隠れていることを発見。とほほ。

住所録管理にこんなに時間を割かれるとはおもわなかった。

○ 既存レコードの複製機能がない

家族別々に差し出したいときなど、すでに登録済の住所データを複製して名前部分のみ変更すれば簡単に新規レコードができるハズなのだが、できない。新規レコードは、すべて新たに入力し直さなければなならい。

○ 検索機能がない

バージョン14までに搭載されていた、条件抽出の機能が一切なくなっている。一覧表示して並べ替えて選択ということしかできない。これはデータベースとして致命的欠陥といえる。

グループで代用できるというのがアジェンダの言い分だが、このグループというのはiTunesのプレイリスト、またはアドレス帳のグループのつもりのようだ。iTunesは音楽プレーヤーで、アドレス帳は基本的にメールアドレスを管理するもの。それらと住所録データベースでは求められる機能が本質的に異なるということに気づいていない。

たとえば、すでに喪中のチェックをすませていても、特定のグループで喪中以外を抽出ことができない。いったいどういうことだ。

逆に、条件抽出したレコードの特定フィールドの一括更新もできなくなった。

もう、これはお金をはらって使い続けるソフトではない。

○ 住所録を開いている状態から宛名印刷の仕方がわからない

(追記:090103)
住所録管理を終えて、いざ、宛名を印刷しようとしたとき、メニューのどこを探しても、宛名を印刷するための画面を呼び出すことができない。その状態でプリント関係のメニューとアイコンはすべて一覧印刷のモードになっていて、宛名の印刷ができない。結局、表示メニューから表示メニューの「操作ガイドを表示」から「宛名面を印刷する」を選んで操作パネルを表示しないと、宛名画面を呼び出すことができない。(または「トップメニューを表示」でトップメニューを表示させて「宛名を印刷する」を選ぶ。)

操作パネルを表示しないと、つぎの動作に移行できないのでは、困る。

しかも、その操作パネルで「宛名面のデザインを選ぶ」を選択すると、用意されたテンプレートから新規作成するように催促される。既に作成して保存していた宛名デザインを呼び出すメニューがない。キャンセルすると宛名ウィンドウが消えてしまう。なんてこった。

住所一覧画面またはカード表示画面に「宛名印刷」アイコンを入れておくべき。
また、宛名印刷メニューには、とくに住所一覧からの宛名印刷時では、すでに作成して保存していた宛名デザインを呼び出せるようにしておくべき。


○ 宛名レイアウトの微調整ができなくなった

宛名のレイアウトは、デフォルトだと緩慢になるので、バージョン14まではずっと微調整をしていた。ところがその機能は15になってなくなっている。年賀状らしく縦書きで宛名印刷できるのが唯一の取り柄というのに、それがまともに使えないことになってしまった。

もともと宛名職人を使い始めたのは、毛筆フォントによる縦書きの宛名印刷ができるからだった。それ以前はファイルメーカーを使っていたと思うがもう昔のことなので思い出せない。登録内容に関係なく、縦書きフォントに変換して印刷くれるのがありがたかった。

しかし宛名レイアウトは、お世辞にも美しいとは言えず、可能な限りレイアウトを微調整していた。それが出来なくなったということは、宛名職人を使う最大理由がなくなったということだ。

せっかくレコード更新したのに、データを前バージョン用に再度変換しなおさないといけない。なんとも嘆かわしい。

○ せめて不具合報告だけでもメールを受け付けるべき

おそらく、宛名職人15から使い始めたMac初心者は、混乱の極みだったにちがいない。さぞかしサポート電話が殺到したことだろう。メールにいちいち返信しなくてもいいから、不具合報告や改善要望などをメールで受け付けて、一刻もはやく次期バージョンで改善すべきだ。

Mac用年賀状ソフトとして唯一のようだが、これではMac初心者がMac離れする。もっと安価なWindows用年賀状ソフトのほうがよっぽど優れているからだ。アップルはこようなアプリの存在を許してはならない。

せめて日本アップルは、早急にアドレスブックにハガキ用の縦書き宛名印刷機能を付加すべきだろう。さもないと、たったこの一つのソフトのおかげでMacは使い物にならないという烙印をおされてしまう。

iPhoneに絵文字を搭載させたソフトバンクの孫氏の熱意と努力を見習うべきだ。


水 - 12 月 31, 2008   02:25 午後