今回のツアーはアメリカでは「The Essential Tour」というそうで、今までのBozの代表曲を出し惜しみなく演奏するということである。はじめの2曲は最新作に収録されていると思われるjazzのカバー曲であったが、その後はこれまでの彼の代表曲がElectricなバンド編成で演奏された。したがって聴きたかった曲はかなり演奏されたのではないかと思う。
Blue Noteのいいところは、会場も狭くステージまでの距離も短いので、臨場感に溢れた演奏が聴けることである。しかしその反面、1日2ステージをやることになるし、それが連日になるので、どうしてもツアーの前半は演奏や歌が抑え気味になってしまう。既にツアーは始まっているので、バンドの演奏はまとまっていたが、大阪1週間の初日であった当日のBozの歌は落ち着いた感じであった。単に円熟というより、意識的に抑え気味にしていたのだろう。
しかし一方で、Boz自身がギターを弾く場面も多く見られ、ソロも積極的に弾いていたのが意外であった。上手いかどうかはともかく、曲の中で印象的なフレーズを本人が弾いていたのは新たな発見だった。
Boz以外のメンバーでは、Steely DanのバンドにもいたJon Heringtonがやはり上手い。AORというかJazzもRockも幅広く弾きこなせるギタリストとしては、今、この人がtopではないだろうか。
The River Tour 2016@KeyArena(Mar./24/16)
日本にいたらなかなか観ることができないのが、Bruce Springsteenだ。シアトルにやって来るというので、一度は観てみたいと思っていたからライブに行ってみた。
今回はThe River Tour 2016ということで、前半はアルバムThe Riverの再現。後半は代表曲で構成されたセットリストだった。
Bruceの曲は、やはり歌詞というか物語にどれだけ共感できるかによって印象が違う。例えばThe Riverは、歌詞を思い出しながらこの歳になって改めて聞いてみると、昔にはなかった感覚が生まれてきて、感動的なパフォーマンスだった。一方、Hungry Heartなんて、もの凄く救いのない絶望を歌っているのに、曲調はやたら明るくて、観客も一緒に歌って盛り上がってるんで、これは「?」って感じだ。.
後半に入ると、Bruceがギターソロを弾いていて、これがなかなか良かったという発見があったり、Pearl JamのEddie Vedder(シアトルならでは)がゲストで歌ったりと見せ場も色々なのだが、しかし。Born to RunとDancing in the Darkのシンガロング2連発はさすがに盛り上がりましたね。これを経験して、今、アメリカにいて本当に良かったと思った。
ところで知っていたけど、Bruceのショウは長い。今日は終わったのは0時寸前ですよ。8時過ぎに始まったから少なくとも3時間半はやった。これはこれまで観たロックのライブでは一番長かったはず。
それにしても還暦過ぎてもこんな長時間のショウをやる動機はどこから来るのか、不思議で仕方なかったけど、最後の曲ShoutでBruce自身が「I’m just a prisoner of Rock ‘n Roll!」って叫んでいた。そうだった、それだ。思い出した。
当時、まず何と言ってもSteely Dan再結成というのが驚きで、次に来日公演を行うというのが更に驚きで、最後に大阪公演は@大阪城ホールというのがもっと驚きであった。
Donald Fagenの1stソロ、「The Nightfly」からSteely Danの「Aja」、「Gaucho」を聴き始めた僕にとっては、Steely Danはもはや存在しないバンドであって、その音はレコードで再現するしかなかった。再結成への経緯はDonaldの2ndソロをWalter Beckerがプロデュースしたことが発端だと思うが、まさか一度、解散した2人が再結成するとは思わなかった(2人とも相当、偏屈な人達だしね)。
しかし再結成はともかく、アメリカでツアーをやって日本へ来るというのにはビックリした。だって以前、Steely Danは中期からツアーをしなくなって完全にスタジオの鬼と化していたからである。それを何を今更、ツアーしようと思ったのか?こういったベテラン・バンドの再結成ツアーに関しては「集金ツアー」という悪口もあるが、誰かが言っていたようにそもそも彼らは初期を除いてツアーをしていないのだからそういう表現は当てはまらない。彼らにとっては初の本格的なworld tourである。
そしてSteely Danのライブを待っていた人が日本にあれだけいたのが驚きである。だって大阪城ホールって1万人近く収容するvenueなわけで、まあCDをコンスタントにリリースしているアーティストならともかく、「musician's musician」とも言える彼らを見たがっている人が(大阪に)あんなにいたとは。このツアーのちょっと前ならSteely Danのライブを生で見るのは、Beatlesが再結成するのと同じ確率と思っていたが、きっとみんなそう思っていたんだよなあ。
さて実際のショウであるが、本当に大阪城ホールは満員。そして僕だけでなく、みんなの関心はあの「Aja」や「Gaucho」、そして「The Nightfly」なんかの洗練の極みとも言える世界をライブでどのように再現するかにあったと思う。ミュージシャンはいずれも一流の人達だが、ホーンやコーラス、そしてビブラホーンまでついてくる贅沢さ。まずはDonaldとWalter抜きで「Overture」と称して、「Aja」などSteely Danの名曲のさわりを演奏。で、会場がそれだけで盛り上がったところにDonaldとWalter登場である。
それにしてもこの音の良さは何だろう?大阪城ホールはまあもともと音楽だけを目的にしているわけではないから、特にSteely Danのような繊細な音世界を楽しむには不向きにように思える。だが、実際には大音量でも音が割れることなく、ビブラホーンの音まではっきり聴こえるのが驚きである。これは彼らのrecording engineerであり、第3のメンバーとも言えるRoger Nicholsの貢献だろう。こう書くと語弊があるようだが、期待したようなレコードの世界がちゃんとライブ感を伴って再現されていたと思う。
ショウの選曲はSteely Danの過去の作品やDonaldのソロ、そしてその後発売されたWalterのソロからバランス良く、選ばれていた。まあ聴きたい曲を挙げればきりがないのだが、長年の夢が期待を裏切らない形で実現したので、それだけで満足できた一夜でした。
新譜のリリースもないのに再びworld tour。「今度こそ本当に集金ツアー?」と勘ぐりたくもなるが、前のツアーが大成功して単にもう一度ライブをやってみたいというのが本当の理由だろう。その辺は観客も理解していて、やはり前回のショウに満足していたから再びこれだけの人数が集まったに違いない。
ただ実現しただけでありがたかった前回のツアーと比べると観る方ももうちょっと冷静になってくる。例えばメンバーに関しては前回とかなり入れ替わったが、drumsはRicky Lawsonで大正解。でもguitarやpianoは前回の方が良かったかなという気がしてくる。「Aja」、「Gaucho」なんかの曲でのソロを聴いていると、悪くないけどもうちょっと良くならないかなと思ってしまう。これはレコードの音に耳が慣れているせいで、レコードではL. Carltonとか超一流のミュージシャンが弾いているわけだから比べること自体、酷か。
選曲は前のツアーと同じような感じで、ただ若干、曲やアレンジを変更している模様。例えば「Gaucho」からは僕の好きな「Gramour Profesion」が選ばれていたりした(でもライブではちょっとパワフル過ぎてCDのイメージとは違った感じ)。それからいずれ出るというSteely Danとしての新曲も。音は相変わらず良かったです。大阪城ホールのアリーナど真ん中、前から10列目くらいという好位置で観れたのも大きかった。なおこの日のショウがworld tourの最終公演だったようで、メンバーも「今日が最後だ」みたいな感じでリラックスしていたのが印象的だった。
「あのSteely Danのライブ」と言っても3回目となると他のバンドを観に行くのと同じような気持ちになるからファンというのはわがままなものである。しかし過去2回と違い、今回は「Two against Nature」をリリースしてからのツアーだからその意味もちょっと違ってくる。
ところが実際に新譜から演奏されたのは4曲。また「Gaucho」からは1曲もなくて、どちらかというと中期以前の曲を積極的に取り上げていた。これは以前のツアーと差別化を計ろうという彼らの意図を反映したものなのか。そういった選曲、そしてworld tourもまだ3日目のためパフォーマンスにも改善の余地がありそうで、そのせいか観客の盛り上がりも以前と比べるとイマイチ。まあみんな僕と同じで3回目のツアーともなると、もうちょっと落ち着いて楽しみましょうかという感じなのか。ただ最後の「FM」で後方の観客がステージ前に詰め掛けていた。セキュリティーの制約もあり、スタンディングではないライブの場合、こういう光景を最近、見たことがなかったのでちょっと驚き。
今回、メンバーに関して言うとdrumsは前回と同じくRickyでこれも正解。それ以上に良かったのがguitarのJon Herington。この人は 「Two against Nature」でも弾いていたが、過去の曲でL. Carltonとか超一流のギタリストが弾いていたパートを、自己流に消化しながら印象的なフレーズを聴かせてくれた。Rickyと同様、この人もツアー・メンバーに残って欲しい人である。
旧「Blue Note」が「Billboard Live」として新装開店。大阪の場合、名前以外ほとんど変わっていないような気もするのだが、全体としてはアメリカ現地にオフィスを置いたことが大きな変化のようだ。そこから現地で直接、アーティストやエージェントと契約をするようだが、Steely Danがオープニングを務めることになったのもその成果であろう。
Steely Danほどの大物アーティストがクラブ級の会場でライブをやるというのも驚きだが、今回は幸運にも大阪最終日の2nd stageを最前列の真ん中で観ることができたのも奇跡的。最前列といってもアリーナやホールの最前列ではない。ステージに文字通り「かぶりつき」でD. Fagenなんかほんと手が届きそうな所で歌っているわけだから、これほどの至近距離でショウを観ることは滅多にあることではない。
とはいっても最前列は実は音のバランスから言うと必ずしもいい場所ではない。ドラムの音が大きくて、D. Fagenの歌は地声はある程度聴こえるが、やはり歌をメインで聴いているという感じではない。でも今回はそれでいいのだ。今回の見所はStingのツアーメンバーでもあったKeith Carlock。もともとSteely Danが起用してメジャーになったドラマーだと思うが、音にうるさい彼らの要求に応えているだけあって彼の出す音はとても音が太くてしかも切れがいい。彼のドラムキットはシンプルな構成だと思うのだが、それであれだけの音を出しているのだから凄い。一見、シンプルなビートを叩いているようでも、実はハイハットやスネアで細かい仕事をしているのが発見できたのは最前列ならでは。こりゃまさに「教則DVD」だ。しかしそれでも近くで見ていてもどうやって演奏しているのかがわからない場面が多々あった。上で「Ricky Lawsonで正解」などと書いているが、今は「Keithが正解」と思います(笑)。
そんなわけで何となくSteely Danを観たというより、「Steely Danの曲を演奏する、無茶苦茶ドラマーが上手いバンド」を観たという気がしないわけでもないのだが、これだけ上手いバンドがクラブ級の会場でやって盛り上がらないわけがない。いいショウだったと思います。欲を言えば(1st stageでは演奏した)「Aja」を聴きたかったところだが、まあそれは贅沢というものかな。
Set Listは以下の通り。Intro.(Jeri)/ Two against Nature/ Black Cow/ Hey Nineteen/ Daddy Don't Live in That/ Green Earring/ Dirty Work/ Josie/ Peg/ Chain Lighting/ Do It Again/ Outro.(Carolyn)
何だかんだ言ってStingが日本で一番、人気があったのはこの頃じゃないだろうか(もっともソロアルバムは「Brand New Day」が世界的に一番売れているらしいが)?何しろ大阪では甲子園球場が2回、東京だと東京ドームで4回、ライブをやっているのである。こう言った「規模」や「売り上げ」がアーティストの作る音楽の質に必ずしも比例するとは限らないが、とにかくライブはこのツアーが一番良かったような気がする。バックバンドのメンバーも多く、演出も凝っていて「豪華なショウ」であった。
どの曲もインプロビゼーションがあって一瞬たりとも退屈しなかった。B. Marsalisのsaxは秋の夜空に溶けていくようだった。夜空が望める球場で「Sister Moon」は出来過ぎだよな。K. Kirklandの「Bring on The Night〜When The World Is Running Down You Make The Best of What's Still Around」でのピアノ・ソロが素晴らしかったのは言うまでもない。「Little Wing」も最高だった。
メンバーは前回のSoul Cage Tourと同じく、Sting、David Sancious(Key.)、Vinnie Colaiuta(ds)、Dominic Miller(g)という不動のメンバー。いずれも一流のミュージシャンだから演奏に問題はない。注目する点は「Bring on The Night〜When The World Is Running Down You Make The Best of What's Still Around」でDavidがどんなソロを聴かせてくれるかだが、K. Kirklandに比べると幾分、パーカッシブな演奏。でもこれはこれで聴かせるソロだった。「It's Probably Me」で最初、Eric Claptonとのjoint versionで始めて、途中でsolo versionに変えるというアレンジが印象的であった。
今回のツアーのポイントはkey.にKenny Kirklandが復帰したことと、メンバーに2人のhorn sectionが加わったこと。「Bring on The Night〜When The World Is Running Down You Make The Best of What's Still Around」のピアノ・ソロはDavidも悪くないけど、やはりkennyが最高。それと4人のバンドではマンネリ化しかけていた所に、horn sectionが加わることによって音的にも視覚的にも、ライブのいいアクセントになっていたことも印象深い。この2人が結構、ステージを派手に動き回るんで見ていて楽しかったですよ。
Stingのライブを観るのはこれで何度目だろう?一応、毎回、ツアー毎に観ているから(ただしSoul Cage Tourだけ風邪でキャンセルされた)、4回目になる。今回のライヴのポイントはStingの声が良く出ていたこと、ドラマーとキーボードが変わって演奏に若干の不満が残る点だろうか。
ライヴは新作から「A Thousand Years」からスタート。続いて「If You Love Somebody, Set Them Free」。あれ、CDと同じだぞ?Stingのライヴは何が聴きものかと言うと、同じ曲をやってもライヴではCDとはアレンジが変わる点だろう。しかし最初の2曲はあまりCDと変わらなかったのでちょっと「?」だったのだ。しかし3曲目(曲名を忘れたが)から4曲目の「We'll Be Together」につなげていく辺りからようやく本領発揮である。
この後は随所にライヴならではのアレンジによる新作+The Best of Sting and The Policeという感じ。しかしイマイチ乗り切れないのはまずドラムスが原因にあるような気がした。いや、別にドラムスが悪いわけではない。今回は名手、Manu Katcheである。ManuといえばPeter Gabrielのライヴの演奏が感動的であったが、そうであるならGabrielと同様、独自のアプローチでワールド・ミュージックのエッセンスを取り込むことに成功しているStingとの相性も悪くないはず、であった。Manuのドラムはどちらかというとパーカッション的な叩き方、すなわちスネアは軽く叩く一方、タムでアクセントをつけるというスタイルである。したがってあまりロックっぽいビートをストレートに刻むわけではない。既に普通のロックから完全に離れたGabrielなら文句がなしというところだろうが、過去の代表的な曲がまだまだ攻撃的なビートを必要とするStingの場合だと、そのような曲でどうしても食い足りなさを感じてしまうのだ。
同じことは本編最後の「Bring on The Night〜When The World Is Running Down You Make The Best of What's Still Around」でも感じられた。この曲はThe Police時代の曲であるが別にGreatest Hits集に入るような曲ではない。しかしソロになってから必ず演奏されるライヴでのハイライトであり、その理由は間奏で演奏されるピアノソロである。僕はこの曲でこのソロを聴くためにお金を払っていると言っても過言ではない。過去、Kenny Kirklandがめちゃくちゃファンキーなソロを演奏していたのでこれを聴くたびにアドレナリンが頭を駆け回る思いをしたものである。しかし残念ながらKennyは亡くなってしまった。今回はRuss Irwinという人がKeybordsを担当しているのだが、彼のソロはKennyを意識しているのか妙にジャズっぽい。あのKennyだってまるで自分がジャズミュージシャンであることを忘れたかのようにファンキーなソロを弾いていたのだ。余りにもKennyの印象が強かったために、自然と受け入れられるまでにはまだ時間がかかるような気がする。
ところで観客の反応を見ていると「Roxanne」や「Every Little Thing She Does Magic」などのThe Police時代の曲以上に「Shape of My Heart」なんかの方が人気があるような気がする。これはもの凄く意外だったのだが、僕と同じく「もちろんソロのStingも好きだけどでもやっぱりThe Policeでしょう」という人が大半だと思ったら、ソロのStingしか知らないっていう人の方がむしろ多いくらいのようである。それはそれでファンの獲得の仕方としては単なるナツメロ・ミュージシャンになっていないので理想的であるとは思うが、そう考えると僕も「歳とったなあ」ってな感じでちょっと寂しい(笑)。ま、そうは言ってもやはり「Every Breath You Take」なんて最大級の歓声は上がるのだが。
そういうわけでStingの声のコンディションが抜群だったので、「Stingの歌」を聴きに来たファンにとってはいいライヴだったのではないだろうか。もし次のツアーもManuが叩くのであれば、次はStingとのリズム隊としてのコンビネーションも良くなっている事を期待したい。
毎度、おなじみになったStingのライブ。今回は基本の編成にパーカッションや女性コーラスも2人加わって88年のショウ以来、最も音の厚い編成になったのではないか。そのせいか代表曲をきっちりと聞かせる構成になっていて、Stingのライブでは欠かせない曲の間のインプロビゼーションがやや少なめなのは残念であった。
しかしながらそれでもショウ自体は非常に素晴らしかった。セット・リストは出し惜しみなしだし、1曲目から「Send Your Love」のremix versionのアレンジだったので会場はいきなり盛り上がっていた。ずっとツアーを続けていたせいか歌も演奏も良かったし、観客もお世辞ではなくてそういったパフォーマンスに熱い反応を示していた。
何といっても今回のポイントはdrumsのKeith Carlockだ。あのSteely Danが気に入ってアルバム1枚で全部叩かせたというのも凄いが、そういうドラマーを起用するStingも大したもんである。まだ若いドラマーらしいが、実際に見たことはないのでなかったので非常に期待していた。そして実際の演奏が素晴らしかった。まずスネアとキックのタイトさが只者ではない。ドラムキットは少ないが、そのキットを効果的に使ってオカズを決めてくるのも凄い。タムなんかはStewertを意識していたんだろうな。欲を言えばもう少し、抑揚というかManu Katcheのような柔軟性も欲しい。しかし前回のツアーのPoliceの曲で感じたManuに対する不満も解消されて、Keithの起用は当りと感じた。そういうリズム隊の影響もあってか、誰でもわかる「Bring on The Night〜When The World Is Running Down You Make The Best of What's Still Around」」の生まれ変わり、「Never Coming Home」でのピアノのソロも前回と比べるとかなり良くなった。
それにしてもPoliceの曲なんて現役で聴いていた人が観客の中にどれほどいただろう?いや、Policeの曲への拍手も大きかったし、観客の年齢層はかなり高かったから結構、多いのかもしれない。そういう人達で大阪城ホールが一杯になるんだからStingの人気って凄いですよね。もっと凄いのがStingの現役感。この人、88年の甲子園球場で見た時も格好良かったけど、今もとても格好いいし、声も衰えていない。そういうベテランが頑張っているのを見ると、勇気が湧いてくるっていうか気合が入りますよね。
セット・リストは以下の通り。Send Your Love/ Message in a Bottle/ Hounds of Winter /Dead Man's Rope/ Brand New Day/ Shape of My Heart/ Englishman in New York/ Fragile /Fields of Gold/ Sacred Love/ Every Little Thing She Does Is Magic/ Whenever I Say Your Name/ Never Coming Home/ Roxanne/ Desert Rose/ If I Ever Lose My Faith In You/ Every Breath You Take/ A Thousand Years
今回のツアーはアルバム「Symphonicity」に伴うものだが、正直、これの印象が良くなかった。Stingはこのプロジェクトに関して「オーケストラをリズム楽器のように使いたい」と言っていた。しかし視聴したら、このアルバムの1曲目の「Next to You」ではパーカッションがきっちりビートを刻んで、オーケストラはギターのリフをなぞっている。これじゃ言ってることとやってることが違う。その他の曲も何となくアレンジが予定調和的に思えて、結局このCDは買わなかったのだ。そういうわけでJapan Tourが決まっても、行くかどうか迷ったのだが、オーケストラだし生で聴いたら印象違うかなと思って、チケットを買うことにした。
まあ、とは言っても会場は大阪市中央体育館。基本的にオーケストラを聴くような会場じゃなくて、音は全てPAから流れてくる。果たして、期待した演奏になるだろうか。
指揮者はツアーを通じて同じ人だが、オーケストラは各地で調達するシステムで、日本は東京ニューシティ管弦楽団。これにギターはお馴染みD. Millerとベース、パーカッション2人と女性コーラスが1人のバンドも帯同している。
不安は1曲目の「If I Ever lose My Faith in You」から的中。パーカッションは8ビートを刻んではいるが音圧は低く、その一方で、オーケストラはオリジナルのキーボードの音をなぞっているだけで、何か中途半端な感じだ。客は戸惑い、おそらくオーケストラもアウエーな雰囲気だが、曲が進むにつれ少しずつ両者は馴染んでいく。「Englishman in New York」では客にも歌わせるのでこの辺から普通のライブっぽくなっていったような気がする。
今回、Stingはかなりの曲で楽器を持たず歌うことに専念していたのが特徴。声の調子も良さそうだったし、歌自体はかなり良かった。またオーケストラとの共演なので、比較的スローな曲、またライブでは長いこと演奏されなかった曲も演奏されていた。バンドでやるとスローな曲は退屈することもあるのだが、徐々にオーケストラの演奏も迫力を増してきて、飽きることはなかった。でも何だかんだ言って、第1部の最後にやった「Next to You」で観客総立ち&僕も(文句言ってたくせに)大盛り上がり。
さて20分の休憩の後、第2部。オーケストラだけをバックに歌った「Moon over Bourbon Street」が特に良かったです。本編最後は「King of Pain」と「Every Breath You Take」。イントロは意外性のあるアレンジでも歌に入ると原曲に近く演奏されていた。ここまででも十分なのだが、「Desert Rose」で客席爆発。元々盛り上がる曲だが、オーケストラの迫力ある演奏でみんな踊りまくり。それを見て演奏しているオーケストラの人達も楽しそうだった。普段、クラッシックの演奏で客があんなに踊っていることないものね。
バンドとオーケストラの演奏なので、「ロックとクラッシックの融合」みたいなラベルが貼られがちだが、これはやはりあくまでロックのショウ。ロックのフォーマットを崩さないギリギリの所までオーケストラを組み合わせているところが素晴らしい。そう考えるとパーカッションが2人いるのも納得。実験精神を優先させるならオーケストラだけでもいいのかもしれないが、Stingが好きな客を相手に2時間半近いショウをやるにはそれで持たないことがわかっているのだ。やはりいつまでたってもCDを聴いているだけではわからないことが多すぎる。
オーケストラをバックに歌う親父の道楽、という皮肉っぽい見方もできなくはないが、その豊かな音楽性を見せつけられた2時間半だった。でも僕はThe Policeの3人でやっている方が好きだけどね。
If I Ever Lose My Faith in You/ Every Little Thing She Does Is Magic/ Englishman in New York/ Roxanne/ Straight to My Heart/ When We Dance/ Russians/ I Hung My Head/ Shape of My Heart/ Why Should I Cry for You?/ Whenever I Say Your Name/ Fields of Gold/ Next to You/ A Thousand Years/ This Cowboy Song/ Tomorrow We'll See/ Moon over Bourbon Street/ The End of the Game/ You Will Be My Ain True Love/ All Would Envy/ Mad about You/ King of Pain/ Desert Rose/ She's Too Good for Me/ Fragile/ I Was Brought to My Senses
シアトル以来1年振りかな。今回のバンドはギターが2人いる一方、キーボードはいないので、The Policeに近い編成。そのせいかThe Policeの曲も多めで、バンドのサウンドに良く馴染んでいました。ソロのコンサートでThe Policeの曲を演奏した中では一番良かったかもしれません。Stingの声もよく出ていたし。
今回のツアーはバンドの編成のこともあって、Stingのパフォーマンスがパワーに溢れているとの評価が多い。確かにそれはそうだ。ただし元々、Stingはパワーに頼ったパフォーマンスというより、知的な感じもあるし、特にステージで激しく動くわけでもない。どちらかというとエネルギーの使い方が効率的というか、肝心な所でのパワーの見せ方が上手いというのが僕の印象だ。だからStingの年齢もそれなりだが、まだまだツアーはやっていくつもりなのだろう。
今回はMy Songsというツアーで、同名のアルバムが、ほとんどgreatest hitsだからセットリストもgreatest hits。最初から、Message in a Bottle, If I Ever Lose My Faith in You, Englishman in NY, If You Love Somebody Set Them Free, Every Little Thing She Does Is Magicと出し惜しみなく、「ヒット曲はナンボでもあるでー」状態。まあ事実、本当にたくさんある。
Stingのコンサートは毎回行っているので、予想できる要素も多々あるのだが、それでも結果的に期待以上の内容で毎回、満足です。
Stingのコンサートに行くのは僕にとってアルバムをめくるようなもの。大体中学生の時くらいから、The Policeも含めてヒット曲は同時代で聴いてきたから。それでStingは40年間、常にライブで演奏してヒット曲を出し続けている。だからどの曲もどこかで自分の人生とリンクしています。そんなミュージシャン、他にはいないので、また大阪に来たら、また行くと思います。
Sting and Peter Gabriel
Rock Paper Scissors@KeyArena(Jul./21/16)
StingとPeter Gabrielが北米でジョイント・コンサートをやって
ショウはPeterのThe Rhythm of the Heatで重厚な感じで始まるのだが、2つのバンド合わ
Peterが単独でSecret Worldを静と動のコントラストのある演奏で盛り上げ
その他にもPeterのBig Timeでステージを見てると、あのスラップ・ベースを
まあ正直なところ、それぞれの曲のパフォーマンス自体は
いやーしかしこのツアーやってるときにシアトルにいて、