風力発電とエコキュート 2 

20140816




 
3 武田恵世氏講演

 6月22日、住民集会では武田恵世氏により風力発電について多面的な説明がなされ、その要旨が長周新聞に連載されている。
 長州新聞「武田恵世医師の講演 C風力発電の不都合な真実(2014年7月2日付)」より抜粋
大きな音がしていて雨戸とか置物も震えているが、環境基準はクリアしているから我慢して寝ろ、というのは非常に過酷な話だ。足利工業大学で風力発電をつくっている牛山泉先生も「木擦音、つまり木の葉が擦れるぐらいの音であっても、重大な睡眠障害に発展する恐れがある」といっている。

 長周新聞「武田恵世医師の講演 D風力発電の不都合な真実(2014年7月4日付)」より抜粋 
愛知県足助病院の柏野進先生が調べた資料だが、風力発電の導入量が増えるにしたがって低周波音の苦情も増加。・・・・・・・・・実は感知し、そこから不定愁訴→自津神経失調→健康影響になっていく。・・・・・・・
 日本騒音制御工学会でも健康被害が起こっていることは認めている。この学会は盛んに「気のせいだ」という学者の多いところだが、被害は認めている。・・・・・・・・
 世界の環境学者による予防原則というのがあり、それは「ある行為が人間の健康あるいは環境への脅威を引き起こす恐れのあるときには、たとえ原因と結果の因果関係が立証されていなくても予防的措置がとられなくてはならない」・・・・・・・・・・・・・
 風力発電の被害を「気のせいだ」というのは音響学者だけで、医師でそういうことをいう者は一人もいない。柏野先生は結論として、環境省の調査報告によると風力発電所設置の広範な地域で健康被害が発生しており、風車の大型化にともない近年急増している、とのべている。・・・・・・・・ 
 
4 低周波音被害の真の専門家とは

 和歌山県の汐見文隆医師をはじめとして、長崎県有吉靖医師、そして愛知県柏野進医師と、臨床医は被害の実態を把握し、低周波音による健康被害を認めているが、橘氏や佐藤氏は、「音にならない低周波が人間の体に悪さすると言われるようだが、そういった傾向はみられない。耳に聞こえる騒音が問題」「睡眠障害が病気につながるというデータはない」「(結論としても)今のところはわからない。どちらかといえばないのでは」といったことで、風車の被害は認めるものの低周波音による被害は否定しようとする。消費者庁事故調が実験室での調査を実施したようだが、前述の橘氏の主張にあるように、“(大学につくった低周波実験室でのデータを示し)「風車音に含まれている超低周波音は聞こえない、感じないというのが結論」” 「超低周波音は問題ない」「脳に与える影響は、否定はできないが、UFOはいないことを証明することは難しいのと同じこと」というようにエコ機器の低周波音被害も否定しようとするのだろうか。
 長年、低周波音に関わり、橘氏とともにこの問題に関与してきた佐藤氏が消費者庁事故調に疫学の専門委員として参入したことに意図的なものを感じる。

(安岡沖洋上風力発電建設に反対する会HPより)
風車の先進諸国の欧州や、米国、オーストラリアでは、現在でも低周波音に苦しんでいる住民が数多くいます。我が国でもたくさんの事例あります。すぐお隣の豊北町では騒音・低周波に苦しんでいる人たちが、安岡洋上風者計画に呼応して風車反対の動きがありますし、愛知県田原市の住民は騒音・低周波に長年悩まされ、ついに今年の3月、訴訟に踏み切りました。アメリカ・イリノイ州の小学校教師たちは風車によって子供達の無気力や頭痛、吐き気、学力低下などが顕著になったとして、州議会に風車停止の嘆願書を出しています。この他、事例を挙げればきりがないほどです。それほど、低周波音被害というものは問題の根が深いのです。
 

 上記のように、世界中に風車被害者が多数おり、世界各地で風車建設反対運動が激しくなっている。そして、我が国では隣家の給湯器で同様な低周波音被害がおこり、自費で避難する被害者も存在する。給湯器による被害は騒音ではない。低周波音の苦しみを訴える被害者を前に、この被害が「気のせい」であるとするほど、研究者というものは傲慢なものであろうか。明らかな被害を前にしながら研究者として、この現象をどのように説明するのだろう。研究者とは、現象の前に謙虚であり、その現象の背後にあるものを真摯に追究するものではないだろうか。風車やエコ機器が設置される前には、全くなかった症状が機器設置とともに現れる人々が各地にいる。その現場に共通して現れる卓越した超低周波音が存在する。そうすれば、多様な不定愁訴の原因がこの超低周波音であることが浮かびあがり、実験でそれを証明できなければ、真の研究者は、実験の手法に問題があるとまずは疑うのではないだろうか。
 
 最後に、“黙殺の音 低周波音”より、長崎県有吉靖医師の「風力発電を考える全国集会資料」”から以下を引用する。 
臨床医から見ると「風力発電機をある夜停止させただけで、周辺のそれまで不眠などで苦しんでいた方の症状がとれた」この事例だけで因果関係は十分です。
 「臨床医学的にはこう判断してよいのです。言い換えれば公害と言ってよいのです。」

 さて、医者には3種類いることを知って下さい。
  1、 普段から患者さんの診察、治療に携わっている「臨床医」
  2、 主に大学などで、基礎系の研究、教育を行っている「研究医」
  3、 役所などで、デスクワーク中心の「デスクワーク医」(これは造語です)

 ところが、2や3の医師の多くはこの因果関係では不足なのです。因果関係を立証しなければなりません。この間に時間のロスが発生します。
 過去、水俣病やチッソの問題ではこの時間のロスが患者を増やし、結果として大きな社会問題を現在も引きずっています。血液製剤のC型肝炎ウイルス感染の広がりでは、その筋の「専門」とされる学者先生が事実を隠ぺいし、さらに当時の厚生省の職員がデータファイルをずさんなやり方で保管していた事は記憶にも新しい事です。
 行政が積極的に推進してきた風力発電に対して、「健康被害あり」と環境省がはっきりと述べるのは難しい事かもしれません。環境省は調査の結果を報告すると聞いています。しかし、2,3の医師と環境省の公務員に因果関係を立証する力と意思がある様には思えないのです。環境省のおかかえ「専門医」は「人に聞こえない20ヘルツ以下の音が人体に影響するはずはない」と言及している知識不足の学者先生だからです。
 環境省の皆さん。巨大風力発電機からでている、現在の法律では規制しにくい、1.5〜20ヘルツの超低周波振動音は400m先で60〜70デシベルというすごいレベルで測定できます。これは事業者も認めています。
 まずこの実態を調べる事と、次に実際に被害者との可能性がある方を診てい臨床医の意見を聞いて下さい。・・・・・・・・・・・・・・・・・
                佐世保市立総合病院 宇久診療所所長   有吉 靖


                           戻る