ダラムサラへ
<ダライラマ法王をたずねて>

イナムラ・ヒロエ・シャルマ(大阪アーユルヴェーダ研究所所長)


(昨年の8月末に高野山大学前学長の松永先生と 四国の萩生寺の斉藤住職とハリ・シャンカラ・シャルマ博士が ダライラマ法王を日本に招待したいという計画の中でダラムサラ の事務所へ手紙を送った所、日本に行く事は難しいが、ダラムサラに 是非どうぞとの招待を受け今回のダラムサラ行きが実現したという事です。)

6月初旬インドに帰国した際、

私達は北インドのダラムサラにおられる ダライラマ法王に会いに行きました。

避暑地として有名なダラムサラは デリーから約600キロの所に位置し、細く曲がりくねった山道を車で 行くためデリーからおよそ12時間ほどかかります。 途中、何百人も泊まれる大きなシーク教の寺院に宿泊しました。 ダラムサラに近づくにつれ雪がまだ少し残っている雄大な山の景色が心を 和ませてくれたものです。そして厳しいセキュリティーチェックを受けた後やっと ダラムサラに入る事を許されました。

今年はチベット亡命政府ができてから 360年の記念すべき年

と言うことでお祝いの式典が何日も行われ、世界中から ダライラマ法王の謁見にあずかりたいと多くの人達が来ていました。 日本からも14〜5人のチベット事務所の人達が来ていました。3日間滞在 しましたが、毎朝早くから手荷物などのセキュリティチェックを受けた後、寺院に入り ダライラマ法王の有り難い法話を拝聴する事が出来ます。

チベットの生き仏、ダライラマ法王は14代のチベットの宗教的政治的最高指導者 として4歳の時に正式にダライラマ14世として即位し、その後中国共産党がチベットへの侵攻 を開始すると14歳の頃から国家指導者としての道を歩み始め、ついに23歳(1959年)の頃 インドへの亡命を余儀なくされた”運命の人”

でダラムサラにチベット亡命政権を樹立し、現在に至っているのですが、亡命により世界中にチベット仏教が広まることになったとされています。 ダライラマ法王は

愛と慈悲心の力を信じる生き方や平和が一番大事

だという事を説かれていました。そして

独立心をもって行う事の大切さ

を説かれていましたが、その為に個人生活に於いても勇気をもって物事を切り開いて行くこと、 そのためには様々な知識が必要となりますが、学習を積む事で知識を得る事が出来、

学ぶということが神様(仏教の教え)を信じることに通じていて

失敗を恐れずに試してみようとする気持ちが生まれて来るという事につながっている。 私はダライラマ法王の口から”独立心”という言葉が出てきたことが印象的でした。法王はチベットが中国から独立する事を未だ強く望んでいるのでしょう。 穏やかで飾らない笑顔で身体を揺さぶりながら話される法王ですがたいへんな意志の強さを感じ、人をひきつけてやまない法王の一面に接すること ができました。 人類は物質的進歩を極めた結果、最も大切な心の内面、精神的価値を忘れかけています。世界中では様々な争い、事件が多発しています。また人類を含めた生物の子孫繁栄が危うい状況にあるとも言われています。

この様なときにこそ愛と慈悲心によって他者を思いやり、ある面では物事を学習、理解し論理的に分析し、真実を何よりも尊重するという (仏教の)教えが宗教の枠組みを越えて価値を持ってくるのかもしれません。

法話が終わると修行僧達により牛乳とチベットハーブを煮込んだ塩味と甘味が混在したミルクティーが参加しているみんなに ふるまわれました。これは法王から私達への祝福のしるしと参加者全員は感謝し有り難くいただきました。


イナムラ・ヒロエ・シャルマ先生にインタビューさせていただきまとめたものです。

合間を利用してシャルマ博士はダラムサラのチベット医学(アーユルヴェーダの多大なる影響を受けている)の病院を訪問されたそうですが、 ダライラマ法王は水銀剤に関心をもたれていてその病院にも話を聞きに来られるそうです。 法王は広く様々な分野に興味をお持ちの方のようですね。

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