2022-02-15 Tuesday
パシュート女子
 
 2018年平昌冬季五輪でスピードスケートのパシュート女子をテレビで初めてみた。日本女子の滑るフォームの美しさに魅了された。チーム3名の芯になっている高木美帆のフォームは特に美しかった。
冬のオリンピックはフィギュアとカーリング女子にしか興味はなかったけれど、スピードスケートは美しいと知らせてくれたのは高木美帆である。
 
 3人が横一線になったときの均整美も他国チームと較べて際立っている。手足のすみずみにまで神経がいきわたっているような美しさ。右手の振りが見事に揃っている。遊泳中の魚のようにムダな動きがない。キレもいい。「美しい」という文言を何度使ったろう。芸術的な美しさ。速さと美の融合調和。
 
 冬季五輪の花は女子フィギュアと長年思ってきた。欧州の選手は手足も長いし、スタイル抜群。上位20名の選手の演技は流麗であるし、なかんずく華やかな振付け、奇抜な衣装に魅了される。
誰よりも速くゴールに到達するのがスピードスケート。それはそうであるとして、猛スピードを保ちつつ流麗な滑りを見せてくれたのが日本のパシュート女子。
 
 高木姉妹も佐藤選手もカーリング女子4人(ロコ・ソラーレ)と同じ北海道出身。カーリングに関しては「書き句け庫」2016年3月29日「カーリング女子」に長々記しました。
 
 あれから約6年、歳月を経て藤澤五月は見事に成長し、鈴木夕湖も吉田妹もワザをみがいてきました。技術が不安定な吉田姉のミスショットをリカバーする藤澤の妙技。しかし妙技は永続的ではなく、突然ダウンすることがある。
競技中、吉田姉の顔が不二家のペコちゃんみたいなときは不調、目が元大関・北天佑のようにキリッとしていれば好調。チームワーク随一なのだけれど、チームワークだけでは決勝リーグに進めない。しかしチームワークあるがゆえに決勝へ進むことができる。
 
 英国カーリング女子・スキップをつとめるイブ・ミュアヘッドは平昌五輪の3位決定戦10エンドの最終シュート、投げたストーンが日本のストーンをナンバー1に押しすすめるというミスショットをして日本に勝利をもたらした。負けを認める彼女の潔くも名状しがたい表情が印象に残った。
 
 昨年、日本に雪辱し、今回の五輪(2月15日)も英国が圧勝(10対4)した。9エンドを投げ終えて日本のコンシード(負けを認める)。日本は前日(2月14日)の韓国戦で吉田姉、藤澤が調子を崩して惨敗(10対5)。サード吉田姉、スキップ藤澤ともに調子を戻していない。好調ミュアヘッドと対照的。
 
 パシュートは高木姉が最後の一周、あとわずかというところで転倒、銀となってしまう。思わず叫びました。そして泣きそうになった。滑走の流麗美、均整美を十分示した冬の花3人を惜しみつつ夜がふけていきました。

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