「人に贈るに言葉を以ってす。金銀珠玉よりも重し。」
と言う言葉があります。
人に与える言葉の力は、実に大きいものです。
良き言葉、快いことばを人に贈り物とすることは、金銀珠玉を贈り物とするよりも、
もっと、もっと値打ちのある、尊いこととなります。
誠の言葉には金銭にはかえられぬ偉大な力が宿って、
人を救い人を喜ばせることができます。
また、反対に恐ろしい毒を含んだ言葉は、人を怒らせ、人を苦しめ、人を殺すに至らせることにもなります。
それほど、言葉とは威力のあるものなのです。
八正道の正語とは、正しい言葉使い又は、礼儀正しい言葉の意味ではありません。
言葉とは、もともとは、心の表現です。
だから、その心を、どう表現するかが問題なのです。
口にだすことによって、必ず悪い結果につながる言葉があります。
例えば、悪意を持って人を攻撃する言葉や、勝ち負けにこだわった幼稚な議論、二枚舌
悪口、陰口、愚痴、おろかしい自慢話、ほら話など、数え上げたら切りがありません。
嘘も方便といいますが、嘘をつくことが必ずしも悪いというわけではありません。
善意のための止むを得ない嘘もあります。
要するに言葉の形ではなく言葉の裏に働く、その心が問題となるのです。
正語とは・・・悪意のある言葉を、決して口にしてはならない!ということです。
真の善意ある心から発した言葉には、人を喜ばせ、勇気を与え、人を生かせる力が宿っています。
それが言霊です。
一生のうちに、自分は、どれだけの、良き贈り物をすることができるのでしょうか。
どれだけ、人を傷つけ、人を苦しめ、人に迷惑をかけるようなことを撒き散らすのでしょうか。
どれも、この口ひとつから出てくるのです。
謹んで心を清め、正しい智慧により、良きことばである八正道のひとつ、
正語を実践していきたいものです。