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本から知恵(こんなに知る機会が)
小耳にはさんだ「本」の紹介コーナーです。
本を注文したい方、こんな本屋さんがあるよ。「本の風」
★★★ 女子大生と学ぼう 「慰安婦」問題 ★★★
 2008年10月20日 初版第1刷
 著者 神戸女学院大学 石川康宏ゼミナール
 発行所 株式会社 日本機関紙出版センター
     06-6365-1254
 定価 1143円+税

★あなたは知っているだろうか、「慰安婦」問題。神戸女学院大学 石川康宏ゼミナールの学生達が中学生向きに書いた「慰安婦」問題の本です。事実を真剣に知らせ考えようとはしない今の日本社会の体質にあって、正面から「慰安婦」問題を調べ自分たちの言葉でまとめられたこの著書を、あなたにも知ってほしいと思います。(楽)
★★★ 暮らしに思いを馳せる経済学 ★★★
−景気と暮らしの両立を考える−
 2008年7月5日 第2版
 著者 山家(やんべ)悠紀夫
 発行所 株式会社 新日本出版社 東京都渋谷区
     03-3423-8402
 定価 1800円+税

★経済学にも階級がある。立場が変わればこれほどまでに見方と考え方と対処方法が違うのかと。この本を読んで、胸をなで下ろす気分になってしまった。競争競争、勝ち残り勝ち残りと煽られ、なにか急かされる気持ちが社会全体に浸透している。失敗でもしようものなら非難に怯え、貧しさ故にぼろぼろになるような気持ちになる。これが普通なのか、なんとかならないのか、なぜこんなになってしまったのか、という疑問と閉塞感がいっぺんに吹き飛んでしまったから。
 やっぱり階級があり、一部のものがほくそ笑むために、多くの名もなく貧しい人たちが足げにされている。なにやら時代がかったこういう言い方もすんない胸に落ちるほど社会が後ろ向きにすすでしまっている。技術がすすみ、情報が満ちあふれ、地球規模でものごとが動く。時代は前に向いていると錯覚するのもあたりまえだが、現実が反動化しているのだ。力を合わせて、みんなの幸せを追求しようではないか。この本の一読をお勧めします。(龍)
★★★ 道州制で日本の未来はひらけるか ★★★
−グローバル化時代の地域再生・地方自治−
 2008年8月10日 初版第1刷発行
 著者 岡田知弘
 発行所 自治体研究社 〒162-8512東京都矢来町123 矢来ビル
 定価 1600円+税

★経済のグローバル化と自治体再編制、道州制の本当のねらいをあばく。地方自治関係者の現時点での地方自治の置かれている情勢を知るための必読の書。筆者の分かりやすいタッチでの文章と豊富な資料、実践的な経験と教訓に裏打ちされた説得力あるものになっている。住民のくらしの組織として地方自治体が危機に瀕している。この意味では、憲法の体制が危機に瀕しているとも言える現在、労働者の貧困化、地域の疲弊が目に見える形で現れている。地方自治の再建こそが、すなわち住民生活の再建、人として尊重される社会の再建でもある。生活に密着した筆者の理論展開に、私のような無教養な人間も共感と信頼を感じる。地域から社会を立て直すための一員に私達もなれる。どうぞご一緒にまちの研究活動を始めましょう。(T生)
★★ 爆沈 浮島丸 -歴史の風化とたたかう- ★★
 2008年8月24日 第1刷発行
 著者 品田茂
 発行所 轄uカ研 〒101-0064 東京都千代田区猿楽町
 定価 1600円+税

★1945年8月24日夕方、釜山港に向かうはずの輸送船「浮島丸」がなぜか舞鶴港に入港してきた。その直後大爆発を起こして沈没するのである。終戦直後の不可解なである。輸送船である「浮島丸」が積んでいたものは、東北地方で強制労働をさせられていた朝鮮人労働者多数(約3000人?)とその家族である。現在もこの不可解な事件の真実を追って「浮島丸殉難者を追悼する会」などが活動を続けている。筆者の品田氏は舞鶴市役所の労働組合副委員長であり、「まいづる市民自治研究所」の代表でもある。筆者の浮島丸の取り組みは、すなわち平和憲法を守りきる取り組みでもある。ぜひ、草の根のこのようなとりくみの記録を広げてほしい。本当に根強い民主国家建設の基盤がここにもあるという意味で。(山村)
★★★ ワーキングプア 解決への道 ★★★
2008年7月11日 第1刷発行
著者 NHKスペシャル「ワーキングプア」取材班
発行所 株式会社ポプラ社
     〒160−8565 東京都新宿区大京町22−1

★NHKシリーズの三作目。実態から解決への道へとすすんでいる。社会の実相について意欲的で良心的な取材と、事実をもとにした問題提起に感心させられる。労働運動や社会活動が積極的に共感できる著書である。しかし、日本社会における矛盾の解決への道筋、国民的な議論と関心の高揚、具体的な政治や行政への反映など、ワーキングプアの解決にむけて、すでに行き詰まった社会制度(体制)を根本的に見直さなければならない段階に来ているように感じる。そのために、様々な角度からの議論と政策提起を発信する必要がある。労働組合運動として、社会的な発言力を強めつつ、企業や組織やセクトの枠に凝り固まらず、ずばりワーキングプアの実相に巻き込まれている、若き青年労働者のなかに入る必要があるのではないか。
★★★ 京都乙訓歴史を歩く ★★★
 2007年6月15日 改訂版発行
 著者 乙訓の歴史を学ぶ会
 発行所 株式会社 かもがわ出版 京都市上京区(07)432-2868

★井ヶ田良治さん、都出比呂志さん、松山宏さんの監修による本書。地域の歴史を丹念に現地の調査を積み上げて書かれているので、身近で興味深く、地域を好きになれる一冊。執筆者も地元の多くの方々で、地域密着型の地域本。それにしてもどこにも歴史があり、歴史を学ぶことが今を深めることなのだと感心する。乙訓はとりわけ都があった地として、さまざまな歴史ドラマが展開している。こうした研究にとっての格好の地域だし、「ほら、あなたの足下で日本の胎動がはじまったのだよ」と語るロマンを秘めている。
★★★ 種を蒔く日々 ★★★
 90歳を生きる
 2008年1月12日 第1刷発行
 著者 秋山ちえ子
 発行所 株式会社 講談社 東京都文京区 03-5395-3622

★私の「戦後の昭和」の仕事の主流というか目的は、争いごと、特に国際問題のもめごとを戦争で解決しないことのために「憲法九条」を大切に守ることと、心や体に障害を持つ人たちを置き去りにしないことであった。この書き出しで始まる筆者の思いがつづられた著である。NHKラジオからTBSラジオへ、多くの人々との交わり、世界への旅と思いなど、90年の人生の中からの、大変な行動力なのに、たんたんとした文体でまとめられた読み応えのある著。
★★★ 現代のコンピューター労働と健康 ★★★
 2008年4月1日 第1刷発行
 著者 宮尾克
 発行所 株式会社 かもがわ出版 京都市上京区(07)432-2868

★働く者の労働安全衛生入門シリーズ(全8巻)の第4巻。名古屋大学情報連携基盤センター教授である宮尾さんが2006年に講演した記録をもとに加筆作成された。広範に広がるVDT作業、パソコンは日常生活のツールにもなっている。しかし、これだけ広がったVDT作業についての安全衛生管理は本当にきちんとされているのだろうか。労働現場では当然だが、その労働現場があやうい。それに加え、たとえば国民健康保険などにVDT特別検診はない。だれが市民のVDT作業の健康管理を行うのか。消えた年金に関わる社会保険庁問題で、VDT作業基準を労使で協定していたことが問題になった。「1時間15分の休憩」「働いとらへんかった」という報道がいっせいにされた。しかし、ガイドライン基準からみれば当然のこの協定、なぜマスコミは攻撃したのか。みそもくそもいっしょという日本の断面を垣間見る。こうした日本の異常さが、異常な労働を異常とも思わない風潮になっているのだろう。ぜひ、お読み頂きたい。
★★★★ 反米大陸 ★★★★
 2007年12月19日 第1刷発行
 著者 伊藤千尋
 発行所 株式会社集英社 東京都千代田区03-3230-6391

★朝日新聞の中南米特派員としての筆者の取材活動を基盤にした著書。中南米の最近の動きを知る上で、歴史的なアメリカの本質の一面を斬り暴く。世界の憲兵として、自由と民主主義をかかげる国と、たしか日本では紹介されてきたのでは?。しかし、侵略国家としてのアメリカの本質は読めば読むほど「ゲ〜」となる。しかし、人民は、歴史はだまってはいない。いま一斉にアメリカへの反逆、虐げられた国家と国民が主権と人権を主張し始めた。あたらしい民主主義の歴史がここから始まろうとしている。
★★★★ 労働者の疲労・過労と健康 ★★★★
 2008年4月1日 第1刷発行
 著者 福地保馬
 発行所 株式会社 かもがわ出版 京都市上京区(07)432-2868

★働く者の労働安全衛生入門シリーズ(全8巻)の第3巻。藤女子大学大学院人間生活学研究科教授、働くもののいのちと健康を守る全国センター理事長として、働くものの健康問題を正面からとりあげてきた筆者の実践的な解説が行われている。疲労は取り除くことが出来る。過労に至れば、労働者と家族にとっての不幸だけではない。企業にとっても生産性や人事管理面からもリスクなのである。疲労は回復することが出来、再び労働者の力を生産に発揮することが出来るのである。この書を力に、良い職場をつくろう。
★★★★ すてきな田舎 元気なふる里 ★★★★
 木曽町長 町づくり日記 田中勝己著
 2008年4月24日 第1刷発行
 著 者 田中勝己
 発行所 株式会社 かもがわ出版 075-432-2868

★「日本で最も美しい村連合」、33回を数える町の音楽会、過疎地の新しい交通システム、漆器の館 etc. 田中町長の自前の「木曽学」に基づく創意・創造の町への挑戦が伝わってくる。町長時代のエッセイやブログに掲載されたものをジャンルごとにまとめられ、町長の半生記の手記も加えられている。人間田中町長を読み、木曽という田舎への思い、そして「豊かさ」とはなにかをあらためて考えさせられた。住民自治の運動が人間と心をとりもどす重要なキーワードにもなっていると感じる。あなたも住民自治運動へ一歩踏み出さないか。
★★★★ 日本国憲法は「時代遅れ」か? ★★★★
 九条が武力紛争に挑む
 2008年4月15日初版
 著 者 松竹伸幸
 発行所 学習の友社 03-5842-5641

★この間の改憲、護憲の議論から、本当に「日本国憲法は現実的でないのか」「時代遅れ」なのかを考える著。政府や政権党が日本国憲法の逐条にそった政策の見直しと立案、行政の推進などを行ってみて、「現実的でない」とか「時代遅れ」などという検証をすべきだと考えますが、この本は、具体例でこうした考えを後押ししてくれるものです。参議院選挙後、改憲派が後退したように見えますが、これから世論をしっかりつくり、総選挙で本当の護憲、憲法実践の政治をつくる必要在り!!です。
★★★★ 不機嫌な職場 ★★★★
 なぜ社員同士で協力できないのか
 あなたの職場がギスギスしている本当の理由
 2008年3月12日第6刷発行
 著 者 高橋克徳・河合太介・永田稔・渡部幹
 発行所 株式会社講談社 講談社現代新書

★こんな職場は要注意!!「新しい事に参加してくれない」「熱意を込めて書いた提案メールに反応がない」「何回頼んでも冷ややかな反応ばかり返っていくる」「おはよう等の挨拶がなく、皆淡々と仕事を始める」「イライラした空気が職場に蔓延し、会話がない」「隣の席にいる人とも、やりとりはメールのみ」「困っている人がいても、手伝おうかの一言がない」「派遣社員やパート社員を名前で呼ばない」…など。いまの社会と職場を反映した著。みんな仲良くほんわりとしたものを求めているのに、なぜ?。本HPの論より主張の「人はなぜやる気になるのか」とも通じる分析。職場のメンタル問題とも重ねて、私たちにとって、どうすれば良い職場、良い人間関係、良い社会をつくれるのか。考えるに参考となる著。
★★★★ 自治と分権no31 2008年春号 ★★★★
 首長インタビュー 与謝野町町長 太田貴美さん
 鼎談 日本の医療はどこへいくのか?
 総務省「公立病院改革ガイドライン」を考える
 季刊 大月書店 発行 自治労連地方自治研究機構

★与謝野町長の太田さんが、合併後のまちづくりを分かりやすく話している。今季号は地方自治体の緊急の課題となっている地域医療問題の特集。課題と方向について、いくつかの角度からわかりやすく特集が組まれている。地域運動をすすめるあなたには必読書だろう。毎号も重い課題を専門的に解説されており通読されることをお勧めする。
★★★ 現代の労働とメンタルヘルス対策 ★★★
 2008年2月1日 第1刷発行
 著者 天笠 崇
 発行所 株式会社 かもがわ出版
       京都市上京区(07)432-2868

★働く者の労働安全衛生入門シリーズ(全8巻)の第2巻。「メンタルクリニックみさと」の所長として毎日多くの患者さんの治療に携わるとともに、労働組合や「いのちと健康を守る」諸団体の「メンタル対策」講演をすすめる筆者。過労自殺裁判の意見書作成や、過労自殺の研究など、労働者の心の健康のとりくみに積極的に関わってこられた実績に基づく著書は、すぐに現場で役立つ教科書である。本ページにも紹介した、「成果主義とメンタルヘルス」は大きな反響を呼んでいる。「効率化、リスクをなくせ」という経営主義は労働者が心の病に冒されるリスクの大きさを本当に考えるべきだ。健康で働ける職場でこそ「いい仕事」ができるのである。
★★★ ルポ貧困大国アメリカ ★★★
 2008年03月05日 第8刷発行
 著者 堤未果
 発行所 株式会社 岩波書店
       東京千代田区 (03)5210-4000

★アメリカの貧困者と子ども達に肥満が広がる。盲腸になるだけで破産への道、異常な医療費高。貧困世帯の青年達を兵士にかり出すリクルート産業。「ハリケーン・カトリーヌ」による大災害は、人災だった。自由と民主主義の国アメリカは今新自由主義の「民営化」で国家といえるのだろうかと言われるくらいの混乱と社会不安が広がっている。アメリカ野村證券に勤務し、9・11テロを目の当たりに、ジャーナリストに転身した彼女の鋭い社会批判の展開は、未来への警鐘であり、展望である。HIV訴訟原告の川田龍平(参議院議員)さんと結婚していいたことで最近話題になっている彼女。規制緩和や構造改革と闘う労働組合や市民運動の役員は一度は読んで欲しい一冊だ。
★★★ 誰が日本の医療を殺すのか ★★★
    「医療崩壊」の知られざる真実
 2008年02月02日 第5刷発行
 著 者 本田宏
 発行所 株式会社 洋泉社
        東京都千代田区 (03)5259-02451

★子どもは生めず、老人は追い出され、病院は続々閉鎖…。あなたも医療難民になりかねない!。現役勤務医が厚生労働省のウソを一刀両断にする。いま話題の書。4月1日から「後期高齢者医療制度」が発足するが、これが経済力世界第2位の国が取る医療制度なのかと唖然とする中身。このままで日本は良いのだろうか。引用されている朝河貫一さん(戦前の歴史学者)の言葉に考えるものがある。日本の国民性として愚かな指図や悪い指揮にも簡単に従ってしまう傾向がある…国家はその国民が人間性をもっているかぎりにおいてのみ、自由な独立国である。しかし、その政治体制が民主主義の組織をそなえているというそれだけでは、自由な独立国とはいえない。「自由主義にあっては、その国民が世界における人間の立場を、すべてにわたって意識するまでに進歩しているかどうか」−それこそが重要である。
★★★ ストレスによる健康障害とその予防 ★★★
 2008年2月1日 第1刷発行
 著者 須田民男
 発行所 株式会社 かもがわ出版

★働く者の労働安全衛生入門シリーズ(全8巻)の第1巻。循環器系の専門医として、心臓病の治療に長年携わってきた著者が、ストレスが健康に及ぼす影響について労働者に伝えてきた内容をまとめた。心臓病は何が原因で引き起こされるのか。その研究からストレスとの因果関係を解明した。いま職場では労働に起因するストレスが広がり、労働者の体と心を蝕む現実がすすんでいる。このようなときに、労働法制のいっそうの緩和は、ますます労働者の健康被害を広げる結果に。貴重な労働力を使い捨て、消耗品としないために、労働者や管理職などの基礎知識として、このシリーズを読んでおく必要がある。健康で働ける職場でこそ「いい仕事」ができるのである。
★★★★ 自衛隊の国際貢献は憲法九条 ★★★★
 2008年03月20日 第1刷発行
 著 者 伊勢崎賢治
 発行所 株式会社 かもがわ出版

★2003年2月から日本政府特別顧問として、アフガニスタンにおける武装解除を担当。国際NGOの一員として、アフリカでの活動。国連東チモール暫定行政機構上級民生官として、現地コバリマ県知事を務め、国連シエラレオネ派遣団の武装解除部長として、武装勢力から武器を取り上げる活動など、紛争の最先端での実戦経験から、憲法を語る。机上の空論でない、地に足をつけた平和論が、説得性を持つ。日本国憲法9条の値打ちを本格的に知る有益な「本」だと思う。これもまた多くの人に読んで欲しい推薦の書ではないか。(半可通)
★★★★ 山城国一揆 国人列伝 ★★★★
2007年11月20日 第1刷発行
 著 者 東義久
 発行所 図書出版 文理閣(京都市下京区 075-351-7553

★東義久さんの「小説山城国一揆」「絵ものがたり山城国一揆」に続く三部作。著者がこの小説を書くきっかけは「国人」とはなにかというテーマ、一作目に寄せられた質問からだと言う。今からおよそ500年前、山城の地では自治と平和の国創りがあった。このテーマから面白く、興味がそそられる内容である。