御室川


私の住んでいる近所の「御室川」

河辺に木々が茂り、御室川は再び四季を映し始めている

山から里へ・・・表情さまざま

梅ヶ畑山中からわき出た水の妖精は山里を潤すせせらぎになり、
国道162号(周山街道)沿いを縫って山越に向かう三叉路あたりで本格的な川になる
井出口川と合流した御室川は鳴滝、宇多野の住宅街を蛇行。
新丸太町通で立体交差とJR線をくぐって天神川通に沿って南下、
御池通で天神川と合流する。
山から里へ。
さらに幹線道路と競うように流れる約6.3Kmの川の流れは、
さまざまな表情を見せながら人々の暮らしを支えてきた
平安期には西京極大路に並行していたといわれる歴史を刻んだ御室川だが
幾多の洪水に見舞われ、戦前に大改修が行われて、
自然の素顔が消え整形美人に生まれ変わった
それでも上流の芭蕉の句碑の立つ鳴滝付近は格好の子供の遊び場だった

近くに住む人は「顔も牛も洗い、洗濯もした生活に欠かせない川で、
滝壷は夏にはプールになり、小魚を取りホタルを追っかけた」という。
かつての流れを変え、高さ4.5mのコンクリートで護岸された川のほとりは
洪水の心配もなくなり次々と住宅が建て込んだ。
下水、水道が完備した川は暮らしから見捨てられ、ゴミ捨て場になってしまった。

その御室川が今、甦ってきた。
鳴滝本町から宇多野法安寺町を流れる川沿いに桜が植えられ木々に
四季の花が咲いている。川底にもゴミひとつ落ちていない。

川沿いに住む学区美化委員さんは「かつては自転車や畳なども散乱していたのに
今では毎春の川掃除に300人もの住民が集まるようになった。
川縁の木も近所の植木屋さんがボランティアで剪定してくれる」と話す。

岡本さんが30年前に植えた桜が満開のこの春、ライトアップして河辺に彩りを添えた。

子供はまだ帰っていないが、古橋と苔むす川壁が新緑に映えて
御室川は再び四季の移ろいを映し出した。


さらに南下すると畑も顔をのぞかせ、川沿いは散策道にもなっている。
農園沿いの林の中をくぐると川は新丸太町通と天神川通に近づく。
車が主役の道路沿いを流れる川は再び見向きもされなくなり顔を曇らせる。

立体交差の暗渠をくぐると天神川通。人影がなく、気ぜわしく走る車道に
並行して流れる深い川底は、車からは見えない。

川を歩いていると家屋の裏を流れる川は汚く、表を流れる川は綺麗だ。
治水から環境の主役に、平成の川は暮らしの新たな役割を担いつつある。



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穴太寺
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