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Yes

Big Generator Tour@大阪府立体育館(Apr./12/88)

この日のショウは最前列で見ました。最前列というのは未だにこのショウだけじゃないかな。しかもguitarのTrevor Rabinの真ん前。当時のYesはTrevorが中心だったので、演奏を聴くという点ではこの座席がbestでした。何しろ照明が消えていても指先までよく見えるし、音だってアンプを通さない音が聴こえるという具合である。こうなると余程のトラブルが無い限り、ショウの印象が悪いわけが無い。Yesのライブに何を期待するかというと、それはもうあの複雑な楽曲をいかに再現するかという点に尽きるのだが、実際に目の当たりにしても彼らの演奏技術に関して文句の付けようが無い。

まあそういう訳で演奏に関してはコメントすることも無いのだが、オープニングの演出が今でも印象に残っている。それは彼らの最新シングルであった「Rhythm of Love」のdance remix versionが会場に流れる中、メンバーが登場するというものなのだが、そうすると思わず「このライブ、口パク?」と不安がよぎってしまう。しかしこのテープで流れる曲が一瞬ブレークした所で「Rhythm of Love」のバンドによる演奏が始まるようになっていて、これがかなり格好よかった。こういう単純だがインパクトのあるオープニングってもっとあってもいいと思うけど、意外にこのパターンは他で見たことはない。

ちなみに最前列にいてわかったことだが、彼らのようないわゆるプログレのバンドでも、メンバーは女性のいる所しか客を見ていない(笑)。

Yesshows '92@大阪城ホール(Mar./02/92)

このツアーはYesに在籍していたメンバー8人が一同に会して演奏するというツアー。要するにJonが脱退した「90125 Yes」とABWHがそれぞれ作っていた音源を強引に「Union」というアルバムにまとめて、しかも続いてツアーもしてしまおうという、創造性というよりどう考えてもビジネス上の判断の産物である。

だいたいvocalはJon Anderson、bassはChris Squireで1人ずつだとしても、guitarのTrevorとSteve Howe、drumsのAlan WhiteとBill Bruford、Key.のTony KayeとRick Wakemanってそれぞれ全然違うタイプのプレイヤーではないか(だから共演する意味があるとも言えるが)。実際に演奏を聴いてみても8人ならではの演奏というより、曲によってそれぞれパートを分け合ったようである。だって「Owner of A Lonely Heart」なんてどこにSteveが絡む余地がある?

まあそれでもさすがにみんなプロフェショナルで演奏にそつはなく、今回限りというイベント色で押し切ったショウではあるが十分楽しめた。選曲も新旧のYesの代表曲でまとめられ、そこにソロ・パートもちゃんと挟み込むという豪華さ。もっともこのラインアップが長続きするわけなく、日本ツアーの後、結局バンドは「90125 Yes」の編成に戻っていった。一体何なんだ...。

Japan Tour '12@あましんアルカイックホール(Apr./21/12)

Yesが来日したのは9年ぶりらしいが、僕がライブを見るのは20年ぶり。20年ぶりか...。

さて、今回のメンバーは「Drama」のときと基本的に同じで、vocalだけJon Davidsonという人。だいぶ前にJon Andersonが病気で離脱して、替わりにBenoit Davidが入って新譜を作ってツアーに出たら、またこの人も病気で脱退。ミュージシャンもツアーで稼ぐ時代とはいえ、体調管理など大変だ。

さてこのJon Davidsonだが、やはり特筆すべき点は、そのオーラというか存在感の無さだろう(笑)。こんなにvocalに存在感がないショウは初めてかもしれない。いや、入ったばかりだし、年齢の他のメンバーと比べればかなり若いし、仕方ないと思うんですけど。声はJon Andersonをよく真似ていて頑張っているんですよ。でも存在感がないんで、Jon Andersonがステージのどこかに隠れて歌っているみたいな雰囲気だ。まあ、お客は昔の曲を聴きたくて来ているので、これでいいような、しかし「何だかな...」という感も否めない。

それ以外のメンバーは還暦過ぎていて、Steve Howeなんか引退してから10年以上経ったような風貌だが、曲の間でもこまめにguitarを交換し、演奏自体も意外にアグレッシブだ。KeyboardsのGeoff Downesはプレイヤーとしては地味な人なので、年齢のこともあるのか昔みたいに各プレイヤーが技術をぶつけ合うというよりも、アンサンブルを重視していたような気がした。そういうわけで昔のような緊張感はないが、演奏自体は手堅くまとまって悪くなかった。また、やはりこの年齢で20分以上の組曲「Fly from Here」をやっているのも凄い。

でもね、ヒット曲だからと言って、無理して「Owner of A Lonely Heart」はやらんでいいですよ。この曲をHoweのguitarで聴きたいと思わないし、実際に合ってないし。

Set listは以下の通り。 Yours Is No Disgrace/ Tempus Fugit/ I've Seen All Good People/ And You and I/ Solitaire/ Sketches in the Sun/ Fly from Here - Overture/ Fly from Here - Pt I - We Can Fly/ Fly from Here - Pt II - Sad Night at The Airfield/ Fly from Here - Pt III - Madman at The Screens/ Fly from Here - Pt IV - Bumpy Ride/ Fly from Here - Pt V - We Can Fly (Reprise)/ Wonderous Stories/ Heart of The Sunrise/ Owner of A Lonely Heart/ Starship Trooper/ Roundabout

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Yes featuring Anderson, Rabin, Wakeman

2017 Japan Tour@あましんアルカイックホール(Apr./21/17)

来日直前になってグループ名に"Yes"が追加された。これで本家YES (official)と合わせてYesは2つ存在することになるが、Chris亡き後、もう誰がYesを名乗っても大きな問題ではないのだろう。

ショウは90125のCinemaでスタート、その後、Perpetual Changeと、初期からUnionまでのアルバムから代表的な曲を満遍なく取り上げたセットリストだった。演奏は基本的には原曲に忠実だが、90125以降の楽曲にはRickがオリジナルのフレーズを混ぜ込んでくる。

今回はギターのTrevorにとって久しぶりのツアーということで80年代のYesが好きなファンにとっては満足だったろう。しかし残念な点もあった。

第1に、僕の席がかなりRick寄りであったことから、キーボードはよく聴こえたのだが、Trevorのギターはもう1つはっきり聴こえなかった。もし席が違っていれば、聴こえ方も違っていたのであろうか?

第2に、やはりChrisの高音コーラスがないのが残念。ベースはそれなりにChrisのフレーズを弾いていたと思うが、やはりコーラスまではカバーしきれていない。ChrisあってこそのYesであることを再認識してしまった。

本編最後はOwner of A Lonely heartだが、アウトロでSunshine of Your Love, Crossroads, Twis and Shoutをメドレーでやったのが印象的だった。YesがCreamの楽曲をカバーするなんて、これまでなかったのではないか。

Chris亡き後のYesは、ChrisのいたYesと全く違うことはメンバーも十分に分かっているはずだ。Creamをカバーすることにも表れているように、Yesというグループ名にはこだわる一方、このグループはYesとは違うどこかに向かう予感を感じさせる、そんなショウだった。

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