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メール療法を始めて4ヶ月目のMさん(31歳)、ざわざわの返信を引用しての感想

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メール療法とは?
コツコツと継続して、素直に感じることを知りながら、頭で考えるよりも、体を動かして、無意識の部分を意識させていくメールで書く日記療法。森田療法がベースとなっており、自分を知るものです。「知る」ただ「知る」だけです。認めたり、受け入れたりするのではなく、「知る」だけでいいんです。感情は入りません。行動のみです。拒食過食などの症状や体重の話はしないこと、食の話はしないこと(現実逃避の無意識の行動は書かない)、文字も使わないこと、良い子にならないことや返信を期待しないことを前提に、自分が意識して丁寧に動いたことを言葉で表現していきます。今日動いたことを書くもので、今を丁寧に過ごすことを意識していきます。今の自分を観ます。理想ではなく現実に目を向けていきます。「今、私が○○をしている」と意識したことを、自分に語るように、独り言のように書いてください。視線のレベルを下げて、日々の生活を観てください。足元の豆を拾います。頭で考えていても、言葉で情報を得ても、体で知るものです。まずは、始めてみましょう。動いて知っていきましょう。休憩するのも、動く。するのを止めたのも、動く。失敗したことや出来なかったことから、知ることが多いのです。 例)朝「起きよう」と言って体を伸ばしながら起きた。窓のカーテンを開け、きちんととめた。ドアの開閉を丁寧にした。上着からボタンを丁寧に止めながら着替えをした。右手に歯ブラシを持ち、左手に歯磨き粉を持って、ブラシにつけて、丁寧に歯を磨いた。鏡を見た。お湯を出して顔を洗った。自転車をこぎながら、今、どこを走っているか意識した。携帯のボタンを1つずつきちんと押した。姿勢を真っ直ぐして、深呼吸した。階段を一段ずつ踏みしめて、集中して上った。右左と声を出した。水道の蛇口をきちんとしめた。使ったコップを丁寧に洗い、元の位置に戻した。コップを持つ手を見ながら、コップを置いた。鍵を確認しながら、かけた。カバンのポケットに、きちんとしまった。母に向き合って、話をした。最後まで言葉を聴くことを意識した。自分のことをわかってくれていないとイライラしてくることに気づいたが、最後まで丁寧に話を聴くことを意識した。
Mさん
摂食障害を治すために、病院にも行ったし、カウンセリングも受けた。他の人の話しを聞く集まりにも出かけた。何も得るものもなく、ただ、摂食障害自体が本当の問題ではないとは薄々気づいていたときに、ざわざわのルールが目にとまった。
ざわざわ
「お約束は、症状の話し体型の話は一切しないこと」
Mさん
メール療法って何だろう?自分を知ろうと思って、理香さんの謎々のような言葉に惹かれて、メール療法を始めた。上手く書きたい一心でがむしゃらに日記を書いていた時に、理香さんからの言葉が、ずっしりきた。
ざわざわ
「メール療法はコツコツ継続して、3ヶ月が限度です。ビシッとそれができたら、完璧な大人ですし、摂食障害の症状に悩むことも無くなるでしょう。でもね。人間って、完璧はありえないし、モヤモヤ揺れて、しんどさを抱えて、何かの形で上手に逃げながらも、ぐちゃぐちゃ言いながら歩くの。完璧にすっきりなんて、寂しい、ロボットみたい。摂食障害を抱えて悩む方は、人間らしいと思いますよ」
Mさん
自分が何か大きな思い違いをしていたんだと気づく衝撃的な言葉だった。最初は、何を言っているんだろうかと思ったけれど、何となくわかるような気もしていた。
ざわざわ
「上手く書こうとしない。丁寧に動くことを瞬間瞬間意識していくこと。大事なのは、その自分がしていますという感覚を体で掴むことよ」
Mさん
返信を読んだときに、ハッ!と寒気がした。気に入ってもらおうと、誤魔化して書いていたことを、見抜かれていると感じたけれど、だからこそ、メール療法を理香さんがされている意味がよくわかった。摂食障害という自分と同じ道を歩いて、克服した人なんだ。バラバラだった頭の中が、これも何となくだけれども、繋がってもいいんじゃないかって思いだした。 でも、できないことばっかりに気づく毎日の生活は、正直辛い。丁寧にしていたら、時間が足りない。何も変わらないし、自分の基礎がない知りたくないことばかり見てしまう。フワフワしていた自分を知ったのは、友人と話をしていたときに、視界がはっきりして、全身が震えるように恐怖心を感じた時だった。これが現実の感覚?今まで、夢の世界で、理想の自分だけが生きていたんだと思った。友人といても自分が優位になることばかりを探していたし、褒めてもらうことを一生懸命していたし、職場では、できる人でいたかった。自分には失敗が許されないと自分で決めていたし、負けるのがイヤでたまらなかったし、自分はできる人のはずだと自分で決めていた。だから、いつも不安でオドオドしていたんだと知ってきた。 特に親には、自分だけを見てほしかった。いつも母親にはイライラしていた。姉妹との比較ばかりで、一日のほとんどが終わっていた。私ばっかり、辛い目にあって、親を恨んでいたし、姉も妹も嫌いだった。でも母は好きで、いないと寂しいし、経済負担もしてくれていたし、変わりたくないのも本当だった。 理香さんの指摘はキツクて、怖かったけれど、怒られたことが、ほとんどなかったので、新鮮な気持ちもあった。でも怖かったから、最初はいい子ぶっていたと思う。言われるままに、小さなことから、ドアをきちんと開けて閉めることや、顔を丁寧に歩くことや、自転車を足を意識しながらこぐことを、自分がこれをしていますと独り言をいいながらしていった。これで何が変わるんだろうと思いながら、めんどうくさいけれど、同じことを繰り返していた。そのときは依存していたんだなって、今ならわかる。
ざわざわ
「焦らない、慌てない、諦めない、アイメッセージ、ありがとう。ゆっくりでいいのよ。自分の視線で、動くことよ」
Mさん
今まで自分がいい加減にやっていたことばかり、一つでも曲がると、すべてイヤになるし、すぐに答えがでないものはイヤだった。相手が自分の思うどおりに動かないと、イライラが頂点に達して、そういえば、いつも怒っていた。続いたことがなかった。何もない空っぽなんだ。
ざわざわ
「ドアを丁寧に開けて、丁寧に最後まできちんと閉める。ゆっくりと行くと1時間で着きます。急ぐと丸一日、いやもっとかかるね。ドアの開閉がきちんとできたからこそ、今まで最後までできたことがなかったと知ったのね」
Mさん
あ〜そうか。比較の癖があるって、理香さんに言われても、よくわからなかったけれど、満足や充実を知ることで、足りないこともわかるんだ。化粧水の蓋をきちんとしめることや水道の蛇口をきちんとしめること。馬鹿にしていて気にもしなかったことが、たくさんあった。それをきちんとすることで、気持ちがすっきりすることも知ってきた。社会でバリバリ仕事をすることが、大人になることだと思っていたので、知るだけでいいという意味も納得してきた。知るという基本もなかったんだ。知るって認めるだと思い込んでいたんだ。嫌な自分を知りたくなかったんだ。イヤだという感情が入って知ろうとしなかったんだ。
ざわざわ
「心、体、頭の飢餓状態を満たしてあげたいですね。脳のエネルギーは、ブドウ糖のみですね。蓄積ができないので、きちんと補給してあげてくださいね。腹持ちがよく、カロリーの低い、ご飯がお勧めですよ。私はご飯を食べるようになって、回復しました。ブドウ糖の不足と睡眠不足は、過食を誘発します。電解質のバランスも大事です、カリウムは不整脈との関係や浮腫み軽減に働きます。スポーツ飲料やバナナで補給したいですね。風邪をひかないように、虫歯を予防するのにも、便秘予防にも、水分補給は、かなり重要ですよ。イライラを抑えるためにも、朝日を浴びて、規則正しい生活を心掛けてくださいね。体重の数値への拘りは、自分はまだ子供なんだよって看板を挙げているのですよ。自分の精神年齢に応じた数値を頑なに守るんですね。少しずつ成長することですよ。大人になることですよね。心も体も頭も、少しずつ、ゆっくりと、マイペースで成長しますよ。体験が少ない、怖がりなんですね。知識はたくさんお持ちですので、それらを知恵にするには、動くことですよ」
Mさん
メール療法を継続して3ヶ月目。まだまだ、知らないことばかりで、進んでいる感じもあまりしない。でも、最初は真似したことだけれど、白ご飯を食べることにしたら、頭がボーッとすることがなくなり、症状がなくなっている。日常の生活も人間関係も完璧にできない自分がいるけれど、それでいいんだ。完璧ってありえないんだと思えるようにもなっている。これがグレーなのかなと呟くときも増えた。
ざわざわ
「親御さんとの境界線、友人や他の方との境界線を意識してごらん。自分と自分の境界線はどうかな?」「外には理想しかない。真実は、自分の中にあるのよ」
Mさん
どうやって意識したらいいのか?と、また頭で考えていた。考えてもわかるはずがないので、動くんだって、気持ちを切り替える癖はついてきたと思う。自分が外ばかり見ていたのも、理香さんの指摘を受けて、ようやく知ってきたし、ある日「おお。これかっ」とストンと落ちてくるものがいくつかでてきた。
ざわざわ
「固定観念の枠は柔らかくね。おかげさまでと深呼吸ね」
Mさん
この言葉は、グレーと同じだと知ったのも随分遅かったけれど、本当に動くと、知るんだなって、あらためて思うことばかりだ。動くって、大きなことをすることで、失敗は許されないと思い込んでいたのも、理香さんに見事に打ち破られた感じで、え?こんなことを?肩透かしだった。でも、それが意外と難しいのも知った。  分からないではなく、知ろうとしない自分がいたんだ。怖がりなのは、経験が少ないから、上手く済ませようとするからで、自分という基本がなく、いつも不安で、でもプライドが高くて、自分がしていることは間違っていないのに、どうして回りは、私のいうことをきいてくれないんだろうと不満ばっかりだったんだな。頭が先に走って、今を見ていないから、いつも焦っていたんだな。自分に嘘をついていたのかな。 こうやって振り返っていくと、そのときは、まったく謎だったのに、何となくでもわかっていたんだと思う。  関西は遠いので、講習会や座談会には行けないのが悔しく、うらやましくてしかたなかったし、すごく寂しいと思っていた。でも、毎日もらえるメルマガでは、今の自分の心境を語ってくれる内容のものが多かったし、皆さんの言葉やアンケートの集計で、他の人も同じことで悩んでいるんだとすごく安心もできた。自分だけが変わり者で、自分だけが意思が弱くて治らないんだと思い込んでいたり、そんな気持ちもほぐれてきたと思う。でもやっぱり寂しいし、しんどいし、めんどうくさいし、全部を投げ出したくなるときがある。それも今の自分なんだと知る。知った。今は、これでいいんだな。
ざわざわ
「気づきは後からやってきますよ。答えはそれぞれがお持ちですよ。人それぞれね。自分に嘘を重ねると、自分が疲れてしまいますよ」
Mさん
コツコツするためにコツコツする。こんな感じでいいのかとも思う。自分で答えを出すって、責任ということなんだ。これから逃げ続けてきた自分を知りつつ、まだ落ち込むこともあるけれど、やっぱり、自分に嘘をつかないで生きたいから、もう少しコツコツやっていきます。依存しているかな?まだ子供かな?ゆっくりでいいよね。そういえば、ガツガツしなくなったと思う。わからないことがあってもいいんだよね。そんな気がする。
ざわざわ
回復とは、大人になることなのです。大人とは、諦めではなく、納得が増えることであり、好い加減を知ることなのですね。そう固定観念の枠が柔らかいってことですね。焦らず、諦めず。コツコツと。まず自分で知ること、気づくこと、それを行動すること。大事なことは、転ぶことなんですよね。たくさんたくさん転び、痛くて辛くて泣く。そして、いろいろなことを体得し、体で掴んでいくのですね。曇りの日が多く、雨の有難さも感じながら、時折現れてくれる晴れ間に感謝できる、穏やかな自分が誕生です。
そして、1ヵ月後。Mさん
回復のラインが飲み込めた。克服したら、しんどいという意味がわかってきた。現実って、今、この瞬間のことなんだな。 自分という責任を背負って歩くことって、本当に辛いなって思うけれど、充実感があるんだ。自分がこれをしていますって感覚が満足を教えてくれたし、無理はしなくなったというか、無理を知ってきた。 しんどいときに、体がしんどいのか?心か?と問いかけることで、体ならば休む、心ならば、今しんどいんだって知る。これができるようになったんだ。 理香さんの言うしんどい辛いの意味も、ようやくわかってきたよ。いろいろなことを思い違いしてきたんだな。 動くと知ることができる、しんどいままで知る。すっきりしないのが人生で、それでいいんだな。


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