
オルヴァル修道院は、ベルギー南部のアルデンヌと呼ばれる広大な森林地帯の奥深くに静かに厳粛にたたずんでいます。荘厳な修道院の脇には廃虚となった昔の修道院跡が残り、歴史をいろいろと物語ってくれます。生い茂る草の中に残る支柱や壁・・・・
そんな廃虚の中に「マチルドの泉」とよばれる小さな泉があります。こんこんと湧く泉には伝説が残されていました。
1076年ごろ、イタリアのトスカーナ地方出身のマチルドという伯爵夫人がこの地を訪れたときのこと、うっかりとご主人の形見の結婚指輪を泉の中に落としてしまいました。彼女は一生懸命マリア様にお祈りし「もし私の指輪を戻していただけるのならば、お礼に立派な修道院をこの谷に建てます」とお願いしました。すると、一匹の鱒が彼女の指輪をくわえて水面に姿を現したのです。「ここは黄金の谷!!」とマチルドは喜びの声を上げ、その「黄金の谷Vald'or」に因んで今のオルヴァルOrvalの地名はつけられたと言われています。この伝説の泉は「マチルドの泉」と呼ばれ、オルヴァルビールは今もこの水で作られています。そして、金の指輪をくわえた鱒は、オルヴァルのシンボルマークとなっているのです。
再建終了後、醸造所から得られた収益は慈善事業に寄付されている。これはシトー派の伝統でもあり、修道士達は質素な生活を守り、ビールの他にチーズ・パン・蜂蜜菓子等を作っています。

現在、正真正銘の「トラピストビール」は世界で6ヵ所。そのうち、ベルギーには5ヵ所あります。(1998年末、ベルギーで聖ベネディクトス修道院が醸造を開始したので、厳密には世界で7カ所その内ベルギーで6カ所となりますが、この修道院は瓶詰での販売をせず、修道院併設のカフェで飲むだけの限定販売です、)これらのトラピスト会の厳格な規則に従っている修道院で作られる製品だけが、「トラピスト」の看板を掲げることができ、共通の「トラピスト」マークが付けられています。

1. 修道院敷地内で醸造されている
2. ビール醸造についての権限は修道士達にある。(ただし、従業員は修道士ばかりとはかぎらない)
3. ビール販売に於ける収益は修道院の運営管理に使われ、余剰利益は地域社会の慈善事業などに使われる。毎年様々な慈善事業からの申出がある。
4. はっきりした特徴のあるビールである。(すべて上面醗酵で瓶内で熟成させるアルコール度の強めのビール)
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