一言で言うと感動的なショウだった。僕が観に行くようなライブではなかなか「感動的」という形容詞は出てこないのだが、このショウは音も演出も本当に完璧で、Peterが訴えようとするメッセージが、しかも演説ではなく音楽を通じてちゃんと伝わってくるという意味で感動的だったのである。もっともこの完成度を追求するPeterの姿勢を「痛い」と感じる人もいるようだが...。
バンドのメンバーはbassのTony Levin、guitarのDavid Rhodes、drumsのManu Katcheという不動の3人にkey.、violin、vocalが加わる6人編成+Peter。Peterは基本的にヘッド・セットのマイクをつけて歌いながらパフォーマンスをする。バックのメンバーも単に演奏するだけでなく、演出としてPeterに絡んでいくのだが、またその動きがいちいち計算されたとしか思えない完璧さ。もちろん舞台上方に設置されたスクリーンに映される映像や照明とも完全にリンクしていた。しかしいわゆるdancerのパフォーマンスではなくて、ミュージシャンらしいライブ感を残したパフォーマンスであった。特に女性vocal、Paula Coleとのパフォーマンスは「この2人、ツアー中にできたんじゃないか」と思わせる濃密ぶり。あれが演出なら2人とも相当な役者である。
選曲は当時の最新作と「Us」と大ヒットアルバム「So」が中心。しかし日本で本格的にツアーするのは初めてということもあって「Shock The Monkey」や「Biko」など、欧米のツアーではやらなかった曲も演奏された(アパルトヘイト政策が終わった時点で「Biko」を演奏する意味は薄れたわけだが...)。CDでは地味と思われた曲もライブで演奏されると演出の効果もあって全く飽きさせない。
まあそんなわけで全く感動的なショウだったのだが、後日、このツアーのビデオを見たら、欧米では大規模な舞台装置を持ち込んでやってるではないか。日本までは経費がかかるので持ってこなかったと思われるが、あのビデオを見ると「ちゃんと持って来いよ」と言いたくなってしまう。あるいはそういう装置なしでもあれだけのショウをやったところがPeterの凄いところと言えばそれまでだが。
これは彼らが「Invisible Touch」をリリースした後のツアー。ということで彼らが最も商業的に成功していたときのツアーである。メンバーはTony, Phil, Mikeに加えて、ライブではお馴染みのDaryl Stuermer(g, b)とChester Thompson(ds.)を加えた不動の5人。そういうわけで音楽的には何の問題もない。観客は僕と同じく、昔からのGenesisのファンというよりもPhilのソロの成功からGenesisを知ったという人が多いような気がした。そのせいかいわゆるプログレのバンドのライブにしては女性の比率が高い。
セット・リストは「Invisible Touch」と「Genseis」、「Abacab」を中心として、そこにGabriel時代の曲や中期の名曲がメドレーで挟み込まれるという、新旧のファンを満足させる(あるいはold generationは古い曲をもっと聴きたかっただろうが)内容であった。しかしソロのライブでも思ったことだが、Philは歌っているよりdrumsを叩いている時の方が格好いいと思えるのは僕だけだろうか。
それとGenesisのライブというと忘れていけないのはVariliteである。ライブが大規模化するのにしたがって普及し、今ではどのバンドも当たり前のように使う照明装置、Variliteであるが、実はこれの本家本元がGenesisであることをご存知だろうか(確かPhilは開発者の1人として名前を連ねているはず)。演奏と照明を完璧にリンクさせる彼らのショウは音だけでなく生で(せめてビデオで)観るべきものである。音は言うまでもないが、ライティングの美しさやダイナミクスに感動したのを覚えている。でもGenesisは実質的に解散しちゃったしなあ...。
グランキューブ大阪で2日ライブをやるのだからGipsy Kingsって結構、人気あるんだなというのが第1の発見。女性客の比率が高かったのが第2の発見。
彼らの売り物は複数のguitaristがユニゾンでプレイする点にあると思うのだが、これくらいの大ホールだとその迫力がイマイチ伝わってこない。タブラオみたいな場所で、生音で聴いたらきっと迫力あるんだろうけど...。
Japan Tour@メルパルクホール大阪(Apr./08/18)
Gizmodromeのライブに行ってきました。CDは正直、ピンとこなかったのですが、メンバーは好きなプレイヤーだから演奏は面白いだろうと期待していました。StewertはThe
Police以来で10年振り、AdrianはKing Crimson以来で15年振り、Markに至ってはLevel 42以来で30年(!)振りの再会です。
まずはSrewertのドラム。The Policeの再結成の時よりも会場が小さいせいか、あの乾いた抜けのいいスネアと細かい刻みのハイハットがダイレクトに感じられる。ギターもボーカルも担当するが、これはドラムに比べたら余興のレベルか(笑)
それからMarkのスラッピング。Gizmodromeのアルバムでは意図的に封印していたらしいが、ライブでは時々プレイする。これも久しぶり生で聴きたかったんだよな。
Adrianの動物の鳴き声ギターはElephant Talkで。相変わらず個性的な演奏だ。
ヒット曲があるバンドではないので、The PoliceやKing Crimsonの曲で盛り上がってしまうのは仕方ない。特にアンコールでやったThela Hun Ginjeetは、Stewertとサポートのドラムによるポリリズムがハマり、Markのスラッピングも爆発。本家Crimsonを超える出来ではないかと思った。
とはいえまだテクがあるミュージシャンが合体したバンド、という以上のポイントがまだないのも確か。続けていけば面白い事もまだありそうだが、それぞれ忙しい人達だし、果たして次はあるだろうか?
ガンズは日本にも来るけど、日本で観たことがなかった。でも今回はSlashとDuffが戻って来たので行く気になった。それにAxlもこのツアーの前後に、AC/DCのツアーのゲスト・ボーカルを務めるなど、何かとやる気を出しているようなので、良いパフォーマンスを期待して行った。
実際、Axlの歌は調子が良かったように思えたし、ボーカリストとして華がある人だということも再確認できた。また相変わらずSlashもレスポールを持つと絵になるギタリストだ。しかし、にもかかわらず、ステージでは2人の絡みは特になく、何だかビジネスライクな雰囲気。せっかく戻ってきたんだから、もうちょっと楽しそうにやればいいのに。
一番最後にやった"Paradise City"で、ホイッスルが鳴った後、観客が盛り上がる瞬間を実際に体験できたことが、僕の今日のハイライト。