2002.9.28 神崎川源流

 年最後の渓流釣りを9月28日に仲間四人で計画したが、前日夜半より雨が降り出し朝になってもしとしとと降りやまない。 天気予報を見ると三重県では大雨洪水注意報が発令されている。 漁期が押し詰まっており、又、仕事が忙しい人ばかりなので日延べは出来ない。 小雨降る中をメンバー集合地へ急いだ。 今まで決めた時間に全員が揃った事が一度としてあったことが無いが今回はどうだい皆さんが揃っている。 不思議な感じである。 世間ではあたり前の事に感激する。                                        早速本日の遡行ルートの再確認するがどなたも雨模様のことを気にしていなく、当初の計画通り鈴鹿尾根越え⇒神崎川源流に決定。 ビビッテいるのは左膝を痛めびっこ引いている師匠の私だけのようである。 なさけない。                                                                  小雨の中を出発R-477は相変わらず崖崩れが多く、片側交互通行規制箇所が五〜六箇所もありそれがいずれも赤信号で対向車待ちが続く。 今日釣りはダメかな・・・                                朝明渓谷より羽鳥峰峠⇒ヒロ沢組と黄和田峠⇒下水晶谷出会い組とに別れそれぞれ神崎川源流を目指した。怪我をしている師匠は当然行程の短い黄和田峠ルートを選んだ。                            鈴鹿山地はよく知られているが三重県側は急峻であり膝を痛めた師匠には辛く、十歩歩いては立ち止まり二十歩歩いては腰掛ける。 その度に同行のK君が後ろを振り返り待っててくれる。 師匠はすまん! すまん!と言いながら休憩に精を出す。 源流にたどり着けるのは何時のことやら・・・                        何とかK君の介護が良くて黄和田峠に無事到着。                                      これからはなだらかな下りのみであり師匠は急に元気を取り戻す。 しかしながら痛めた膝にとっては下りの方が負担が大きく、時々イター、ギャー、ウウーとかの呻き声を発しながらK君の後とを必死に追う。 雨は峠を越え滋賀県側に入ったのでどうやら上がったようである。                                   しばらく笹で覆われた樋のような山道を下ると平行して横を走る下水晶谷の瀬音が段々大きくなってきた。 師匠たまらず笹こぎをして谷に入るがK君も呆れ顔をしながら追随してくれる。 二m程の小さな滝がありなんとなく岩魚が潜んで居そうである。 しかしながら生憎用意した仕掛けは全て6.3m竿の本流用である。 仕方なく3.6mのテンカラ竿にハリスをじか付けし重りなしの仕掛けを急いで作る。                        木立の間よりそーと滝下にミミズを入れ様子を見るが当たりがない。 後ろでK君がそっとささやくように問い掛けて来た。 『師匠は何時もこんな釣りをしているのですか?』  師匠あわてて否定し『臨機応変』と短く答える。 3投目にコツコツと当りがあり三つ数えてから合わせると約22cm程の岩魚が提灯釣りの仕掛けにぶら下っている。 初釣果としてはまあまあである。 その後K君と交互に竿を出しながら釣り下ったがいずれも14〜15cmの岩魚が釣れたが大きくなれと言いながら放流する。

しばらく釣り下ると右手の笹薮より丸々と肥えた大きなたぬきが現れ、師匠の直ぐ前の谷川を堂々と前を見据えてゆっくりと渡り始めた。 K君は思わず呟いた『無視するな!』  そしてそのたぬきは左岸の笹薮にゆっくりと姿を消した。  師匠はその時思わずにんまりと笑みを浮かべた。 何故ならば一流の渓流釣り師は渓と同化し岩となれるものである。 やっと一流になれたか・・・?

ヒロ沢組との待ち合わせ時間が迫ってきたのであわてて仙道に戻り大瀞の上流に架かっている鉄橋に着くがF1、F2両君の姿がない。 遅刻常習者の両君に期待した師匠が悪いのか・・・?  仕方なく大瀞付近に降り遅い昼食を取る。 食べながら流れを見ているとあまごが泳いでいるのが見られる。 結構居るな・・・     

そうこうしている内に ヒロ沢組が鉄橋に姿を表し無事合流することが出来た。             

その後大瀞付近を思い思いに散らばり源流つりを大いに楽しんだことは云うまでもないことである。

帰りの仙道ではアキノギンリョウソウ(ギンリョウソウモドキ)がひっそりと咲いていた。

帰路、湯ノ山温泉の露天風呂に入り今年度の渓流釣りを省みる。 今年もつつがなく終えられた事に感謝し、 来年もこの自然豊かな清流が存続してくれることを願い皆で乾杯する。 
 

    

       

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