アーユルヴェーダと般若心経

アーユルヴェーダと共に発展したとされるインド仏教ですが、アーユルヴェーダの教えと仏教の教えが集約されている般若心経はほとんど同一のものの様です。

ご存知のように般若心経とは仏陀(釈迦)が難行苦行の末、到達した生き方の真髄とも言える、幸せに至る事が出来る、”真実に目覚める智慧”が記された仏教の経典ですが、

お釈迦様の主治医、シーヴァカがアーユルヴェーダの名医だったという影響もあってお釈迦様が教えをいかにして体系化するかを考えた時、既にその頃、科学としての体系が出来ていた

アーユルヴェーダを取り入れたとされています。

仏教は”空の教え”と言われますが、般若心経の『色不異空。空不異色。色即是空。空即是色。』に教えが集約されているのでしょう。

”色”は形あるもの。欲望の対象となるもの。”空”とは何もとらえるべきものがないこと。欲を離れる事。と解釈されます。

すなわち『形あるものは空であり、空なるものが形あるものを構成している。従って形あるものは全て空であり、空がもろもろの形あるものとなっている』

つまり、色(物質、欲望の対象)は瞬時も常在せずに変化し、やがてなくなる。”空”であること、実体は何もとらえるべきもない。と言うのです。

人間の欲望というのは、お金や車、貴金属、家、洋服など目で見て欲しいと思い、他人と比較し、更に立派な物を・・・・と ”色”が根底になっている。

私達が幸せであると思い求めているものは欲に立脚した一時的な快楽に過ぎない。

真の幸せに至るには所有、比較、競争という物にとらわれた価値観を捨て去り、とらわれない心、広い心で生きること。

”心の安らぎ” の中に真の幸せがあると言うのです。

アーユルヴェーダには、”人生の4つの課題”があります。第一にダルマ(義務)で、家族や社会、国、人類へと自分に与えられた仕事を果たす事。

第二はアルタ(富利)で生命の存続、生活に必要な経済力を確保する事。

第三はカーマ(喜び)であり、物質的、身体的、精神的な喜びを充たす事。

そして第四としてモークシャ(解脱)があります。

これは心身、現世からの解放、真の自分自身に出会う事を意味します。

第三までの課題は地上的な喜びを目的にしていますが、モークシャは物質、社会的地位、名誉などのあらゆるこの世への執着やとらわれから解放されることにより

高い次元の精神性が得られ、真の自分自身(魂、純粋意識)に出会え、永遠の幸せが得られるというものです。

まさに”心身魂の調和状態”に達するのです。これは仏教の目的と一致するもので”完全に悟った状態”と言えるでしょ う。

そして、それは瞑想やヨーガによりその境地に達する事が出来ると言います。

276文字に込められた”生き方の真髄”が記された経典、般若心経を見直し、私達にとっての本来の幸せとは何か、考えてみては如何でしょうか?!

参考文献寿命の科学(稲村晃江;主婦と生活社)
インド神秘事典(伊藤武;講談社)
般若心経のすべて(公方俊良;日本実業出版社)


次へ

Homepageへ