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King Crimson

Thrak Tour@大阪フェスティバルホール(Oct./09/95)

80年代に何度か来日はしているものの、僕が実際にライブでCrimsonを観るのはこれが初めてである。94年に久々に「Vroom」、そして95年にアルバム「Thrak」を発表したCrimsonのサウンドはR. Frippによれば「Redの延長上」すなわちCrimsonのサウンド・ボキャブラリーの中でもメタルっぽい要素を前面に出したものであった。またメンバーも80年代のA. Belew、B. Brufford、R. Fripp、T. Levinに、ドラマーのP. Mastelotto、ベースのT. Gunnを加えたいわゆる「ダブル・トリオ」編成であった。CDで聴く限りリズム隊が2倍になったこともサウンドの迫力を増していた。その一方で、「Thrak」は実は「Heaviness」だけではなく、ポップな楽曲もあって、Frippが言うよりはヴァラエティーに富んだ印象を受けた。

さて実際のショウであるが、CDで聴くのとは逆にダブル・トリオ編成によってそれぞれの役割が曖昧であった、言い換えれば焦点が今ひとつ定まらないライヴであったような記憶がある。例えばT. Levinは他のバンドでプレイしたのを何回か聴いているが、例えばP. Gabrielとの方がいい仕事をしていたと思う。セット・リストは新譜と80年代、70年代の曲からバランス良く選ばれていたと思う。

The ConstruKcution of Light Tour@大阪フェスティバルホール(Oct./10/00)

今回はアルバム、「The ConstruKcution of Light」の発売を受けて行われたツアーであるが、一言でいえば、このアルバムの印象である「heaviness」を再現したいいライヴだったと思う。特に今回のライブの核はドラマーのP. Mastelottoではないだろうか。彼の重たいドラムがサウンドを引っ張っていたような気がする。さていわゆる「ProjeKct Series」を経て、今回、発表された「The ConstruKcution of Light」ではB. Brufford、T. Levinが抜けた(と言っても脱退したわけでもなさそうだが)4人編成に戻り、今回のライヴもこの4人で行われている。

オープニングは前作の「Vroom」。矛盾するようだが、ダブル・トリオで聴き慣れたサウンドが、ドラムとベースが1人ずつになると何か物足りないような気がする。しかもFripp先生、とちってるし(笑)。続く80年代の「Thela Hun Gingeet」はやはりPatよりはジャストに叩くBillのドラムの方が合っている。Gunnも悪くはないが、やはりここでのベースはT. Levinにはかなうまい。

しかしその後、タイトル曲の「The ConstruKcution of Light」からはこのメンバーならではのサウンドが展開される。前半の山場は「FraKctured」。R. Frippがあの殺人的なギターソロを弾くのだ。レコーディングでも間違えずに弾くのに苦労したらしい。ここに集まったファンの多くはもちろんそのことは知っている。したがってこの曲のイントロが始まった時、歓声の後、観客が息を飲むような雰囲気が伝わってきたのも僕の思い込みではあるまい。で、曲の途中では若干、とちったものの、肝心のソロの部分では3,465(?)音を完璧に弾ききった!観てるこっちにもアドレナリンが流れるようである。

さて本編最後は「Red」。やはりイントロが流れた瞬間に今日一番の歓声が上がる。この曲は以前もライヴで、もちろんCDで何度も聴いてきた。しかし今回の演奏は一番じゃないだろうか。これはオリジナルのB. Bruffordを上回るドラムをPatが叩いている。heavyでmetalicなCrimsonの真骨頂であった。

アンコール1曲目はA. Belew1人によるアコギ弾き語りの「Three of a Perfect Pair」。今さらではあるが、あの変態アルペジオを弾きながら歌えるというのは一体、どんなリズム感をしているのだろうか。しかしこれが良い出来で会場もますます盛り上がる。最後はD, Bowieのカバーで「Heroes」。でもみんなこの歌をあんまり知らないのか盛り上がりはイマイチ。オリジナルのversionでギターを弾いてるのがR. Fripp、またA. BelewはD. Bowieのツアーメンバーであったことを考えればこの曲をカバーする必然性もあったわけである。

ショウ全体の構成に関して言えば、中盤、heavyな楽曲が続いたのは正直つらい部分もあった。しかしそれでもCrimsonならではのHeavy Rockを再現するという目的は見事に果たされていて、焦点の定まらなかった前回のツアーよりはずっと良かったと思う。これほどのバンドが「ナツメロ」化せず、現在進行形であるのはやはり驚くべきことなのであろう。

The Power to Believe Tour@大阪厚生年金会館(Apr./21/03)

新作の出来が良かっただけにライブには興味があったが、前回と同じメンバーということもあり、ショウがあまり代わり映えしないのではないかという気持ちもあって、チケットを事前には買わなかった。しかし結局、観たくなって当日券を買って観ることになった。場所は2Fだったが厚生年金会館は狭いので、まあ2Fからでもステージはよく見える。それより2Fは僕と同じく当日券で来た人がチラホラといった感じで、ガラガラであったのが残念であった。

ショウは照明が消えないうちからFripp師匠が1人でステージに登場して、何やら音をピロピロ鳴らしてスタート。しばらくして残りのメンバーも客席を突っ切ってステージに上がるという、意表をついた登場であった。演奏される曲は新作と前作が中心ですべて90年代のもの。で、サウンドの核は今回もドラムのP. Mastelottoである。

しかし残念なことにT. Gunnが何をやっているのかはっきりしないので、低音の迫力が足りない。加えてツアーが始まったばかりからかもしれないが、「Facts of Life」や「Happy with What You Have to Be Happy With」辺りの新曲もまだこなれていない。何というかCDの演奏をなぞっているだけの感じがして、しかもCD以上の説得力はないと言う感じである。90年代の曲しかやらないのであれば、やはり新作からの曲の演奏はCD以上のもの期待したいのだが、まだその域には達していない。あっさりした感じでショウは進行していく。

しかし終盤の「Dangerous Curve」から本編最後までの数曲はさすがCrimsonといった感じで、ようやく聴き手のほうも音楽の方に引き込まれる。このノンストップで演奏された20分間強は見事な集中力であった。アンコールに演奏された「Elepant Talk」と「Red」がそれぞれ80年代と70年代の曲であるが、これはもう、さすがに手馴れた感じでもあるし、客も盛り上がる。しかし90年代の曲にこだわるのであれば、これらの曲と同じくらいのテンションで新曲を演奏してほしかった。

ところで帰りの地下鉄で隣に座ったのは、Crimsonのツアーグッズを握り締めた女子高生だった。彼女たち、Crimsonのどこにひかれたのだろう...。

Uncertain Times Japan Tour@グランキューブ大阪(Dec./09/18)

15年ぶりのクリムゾン。大阪も追加公演が出るなど、なぜか人気です。今日は日曜日なので午後6時開演。6時ギリギリ会場に滑り込むと、すぐに会場が暗転してショウが開始。6時にやると言ったらフリップ先生は絶対にやるのだ(笑)

最近は演奏中の写真撮影もOKなライブも多いが、当然、クリムゾンは撮影、録音は一切禁止。「最後にトニー・レヴィンがカメラで撮影を始めたら、観客の皆さんも撮影OKです」という丁寧なアナウンス付きだ。

ここ数年、クリムゾンは「ダブル・カルテット・フォーメーション」と称した8人編成で、ドラムスは3人もいる。今の編成はこれが売りなので、よくある配置と異なり、ドラムス3人が舞台前方を陣取っている。

しかし「ドラマー3人いるというのもどうなの?」という疑問は元々あって、いくらプロとはいえ、3人であの複雑なリズムを合わせるのも大変そうだし、PAがきちんと仕事しないと音がグチャグチャになるんじゃないかと懸念していたのだ。

しかしそれは本当に杞憂だった。全体で音圧は強いが、個々の楽器の音の分離も良く、誰がどんな音を出しているのかよくわかる演奏だった。3人のドラムスは視覚的にも強力だが、それぞれがタイトなリズムを刻むので、昔の曲をやってもすべて今の音にアップデートされている感じだ。メロトロンの音は懐かしいが、昔の曲も決して懐メロにはならない。

クリムゾンの全時代から楽曲は選択されていたが、「エピタフ」や「クリムゾン・キングの宮殿」など古い曲もたくさん演奏されていた。エイドリアン・ブリューの変態ギターは好きなのだが、昔の曲をやるとなると今のジャッコ・ジャクスジク の方がヴォーカルとしてふさわしい。

20分の休憩を挟んでも3時間のショウは長丁場。しかしフリップ先生はずっと椅子に座ってギターを弾いているので、高齢でも意外に長時間平気なのかもしれない。

Music Is Our Friend Japan 2021/大阪フェスティバルホール(Dec./02/21)

約2年ぶりにコンサートに行ってきました。King Crimson。このパンデミックの中、よく日本に来てくれました。でももうちょっと来るのが遅かったら、日本に入国できないんでツアーが中止になっていたかも。何しろこれが最後の日本ツアーとバンドが言ってるので、中止になったら困るんだよ。
フェスティバルホールの端っこだが、前から7列目で、フリップ御大がよく見える位置でした。前方にいたせいか音の塊が脳を直撃する感じで、久しぶりのコンサートとしてはこれくらい刺激があるのがちょうどいい。
セトリは代表曲を満遍なくやる感じで、サービス精神満載。これまで何度もKCのコンサートに行ってるのに、実は「21世紀のスキッゾイドマン」だけ生で聴いたことなくて、それだけが心残りだったわけですが、ついに今日はアンコールで聞くことができました。感無量。
King Crimson、有り難う。そしてさようなら。

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KISS

End of the Road World Tour@京セラドーム大阪(Dec./17/19)

KISS最後のツアー。好きな曲は何曲かあるけど、バンドとしてはもの凄く好きというわけではないので、今までライブに行ったことありませんでした。しかしこれが最後というので、かなり迷った挙句、京セラドームに行ってきました。

ショウはひたすらハードロックを畳みかける構成で、これがラストという感傷的な雰囲気は全くなし。いかにもロックンロール・パーティーという感じでした。単調さは否めないが、その分、パイロやライト、MCで盛り上げようとしてました。まあ一度は見ておいて良かったかな。でも毎晩はいいです?

アンコールでYOSHIKIが登場して、Bethでピアノを弾いて、Rock And Roll All Niteではドラムス叩いてました。

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倉木麻衣

メモリアルライブ@立命館大学びわこ草津キャンパス(Oct./02/04)

ふだんはなかなか観ることのライブである。別に敬遠しているわけではないが、やはりチケットを予約して、日程調整してとなるとどうしても観に行くライブは好きな音楽に限られてしまう。しかし今回は自分の研究室から目と鼻の先の場所であるわけだし、滅多にない機会だからと思って足を運んだ。

いつもはアメフトや陸上選手が練習しているスタジアムのライブであったが、野外でも音は比較的良く、特に倉木麻衣のvocalはCDのようにクリアに聴こえた。それ以上にパフォーマーとして倉木麻衣が立派だったことに感心した。春から夏にかけてツアーをやっていたそうだが、そのせいかショウの構成もよくまとまったものであった。もちろん、大学生とはいえプロだからちゃんとした演奏をして当たり前である。しかし(今までこんなことを考えたことはなかったが)、大学4回生ということを考えれば、2万5千人を前にしてショウをやるというのは誰にでもできることではない。それに今日は立命館大学でのライブとはいえ、普通のツアーのようにファンだけでなく僕のような物見遊山の客もそれなりにいたはずであるから、ホームよりむしろアウエイのライブである。でもMCを別にすれば、(おそらく)ツアーでやっていたショウをきっちりと見せて、変に「立命館のライブ」的な雰囲気を出さずに、ショウの内容で客を引っ張っていこうとする姿勢にも好感が持てた。

しかしソロ・アーティストの宿命ではあるが、バックのバンドは手堅くても地味である。そのせいかやはりスタジアム規模のライブは正直、厳しい。これがシアターやアリーナ級の会場ならもっと一体感もあっただろうし、バンドがアドリブしたり、メンバーと絡むわけではないから単調と言えば単調である。それからロックっぽい曲がやはり「ロックっぽく」しか聴こえない点がやや難。もうちょい、バンドに華のあるメンバーが欲しい。

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