斗栱・蟇股・木鼻のお話 |
|
これからの話に深くかかわってまいります「和様」、「大仏様」、「禅宗様」について簡
大仏様とは鎌倉時代、中国の宋の建築技術を習得した高僧「俊乗坊重源」が、東大寺 禅宗様とは鎌倉時代、禅宗とともに中国から輸入された建築様式です。ただ、本山 |
|
◎斗
栱(ときょう)
斗栱の組み合わせの多さは仏堂の格によって違っておりましたが、平安時代傍流で |
|
|
|
エキゾチックな雲形組物は飛鳥時代の特徴で法隆寺、法起寺、法輪寺の法隆寺系寺 |
|
|
|
柱上には斗も肘木もなく直接丸桁を |
「舟肘木」とは柱上に肘木(青矢印) |
|
|
|
斗栱で柱上に直接ある大きい斗を「大斗(だいと)(青矢印)」、それ以外の巻斗や方斗 「大斗肘木」とは柱上に大斗、肘木が乗っているものです。 「平三斗(ひらみつど)」とは大斗肘木の上に小斗を三つ並べたものです。 |
|
|
|
「出三斗(でみつど)」とは平三斗で大斗にクロスに組まれた肘木に小斗を乗せたもの 一手先(ひとてさき)とは平三斗組にさらに手先の組物が前方に出て丸桁を支えるも |
|
|
|
「二手先(ふたてさき)」とは出組にさらに手先の組物が増えたものです。 「三手先(みてさき)」は斗栱では最高のもので天平時代の塔・金堂の主要な建物など 天平時代、「双堂(ならびどう)」が流行いたしました。白鳳時代までの金堂は、仏像 |
|
|
|
「四手先(よてさき)」は多宝塔の上層階で使用されています。図は切幡寺の二重塔 「六手先(むてさき)」は大仏様の組物で東大寺の大仏殿、南大門に用いられていま |
|
|
|
「中備(なかぞなえ)」とは斗栱と斗栱の間に入れるもので後述の間斗束、撥束、蓑束、 |
|
|
|
|
我が国では「人字形割束(にんじけいわりづか)」と言っておりますが人字形割束の故 |
|
|
「四天王寺」では斗栱と斗栱の間に後述 |
|
「間斗束(けんとずか)」とは斗栱と斗栱の間に短い柱すなわち束の上に斗がのった |
|
|
同じ聖徳太子が創建されました四天王寺、法隆寺ですが四天王寺は間斗束ではなく |
|
|
禅宗様では、和様の間斗束のところにも斗栱が入りこれを「詰組(つめぐみ)」といい |
|
|
|
中国寺院は我が国では見られない華やかさですね。 |
蓑 束(みのづか) |
|
|
「蓑束」とは束の上辺に植物の装飾彫刻が付いたものです。 鎌倉時代から間斗束は装 |
撥 束(ばちづか) |
|
|
「撥束」は間斗束の束は同じ幅の長方形でありましたが束の下方が広がる形状で三 |
間斗束の左右に文様が描かれたりしますが資料を持ち合わせておりません。 |
双 斗(ふたつど・そうと) |
|
|
「双斗・二斗」は主に折衷様で中備の間斗束の代わりに用いることがあります。写 |
花 肘 木(はなひじき) |
|
|
「花肘木」とは大仏様の双斗を図案化・装飾化したものです。中備は間斗束か蟇股が |
大瓶束(たいへいづか) |
|
|
|
「大瓶束」は禅宗様で用いられ虹梁上に立っておりますが和様にも取り入れられまし |
笈 形(おいがた) |
|
|
「笈形」とは大瓶束の左右に彫刻が付いたもので構造と装飾を兼ねたものです。主 |
|
蟇 股(かえるまた) |
まず最初に、「蟇股」、後述の「木鼻」は我が国では独自な発達を遂げ神社の「社殿」に 先に述べましたように和様では斗栱は柱上にしか置かないのですが禅宗様は柱と柱 「本蟇股」は平安後期から左右対称の二枚の厚板を合わせ中を刳り抜き透かしたも 余談ですが法隆寺でガイドをさせていただいた福岡の方は地元の神社の氏子役員を |
|
|
|
中国からの渡来の「人字形割束」ですが、人の字が四天王寺は中国当初の直線式です |
|
天平時代の蟇股は、まだ建築の構造物そのものでした。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
以上が天平時代の板蟇股ですが平安前期の遺例はありません。 |
|
|
|
上図の鳳凰堂、法隆寺の蟇股は平安時代後期の作品です |
|
これからは鎌倉時代以降の板蟇股です。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
和様の蟇股の上に実肘木が乗っております。 |
|
|
|
「一乗寺」の蟇股は平安後期作で2材が結合されております。これ以外は鎌倉時代以 |
|
|
|
|
|
|
唐草などの透かし彫りとなっております。 |
|
|
|
|
「西明寺」の蟇股は時代の変遷が見られる貴重なものです。左から右に時代は進みま |
|
|
|
先述の「西明寺」、「明通寺」、次の「法隆寺聖霊院」でも言えることですが参詣者がま |
|
|
|
「高山寺」の蟇股は室内、室外から眺められる珍しいものです。 |
|
|
|
「長寿寺」の蟇股は鳥が鼠の被害を受けております。「石手寺」には文様の変わった蟇 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
蟇股の外側には尾長鳥などがおり華 |
|
「宝厳寺(ほうごんじ)」は琵琶湖に浮かぶ竹生島(ちくぶしま)にあり西国第三十番札 |
|
|
|
仙台市にある「大崎八幡神社」は一見に値しますのでどうぞ。 |
|
|
東照宮の「五重塔」の初層の蟇股には十二 |
|
|
|
日本各地で蟇股の制作者に左甚五郎がよくでてまいります。「三井寺の龍の彫刻」、 |
|
近世になると蟇股の彫刻の題材に説話的ものが出てまいります。そこで東大寺の |
|
|
東大寺の初代別当「良弁僧正」は近江の |
さらわれるという悲劇から33年の月 |
|
|
岡山の「閑谷学校(しずたにがっこう)」は |
|
|
中国で新しく建築された仏堂で見 |
|
|
|
天平時代、切妻造に用いられました「二重虹梁蟇股」です。二重虹梁蟇股とは大虹梁 |
|
|
|
「東大寺」の二重虹梁蟇股は天平後期の造立です。 |
木 鼻(きばな) |
|
|
「木鼻」の出現は、「平重衡の南都焼打ち」にあって荒廃した「東大寺」を見事に再建し |
大仏様木鼻、禅宗様木鼻の区別がつかず両者の混血かと思われるものもあります。 |
大仏様木鼻 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
拳鼻(こぶしばな)木鼻の一種と見なす場合もあり木鼻とは別物として扱われること |
|
|
|
孝恩寺の蟇股は象鼻に変化する過渡期のものです。 |
|
|
|
|
|
|
上の両者は「獏」でしょう。 |
|
|
|
左は「息」とも「獏」ともいわれております。右は龍の身体全体を表したもので蟇股 |
|
|
木鼻は主に装飾材だと思ってお |
|
|
木 鼻(宝厳寺) |
籠彫(かごぼり)とは見たままを彫刻するものです。東照宮のものは籠彫そのも |
|