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TOTO

Reunion '99 Concert World Tour@大阪厚生年金会館(Feb./15/99)

「Reunion」と言ってもTOTOが正式に解散したことはないので、これはvocalに初代のBobby Kimballが復帰したことを意味しているのだと思う。TOTOはBobbyが脱退した後、コロコロとvocalistが替わっていって、結局最後にguitarのSteve Lukatherが兼任するようになった。「Gerogy Porgy」なんてTOTOの中で一番好きな曲だし、Lukeのvocalは決して嫌いではないのだが、ライブでBobbyのパートなどをback vocalistに任せてしまうのは音域の点で仕方ないとしても、(ライブ音源を見たり聴いたりしているだけでも)何か中途半端な感じでやはり不満の残るところだった。その意味でBobbyの復帰は大歓迎である。

TOTOはもともと優れたスタジオ・ミュージシャンの集まりであるが、そのためかBobbyのvocalはレコードに比べてライブ・パフォーマンスがイマイチだったという話がある。つまり喉がそれほどタフでなく、連日のツアーですぐ痛めてしまって(当時は酒も飲みすぎていたらしいが)、すぐ音程をはずしてしまったり声が出なくなってしまったらしい。しかし今回はショウの間、Lukeとvocalを交互に担当することにより負担が集中するのを回避して、ちゃんと歌えていたと思う。

ところでTOTOは結局のところJeff Pocaroのバンドだという意見がある。確かにあの唯一無比のgrooveを考えればその意見に反対する理由はない。しかし後任のSimon Phillipsはスタイルこそ違うものの、TOTOの音楽性の前進に非常に貢献していると思う。新作からの「Better World」や「Cruel」のような曲はSimonあっての曲だし、CDではJeffがプレイしていた「Jake to The Born」みたいなインスト曲もSimonで何の遜色もない。そんな訳で個人的にSimonのいるTOTOに僕はそれほど否定的ではない。

ショウの構成も往年のヒット曲、近年の作品、アコースティクのセット、各メンバーのソロ・パートをうまく配置した充実したものだった。Simonのドラム・ソロを聴いているとこの人のリズム感はどうなっているのだろうと思ってしまう。Daveのピアノ・ソロから「White Sister」につなげていくような演出も見事だった。結果的に冒頭で書いたように「Rosana」や「Africa」、そして終盤の「White Sister」、「Girl Goodbye」、「Child's Anthem」、「Hold The Line」の4連発をBobbyのvocalで聴けたのが大きかったが、Simonのおかげで単なる懐メロ・ショウになっていなかったと思う。ただ、選曲に関しては「Gerogy Porgy」を生で、しかもJeffのドラムで聴いてみたかったよ。

25th Anniversary Tour@大阪厚生年金会館(Dec./14/02)

メンバーは前回のツアーと全く同じ。ということはバンドの状態が安定しているということだろう。毎回、何かと不安視される(笑)、vocalのBobby Kimballのコンディションも良かったと思う。それだけにBobbyが復帰して喜んでいた前回のツアーと比べると、こちらの見る目もどうしても厳しくなってしまう。

まず賛否両論あると思われるメドレー形式の演奏。2曲目はGoodbye Elenore〜Child's Anthem〜I'll Supply the Loveというメドレーだったが、観客の多くはやはりそれぞれフルで聴きたかったのではないか?もちろんそれには理由があって、TOTOはチャート的なヒット曲は必ずしも多くはないが、ライブで演奏されるべき定番曲はたくさんあるから、こうでもしないとファンの要望に応えられないのだろう。それに彼らはみんな一流のミュージシャンなので、同じ曲を同じように演奏していると飽きてくるだろうし、そういうマンネリ防止策なのかもしれない。同じことはGoodbye GirlやI Won't Hold You Backなどアレンジを変えて演奏された曲についても言えるだろう。

まあベテランバンドになればショウのセットリストをどのように決めるかは永遠の課題だろう。曲がどうであれ、一流のプレイを聴かせてくれる点では確実に満足できるショウであった。個人的にはSteve LukatherのギターソロでYesのRoundaboutのフレーズを弾いていたのが嬉しかった。でもLukeは歌がちょっとやばかったし、ソロでもちょっとミスっていたし、実は酔っ払ってなかったか(笑)?ちなみに厚生年金会館は立ち見が出ていた。TOTOってまだまだ人気あるよね。

Falling in Between Tour@グランキューブ大阪(May/02/06)

別に脱退したわけではないが、ついに今回のツアーのメンバーからDaveがいなくなってしまった。替わりというか新メンバーのGreg Phillinganesが上手いのはわかっているし、これまでの活動遍歴からすれば、TOTOのメンバーになってもおかしくない。それでもDaveは数少ないオリジナルメンバーだから、やはり彼がいるのといないのとでは存在感が違う。

とはいえ、新たなメンバーが増えたことがプラスになったこともあった。オリジナルのメンバーが少なくなれば、昔の名曲をオリジナルメンバーの演奏で聴きたくなるという欲求は薄くなる。その代わり前回、問題に感じた過去の曲のメドレーもむしろ色々な曲が聴けてお得な気分になってくるのだ。今回はこれまでのアルバムのほとんどから満遍なく選曲されていて、意外な選曲もあって新鮮なセットリストだった。ベテランバンドのライブというと、過去の名曲+新作という感じで、前作やその前のアルバムの曲なんかなかったかのようにセットリストから外される。これは残念だ。そういう比較的最近のアルバムにもいい曲はあるんだし、それに2、3作前のアルバムだって(当然と言えば当然だが)作ったときは「最高傑作」って言っていたじゃないか。できればそういう曲もフルサイズで聴きたいのだが、まあ時間の制約もあることだし仕方ない。

とはいえ、これまでみたいにショウを観て気持ちが熱くなったわけでもないのもまた事実。今のバンドがめちゃくちゃ上手いTOTOのコピー・バンドっていう批判があっても、そういう後ろ向きな見方はしたくはないが、反論も難しいだろうな...。セットリストは以下の通り

Falling in Between/ King of The World/ Pamela/ Bottom of Your Soul/ Caught in The Balance/ Make Believe/ Hold The Line/ Stop Loving You/ I'll Be over You/ Cruel/ I Will Remember/ Greg's Solo/ Rosanna/ Let It Go/ Endless/ Isolation/ Gift of Faith/ Kingdom Of Desire/ Luke's Solo/ Simon's Solo/ Taint Your World/ I Won't Hold You Back/ Girl Goodbye/ Home of The Brave/ Africa

In Concert 2011@アルカイックホール(Sep./26/11)

結論から言うと、ここ十数年の中でbest showだった。メンバーのモチベーションも高そうだったし、バンドも非常にまとまっていた。これも今回のツアーが、闘病中のMike Porcaroへのbenefit concertだったからだろう。

Jeff亡き後、バンドを仕切ってきたのはLukeであり、その結果、サウンドはギター中心でloudなものになった。そうしたことが影響したのかどうかはわからないが、影が薄くなったDaveは、ついに前回のツアーには参加しなくなってしまい、傍目から見てもメンバーのバンドに対する姿勢はバラバラであるよう感じられた。技術的には一流のミュージシャンのサポートを得て前回のツアーは行われたが、演奏は言うまでもなく巧くても、バンドそのものは自身のtribute bandのようだった。

しかし今回は違う。相変わらずLukeがバンドを仕切っているものの、Lukeだけが目立つのではなく、メンバーが均等にfeatureされている。オリジナルのメンバーはLuke、Daveに加えて、久しぶりにSteveが復帰。やはりそれだけで雰囲気はだいぶ違う。Simonのドラムも相変わらず手数は多いが、変にうるさ過ぎることもない。Josephの外見はAxel Roseみたいだが、声はよく出ている。Nathan兄貴はいつでも最高だ。

音楽的にもDaveとSteveのtwin keybordsは大きい。TOTOの音楽はロックやプログレだけでなく、R & Bの影響も強いはずなのだが、こうした楽曲の雰囲気を再現するには、やはりguitarはLuke1人でkeybordsは2人必要だろう。最近のライブは必ずguitarにサポートが1人加わる一方、keyboardは1人だったから、ロック色が強くてR & Bの要素はかなり後退していたからね。

Steveが作曲したからだろうが、Michael Jacksonの「Human Nature」も演奏された。考えてみると、Thrillerで演奏していたのはほとんどTOTOのメンバーだから、歌を除けばほとんどオリジナルに近い。こんな感じで彼らが実際に演奏した、他のミュージシャンの楽曲のカバーをやるライブをやるのも面白いと思うけど、どうかな?

Child's Anthem/ Till The End/ Afraid of Love/ Lovers in the Night/ Somewhere in The Night/ Pamela/ Lea/ Gift of Faith/ Keyboard Extravaganza/ Africa/ Human Nature/ Rosanna/ Georgy Porgy/ Stop Loving You/ Home of the Brave/ Hold the Line

35th Anniversary Tour@大阪フェスティバルホール(Apr./24/14)

ドラムスが、ついにSimon Phillipsが脱退してKeith Carlockに替わった。SimonよりはKeithの方がTOTOにとっては相性がいいのではないかと思っていたが、その通りのショウだった。同じ曲でも、ドラムスが違うとこんなに印象が違うのか、と新鮮な気持ちで聴くことができた。そういうこともあって、前回のツアーがここ10年の間ではベストのショウだと思っていたが、今回のツアーはそれを上回っている。Keithが加入してまだ2回目のショウだったから、回数を重ねるごとにもっと良くなるだろう。TOTOが来日するたび、ライヴを観ているが、ここしばらくはちょっとマンネリ気味だったのも事実。しかしKeithが加入して、まだまだTOTOはイケそうな感じがする。来年にリリースが予定されている新譜やそれに伴うツアーが楽しみだ。

On the Run/ Goin' Home/ Hydra/ St. George and the Dragon/ I'll Be over You/ It's a Feeling/ Rosanna/ Wings of Time/ Falling in Between/ I Won't Hold You Back/ Pamela/ 99/ White Sister/ Africa/ How Many Times/ Stop Loving You/ Hold the Line/ Home of the Brave

40 Trips around the Sun Tour@大阪城ホール(Feb./21/19)

大阪城ホールに来るのは本当に久しぶり。僕が観に行くようなアーティストはホール級の会場が標準か、来日してもライブをやるのは東京だけだから。大阪城公園駅からホールまでの通路もすっかり変わってしまった。

それにしてもTOTOの大阪公演が大阪城ホールと聞いて、アリーナ級の会場は大き過ぎるのでは、と危惧した。会場がスカスカで機嫌悪くなられても困るし(笑)しかし会場に入って納得。ステージを長い方に配置して、敢えてアリーナを狭く使うのだ。Def LeppardとWhitesnakeのショウでも確かこの方法だった。もちろん座席数は通常の半分にはなってしまうが、それで9割埋まっていたのは流石だ。

ショウは新曲のDevil’s Towerでスタート。次がデビュー曲のHold the Lineとまずはバンドの歴史を俯瞰してみせる。そう、今回はバンドの40周年を記念するツアーなのだ。RosannaやAfricaといったヒット曲は必ず演奏するが、有名曲ばかりでもなく、これまでのアルバムから満遍なく選曲されていた。レアなDuneを演奏したり、個人的にはJake to the Boneがセットリストに戻ってきたのが嬉しかった。

演奏はまとまっていたが、Daveの病欠はやはり残念。それとShannon Forestのドラムスがもう一つ馴染めなくて、グルーヴを堪能する程までにはエキサイトしなかった。

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TOTO/ Boz Scaggs

Japan Tour@フェスティバルホール(Mar./24/08)

もう少し前からではあるが、アメリカではセールス面のピークを過ぎた往年のバンド(アーティスト)がジョイント・ツアーをやるようになった。これは前座と本番というよりは、ほぼ同格くらいのバンドが一緒にツアーを回っている。まあ実際のところ、昔は単独でアリーナを一杯にできたようなバンドがさすがに今は厳しいのでジョイントでツアーしているということなのだろう。普通は2つのバンドが共演したりするのだが、そこで意外な共通点が発見できることもあるので、なかなか「お買い得」な企画である。

とはいってもこれはアメリカの話で、日本ではなかなか難しいだろうなと思っていた。というのは、いくらセールスでピークを過ぎたとはいえ、かっては「大物バンド」だったわけだから、ギャラもそれなりにするだろうし、ジョイントになればチケット代も1万円は軽く超えてしまう。このデフレの時代に1万円を越すチケットを誰が買うのか、という疑問もプロモータにはあったと思う。しかしここ数年、Stonesなんかの高額チケットも売れることから、40歳代くらいなら1万数千円でも払うと思われたのか、遂に日本でもアメリカ並みのジョイント・ツアーが実現した。それがこのTOTOとBozの共演である。

いまさら説明するまでもなく、TOTOとBozであればあって当然の組み合わせである。そこに今後のTOTOの無期限活動停止や、ツアーを引退していたDaveの参加が発表されてスペシャル感が一層増すことになった。実際、どの公演でもチケットは売り切れのようで、立ち見券も入手するのが難しかったらしい。ウドー音楽事務所の読みは大当たりである。

最初はBozのショウからスタート。曲目もGreatest Hitsという感じであったが、そこにアラン・トゥーサンのカバーなんかも挟んでバラエティに富んだ選曲をしていた。この辺はBozのステージにも客演したDaveへの配慮かもしれない。PAの問題だろうか、リズム隊のインパクトが少々弱いように個人的には感じられた。最後には「Breakdown Dead Ahead」でLukeも共演。約90分のショウは幕を閉じた。

さてここでセットの交替なのだが、何しろこれはジョイント・ツアーだからTOTOもBozも時間は短めとはいえ同じだけショウをやるのだ。休憩を挟んでTOTOのショウが始まったのが9時くらい。これは一体、何時に終わるのだろうか...。

今度はTOTOの出番だが、セットリストは前の来日公演の短縮版。前回の来日公演の後もずっとツアーを続けていたわけだから、さすがに演奏はスキがなくまとまっているが、特に変化もないわけでやや退屈。選曲も最近の曲が多め。Bozとの共演なんだから、もうちょっと初期の曲をと思うのだが。おまけにDaveもキーボードはステージにセットされているが、気が向いた時だけ演奏するスタイルで、Gregとの本格的なツイン・キーボードというわけではない。Bobbyの歌もますます酷くなっている(笑)。まあつまり、TOTOの方はジョイントだからとか、Daveがいるからとか、これで最後だからという理由で特に気合を入れているわけでもなさそうだ。この辺も現在のバンドの状況が反映されているような気が...。

最後の最後にBozがもう一度ステージに戻ってきて、「With A Little Help from My Friends」のカバーを演奏しておしまい。この曲のBobbyの歌は良かったです。もちろんBozも。完全にショウが終了したのが、10時45分くらい。こういうジョイント・ツアーは歓迎だが、結構、長時間で大変です。

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Tower of Power

Japan Tour@IMPホール(Feb./16/92)

白人ファンク・バンド、Tower of Powerの最大の売りはホーン・セクションが5人もいるところだろう。今時、5人もホーンを揃えてライブをやってくれるバンドなどなかなかお目にかかれない。この時のツアーは彼らの復活第1弾、「Monster on A Leash」をリリースした後のツアーである。メンバーも結構、替わっているようだが、彼らは一年中ツアーしているみたいなので、準備不足によりパフォーマンスが悪くなるようなことはなさそうである(もちろん誰が演奏するかで印象は変わってくるが)。

実際のショウだが、年中ライブやってます、って感じで一糸乱れぬアンサンブルはお見事。ファンクといってもこの人達のグルーブはちょっと変態的なので普通に踊ろうと思ったら期待はずれかもしれない。しかしホーンセクションの迫力、鉄壁のアンサンブルはライブで聴くと神経中枢を直撃するようで、ダイレクトな快感が得られること間違いなし。新譜からの1曲、インストの「Mr. Toad's Wild Ride」がとても格好よかったです。

Japan Tour(Jun./1993)

復活作第2弾、「T.O.P.」は前作とほとんどメンバー・チェンジなしに作られたアルバムである。したがって当時のバンドのコンディションは非常に良かったと思うし、実際「T.O.P.」は近年の作品の中ではbestだと思っている。前回のショウが素晴らしく、新作の出来が良いのであれば、当然、ライブに足を運ばなければならない。

前回のIMPホールは椅子席だったが(といっても座って聴いてる人はあまりいなかったが)、今回のホールはオール・スタンディングなので、より本場に近い雰囲気でショウを楽しむことができたのではないかと思う。ただしメンバーは10人いるわけで、10人があのステージに立っているのはいかにも狭そうであった。もっともこのバンドはどこへ行ってもこういったライブ・ハウス規模の会場でやっているだろうから、慣れているとは思うけど。

ショウ自体の出来は全く問題なし。ある意味、前回と同じといえば同じだが、やはりオール・スタンディングで観ている分、盛り上がるかな。新譜の中では直球ファンクの「Soul with Capital S」、TOP流AORの「I Like Your Style」が好きだったのだが、実際にライブで2曲とも演ってくれて嬉しかった。

30th Anniversary Tour@バナナホール(Sep./1998)

5年ぶりに彼らのライブを観に行くことになったが、その間にいくつかの変化があった。それは彼らにとって恒例のメンバー交代であるが、まずvocalのTom BowesとguitarのCarmen Grilloが脱退している。僕は彼らの持っているポップさが、TOPの音楽性にいいアクセントを与えていたと思っていて、その結果、名盤「T.O.P.」が生まれたのではないかと考えている。だからguitarはともかくvocalが黒人のBrent Carterに替わったことは残念であった。ファンクなんだからvocalは黒人でいいだろうと言う人もいるかもしれないが、やはりTOPはblue eyed soulであり、ピュアなファンクだったら他にもいいバンド(黒人の)がいると思う。実際、「T.O.P.」後リリースされた「Souled out」、「Rhythm & Business」は「T.O.P.」と比べて徐々にqualityが落ちているのではないかという気がする。今でも彼らはライブで「Soul with Capital S」、「I Like Your Style」を欠かさず演奏するし、本当はポップな要素を復活させたいと思っているのではないだろうか...。

そういった印象は実際にショウを見て変わることはなかった。ただ反対に喜ばしいこともあって、このツアーからdrumsにオリジナル・メンバーの名手、David Galibardiが復帰している。彼とbassのFrancis Rocco Prestiaのリズム・セクションは一度は見てみたかったが、実際に素晴らしかった。

ところでTOPにはオール・スタンディングが似合うと思っていたのだが、さすがにバナナホールは狭すぎです。次はもうちょっと広い所でやって頂かないと、つらくて観にいけません。

2004 Japan Tour@大阪Blue Note(Jan./31/2004)

実はBlue Noteに行くのは今回が初めてである。雰囲気といい広さといい、ライブハウスとしてはいい感じだが、あの狭いステージにどうやって10人上がるのかショウが始まるまで不思議だった。しかし10人上がっていた。通勤列車並みの混雑振りで(笑)。本当は席に座れるはずだったのが、最後の方に並んだので、後方のステージ正面で立ち見となった。もっともTower of Powerを座って見ようとは思わないのでどっちでも良かったが。

Blue Noteは1日に2回公演するのだが、今回は2回目を見た。どうしても1回の公演時間は短く、1時間20分程度になってしまう。しかしそのせいか、setlistは1曲、バラードを挟んだだけで、後はファンク・チューンで飛ばしまくり。息もつかせぬ展開とはこのことだろう。新しくなったvocalも盛り上げ方がうまく、会場も大いに盛り上がっていた。この日はJapan Tourの最終日だから何かサプライズがあるかなと思ったが、特にそのような事はなかった。考えてみるとこのサイズの会場で演奏することは彼らにとってもっとも慣れ親しんだスタイルなのだろう。だから今回のツアーはどのショウでも安定感はあるが、しかしダレることもない演奏をしていたのではないか。とにかくスカッとした80分だった。

そう言えば、観客は僕よりも若い人や女性が結構、多かった。特に目立ったヒット曲があるわけでもない彼らが、どうやって新しいファンを獲得しているかは不思議だが、まあいいことに違いない。そうやって新しいファンを獲得してくれる限り、彼らは新譜を出して日本でもライブをやってくれるのだろう。

2005 Japan Tour@大阪Blue Note(Feb./04/2005)

某評論家が書いていたが、ベテランバンドはもう素晴らしい新作は作らなくても良くて、全盛期並みのライブをやればいいということらしい。それにライブがいいというミュージシャンのギャラも高騰しているらしい。どうやら今のミュージシャンにとって大切なのは、いいライブをすることのようだ。そういうのはちょっと前までは「懐メロ集金ツアー」とかいって批判されたものだが、どうやら風向きが少し変わってきたようだ。

考えてみると今のiPod時代は、音楽はダウンロードするもので、CD1枚をアルバム単位で買うものではなくなっていくのだろう。現実の問題としてmp3ファイルの違法コピーだって簡単にはなくならない。となるとロックももう、新作を作ってその売り上げで儲けるということが難しくなっているのかもしれない。しかしライブはダウンロードできない。ライブ音源はダウンロードできても、やはり生のショウの感動に勝ることはない。それがベテランバンドのライブに対する見方が変わってきた理由ではないだろうか?で、いいライブをやればそれだけ儲かる(笑)。

Tower of Powerは代表的なヒット曲があるわけでもない。時々、新作を出すけど(それもそれなりに僕は好きだけど)、爆発的にヒットするということは絶対ない。でもTower of Powerは、ベテランバンドはいいライブができれば生き残るという典型だと思う。実際、ライブの集客力はこれまで以上、益々強くなっているのではないか?確かにBlue Noteという所で1日2回のショウを何日もやれば、何度も見に行くファンもいるかもしれない。しかし、ファン・ベースはどんどん拡大していると思われる。

その証拠に、今回、何が驚いたって、客の大半がカップルか女性同士。我々のように男2人組がマイナーな存在である。Blue Noteという場所柄もあるのだろうけど、一体、Tower of Powerっていつからそんなバンドになったんですか?92年に観に行ったときは大半が男でしたよ。しかも女性はほとんどが20歳代後半から30歳代前半。あなたたち普通、知らないでしょ、Tower of Powerなんて。友達と考えてみたんだけど、きっと僕達のようなオヤジが連れてきたら女の子の方がハマってしまったんだろうな。それに女性の方々はお約束のコーラスも完璧にこなしていて、どこで覚えたのか本当に不思議。

ショウは相変わらず、完璧。key.の人は大阪からバンドに合流したらしいが、そんなことは微塵も感じさせない。去年見たショウと比べるとややバラードが増えていたが、お約束の「Diggin' on James Brown」の後の高速ファンクで即、失神しました。

2007 Japan Tour@大阪Blue Note(Mar./14/2007)

毎回、素晴らしいTOPのライブ。昨年は何故か大阪は飛ばされたが日本には来ていたので、毎年、この時期に来ることが定着したのだろうか?ともかくここ数年は毎年、来日しているわけで、それだけ確実にお客が入っているわけだから大したものだ。しかしそれはTOPのライブが素晴らしいからであろう。僕が今回観たのは大阪2 daysの2日目、2nd stage。ということもあってか、バンドの演奏も熱いが客も熱い。今回はギターにBruce Conteが戻って、黄金期のメンバーが復活したのもポイントだろう。

2009 Japan Tour@クラブ・クアトロ心斎橋(May/28/2009)

クラブ・クアトロでライブを観るのがもの凄く久しぶりで、前いつ行ったのかわからないくらい。まあミナミに夜出かけること自体、相当久しぶりなんですけど。それでTower of PowerをBlue Note以外で観るのも相当久しぶりで、その辺何か変化があるかなと思ったんですが...。

しかし腰から入って頭に抜けていくグルーヴも相変わらず。昔からのファンもいれば、若い人が来ているのも相変わらず。メンバーが替わったり、アレンジが変わったりするけど基本は何も変わっていない。これを41年続けてるって本当に凄いですね。また観に行きます。

2010 Japan Tour@Billboard Live大阪(May/08/2010)

久しぶり、いや、初めてではないだろうか、TOPのライブでもう一つ盛り上がらなかったのは。演奏はいつもの通り良かったけど、選曲や曲順がちょっと...。まあ、いつもと違う曲をやったという点では変化があって良かったが。本編最後のWhat is Hip?はさすがに踊れました。それとヲタ芸みたいな連中がいて、興醒めしたのも、盛り上がらなかった一因か。

2011 Japan Tour@クラブ・クアトロ心斎橋(Mar./08/2011)

また会場がクアトロに戻った。そのせいだろうか、やはり前回より盛り上がっている。別にBillboard Liveが嫌いというわけではないけど、やはり向き不向きがあるということか。今回はトランペットの臨時代理でエリック宮城さんという方が参加されていました。相変わらず最高だけど、あんまり新しい感想はないよね(笑)。

2012 Japan Tour@Billboard Live大阪(Sep./10/2012)

今度はBillboard Liveでも盛り上がった。席も、前方、真ん中で良かったからかな?今回はアンコール2回。1回、アンコールが終わって、ショウ終了の音楽も流れて、さて帰ろうかと席を立つと他のお客さんはまだ帰らない。さすがにもう無いよね、と思いつつ一応、店内に留まると、もう1曲演奏しました。このパターンは今回が初めて?あるいはアンコール1回で帰っていたから、これまで気づかなかっただけなのだろうか?

Live@Dimitriou's Jazz Alley (Jan./21/2016)

大阪に来たら必ず観に行っていたのに、どうもここ数年、大阪には来てくれないTOP。シアトルに来るんだったら行くしかないよね、ってわけでシアトル初日の2nd showに行ってきました。

アメリカで初めて観るTOPのショウですが、さすが年中ライブをやっているだけあって確実に盛り上げます。というか大阪で観たショウの印象と変わりなくて、さすが宇宙一のファンクバンド、安定のクオリティです。ロッコもガリバルディも健在で何より。

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