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Chicago/ Huey Lewis & the News

Live in Concert@大阪厚生年金会館(Apr./15/08)

さて再びジョイントのコンサート。両者とも80年代にヒット曲を持つバンドではあるが、どちらもライブを見たことがなかったので、行ってみた。こういったバンドは単独だと「まあいいか」と見に行かなくなるのだが、ジョイントだとセッションなども期待され、お得感があって行こうかという気になる。

ショウはまずHuey Lewis & the Newsからスタート。予想通りというか、(見たことないけど)80年代からずっとこんな感じでやっているのではないかという安定感が演奏にも歌にもある。HueyのMCも簡単な英語を選んで、観客とのコミュニケーションを積極的に図っている。途中でアカペラで「So Much in Love」もやっていたが、決して上手すぎないのがいい感じだ(笑)。別にヘタウマとは違うけれど、ともかくツボを押えたライブは楽しく終了。

で、後半はChicago。Chicagoが独特なのは、曲によってvocalがコロコロ替わるし、ホーン・セクションが真ん中にいるのも珍しい。それからdrumsもやけに前に出てきている。

Chicagoというと我々は80年代のAOR路線が印象深いが、やはり本来は70年代のバンドなのだろう。選曲も70年代のものがかなり多かったように思う。ところが80年代の曲になると、それまでひっそりとkeybordsを弾いていたBill Champlinが出てきて雰囲気が変わる。そんなわけで盛り上がるというより何か引き込まれた90分であった。

Chicagoの本編ラストは「Hard to Say I'm Sorry/ Get Away」。Chicagoの代表曲と言ったら異論がある人もいるかもしれないけど、最大のシングル・ヒットであることは間違いない。だからこれで本編を締めくくるのは当然と言えば当然。でもこれは激甘のバラードだから、盛り上がって終わるという感じにはならない。だからこの曲には最後に「Get Away」というoutroがくっついているのだ。ここでいきなりテンポがupになって、ホーンもバリバりで大盛り上がり。これで本編ラストというのは格好いいと思いました。それにアルバムで最初からこのパートを付け加えたDavid Fosterは偉いということで友人と意見は一致した。

だが、残念ながら今風の乾いたスネアの音はこの曲には似合わない。やはりこの曲にはリバーブがバリバリかかったスネアの音じゃないと...。そう考えてみると80'sのサウンドにおけるリバーブってCDとかで聴くと古臭いんだけど、やっぱ昔の曲には欠かせないんでしょうね。

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Eric Clapton

August World Tour@大阪城ホール(Nov./09/87)

ライブには数多く足を運んでいるが、友人と毎回、「伝説」として話題に上がるライブがこの日のショウである。この日はThe Robert Cray Bandが前座を務めるおまけつきであった。さてCD評でも書いたが、このツアーの前にリリースされたPhil Collinsプロデュースの「August」は「ポップ過ぎる」という理由であまり評判が良くない(僕はそうは思わないけど)。だがそれでもその後、長い間、ライブ活動を共にするbassのNathan EastとdrumsのSteve Ferroneとこの時期に知り合ったことが、ECにとって大きな意味を持っていたことは誰にも否定できないはずだ。

ライブはECとこのリズム・セクションとKey. のAlan Clarkの4人だけ。ECにしては少人数のライブであるが、それだけにメンバーのコンディションがはっきり音に表れてしまう。この日がツアーの最終日ということもあっただろうが、そういった条件が生み出す緊張感がいい方に働いたライブであった。とにかくどの曲でもECは壮絶なソロを長時間弾きまくる。SteveはAverage White Bandのメンバーだった人で、ブルースのようなECがやってきた音楽とはちょっと距離があるような気がしてならなかった。しかしそんなことは問題にならないほど、ECのテンションは高かった。

前座があったとは言え、ショウが終わったのは10時をはるかに回った頃。はっきり言って客は「もう十分。家に帰してくれ。」という雰囲気だったが、少なくともThe Robert Cray Bandとのjointを楽しんでいたECはまだまだ演りたそうな雰囲気だった。こんな気持ちで会場を後にしたのは後にも先にもこのショウだけである。あ、日本だけのサービスだと思うけど、アンコールで「Behind The Mask」やってました。それと今では考えられないけど、当時は観客の大半はECのguitarを聴きに来る男性でした。

25th Anniversary Tour@大阪球場(Nov./05/88)

要は「芸歴25周年記念公演」ってことで、演歌歌手みたいなノリ(笑)。ただ演歌歌手はいつでも「特別公演」と銘打って興行するが、今回のツアーは本当に特別でDire StraitsのMark KnopplerとElton Johnがspecial guestで参加した。音楽性から言うとMarkの参加は自然だが、Eltonの場合は接点が有りそうで無さそうな感じである。結果的に2人の参加が演奏を特別、盛り上げたということは無かったような気がする。だが、ECのレパートリーに加えて「Money for Nothing」や「Saturday Nights Are Alright」なんかが聴けた、楽しいショウであったことには違いない。

Japan Tour@大阪城ホール(Oct./22/97)

このツアーは、本当は「pilgrim」完成後のworld tourのスタートとして計画されていたのだが、CDの発売が延期になったため、今回は中途半端な状態でライブをやらざるを得なかったらしい。実際、この時に"pilgrim"に収録されていた新曲も何曲かやっていた。当時、個人的にはそんなに悪いとは思わなかったが、99年のツアーと比べてみると明らかに違う。ステージの構成やバンドのアレンジなど何から何まで99年のほうが上である。

Key.に名手Joe Sampleが参加していたのだが、ものすごいソロだったという印象もないし。「I Shot The Sheriff」のECのソロが良かったことくらいしか記憶にない。

Pilgrim Tour@大阪城ホール(Nov./15/99)

僕はECの古くからのファンというわけではないが、87年以来、今回でECを観るのは5回目である。この日の大阪公演はその中で1,2位を争う良い出来だったと思う(87年も凄かった)。

乱暴な言い方をすればECのファンは2種類に分類される。その一つは古典的なブルース、ロックのファンであり、その大半は男である。87年のliveも客はほとんどが男であり、そのほとんどはECのギターを聴きに来ている。僕はどちらかというとこの世代に最後に属する。一方、比較的最近のファンは"Tears in Heaven"や"Change the World"で彼を知った人達でこちらは女性も多い。実際、会場に女性も多かった。昔、「Phil Collinsってドラムも上手いのね」と言った人がいると聞いて卒倒しそうになったが、もしかしたら「ECってギターも上手いのね」と言う人もいるかもしれない(笑)。で、結果的に今回のライブはこの両者を十分に満足させる内容だったと思う。

前半は最新作"Pilgrim"からの曲が中心。そこにブルースが挟み込まれる。中盤はunpluggedでもちろん"Tears in Heaven"や"Change the World"が演奏される。そして後半からアンコールは往年の名曲という構成である。

ECのギターは本当に素晴らしかった。普通、ライブでは数曲、山場があれば十分なのだが、この日はほとんどの曲で優れたソロを聴かせてくれた。ただダラダラと弾くのではなく、ポイントを押さえたソロであった。正直言ってもうちょっと引っ張ってくれれば、と思わなくもなかったが適度なのは「腹八分目」と言うしね。

バンドの演奏も安定していて特にリズム隊はSteve GaddとNathan Eastなので文句のつけようがない。ただkey.がソロの時シンセでギターみたいな音を出していたのは頂けない。遊びと割り切ればそんなものかもしれないがギターはECがやればいいのだ。

それぞれの曲にコメントしてたらキリがないのだが、新作からは"Pilgrim"、"River Of Tears"、"She's Gone"が、またunpluggedコーナーではBell Bottom Bluesが、そして後半はどの曲も良かった。そして"Layla"はついにpluggedで!やっぱ"Layla"はこっちでしょうって感じなんだけど、ただこれに関しては明らかに以前聴いた時のほうが良かったので内心複雑。でもとにかくpluggedで聴けたのは10年ぶりくらいじゃないすか?文句は言うまい。

古くからのファンはECは「ギターの神様」だと思っているから最近ののような楽曲は不満かもしれない。だが今のECはあれが自然体なのだからかっての幻影ばかりを追いかけるのもどうかと思う。しかもこの日のライブのように、ECは気合さえ入っていれば、ギタープレーヤーとして他の誰にも真似できない素晴らしいプレーを聴かせてくれるのだから。そのことが確認できてとても満足しました。

Reptile Tour@大阪城ホール(Nov./19・22/01)

「最後」と噂される今回のworld tour。Japan tourは大阪3 daysで始まった。こういうことは初めてなのだが、大阪でECを観れるのも最後かもしれないということで、初日と3日目と2回観に行くことにした。

結論から言えば、初日は曲数は多かったものの、バンドのまとまりはイマイチ。3日目はバンドの演奏も良く、ECのギターも初日に比べていいソロを弾いてくれた。ただ、前回のライブがあまりにも良かったので、比較すると、やはり前回の方が印象深い。前回と比べると、今回は女性コーラスが抜けてキーボードが1人増えた構成だが、そのせいか前回が繊細さが感じられる緩急のあるライブだったとすると、今回は男性的なと言うか直線的な感じのライブであった。ここら辺は個人の好みであろう。

ショウの構成は、"Reptile"からの曲は3曲だけだから前回とあまり変わりない。だけどブルースのカバーである"Have You Ever Loved A Woman"(19日)、"Five Long Years"(22日)のギターは本当に「EC入魂のソロ」という感じで、特に"Five Long Years"は最後にポーズまで決めて、あんなに気合の入ったECは久しぶりに見た。それから白眉は最後の"Somewhere over The Rainbow"。あまりにも有名な曲ではあるが、これをECが歌うと本当にいい。ECは本当にsoul singerの域まで達したのだなあとか考えてたら、初日は思わず感極まってしまった。

さてset listは以下の通り。Key to the Highway, Reptile, Got You on My Mind, Tears in Heaven, Layla (Unplugged), Bell Bottom Blues, Change the World, My Father's Eyes (19th Only), River of Tears, Goin' Down Slow, She's Gone, I Want a Little Girl, Badge, Hoochie Coochie Man, Have You Ever Loved a Woman (19th Only), Five Long Years (22nd Only), Cocaine, Wonderful Tonight, Layla (Plugged), Sunshine of Your Love, Somewhere over the Rainbow.

ところで今回のライブには個人的なおまけが。何とこの日はバンドのメンバーで、bassのNathan Eastに会ってお話しすることができた。ちなみにNathanはセッションミュージシャンとしては超一流で、世界で最もギャラの高いベーシストではないだろうか。

実は19日に一緒に行った友達がよく行くバーには、Nathanが大阪に来た時には必ず立ち寄るとの情報を得ていたので、友達とそのバーでNathanを待つことにした。案の定、店に入ってマスターに聞いたら「もうちょっとしたらNathan来るよ」とのこと。待つこと10分、「来たー!本物だ!」とはさすがに言わなかったけど、本当にNathanの登場である。向こうは連れの人と2人。こっちは友達と2人で、それとマスターだけだからほとんど貸しきり状態であった。

この機を逃してなるものかと思い、FourplayのCDとペンを差し出して、CDにサインしてもらい、握手もしてもらった。最初は「今日のショウ、良かったです」とかちょっと話するだけだったのだが、だんだん酔ってくるとこっちも図々しくなって色々なことを質問してしまった。例えば「あなたは色々なドラマーと仕事をしてきたと思うが、あなたのお気に入りのドラマーは誰か?」とか。マスターがNathanが出演しているライブのビデオや演奏しているCDをかけるので、それを聴きながら「これはどんな感じで演奏していたのか?」などと遠慮なく本人に質問できるとは何と贅沢なことだろう。最後には本人から手渡しでピックももらってしまった。結局、2時間は一緒にいたのではないだろうか。それにしてもあれだけビッグな人なのに気さくに質問に答えてくれたりしてNathanは本当に紳士的ないい人でした。

それにしてもライブを観に行って、その後、出演したミュージシャンと一緒に飲みながら音楽の話ができるとは、本当に音楽ファン冥利に尽きる。久しぶりにミーハーになった一日だった。ちなみにNathanは最近、Phil Collinsと仕事したとのこと。また彼自身のソロアルバムもついに来年、リリースするらしい。

Japan Tour 2003@大阪城ホール(Nov./17・20/03)

「最後」と言われた前回のツアーからちょうど2年で、再びECは大阪に戻ってきた。今回は新作のリリースを伴っていなかったため、曲目が予測できなかったが、予想通りと予想外の選曲が半々という感じだろうか。今回のショウの特徴は、イントロやエンディングを引っ張ることなく、コンパクトにまとめていることであろう。久しぶりのツアーではあるが、メンバーも大半は旧知の仲であるためか非常に安定した演奏であった。逆に言うと前回の3日目の"Five Long Years"のようなブチ切れたECは見られなかったが。

定番とは言いながら、ここ最近のリストから落ちていた、Crossroads、I shot The Sheriff、White Room辺りが復活したのが嬉しかったです。特にCrossroadsのアレンジはかなり格好よかったです。

ちなみにset listは以下の通り。When You've Got a Good Friend、Crossroads、I Shot The Sheriff、Bell Bottom Blue、Reconsider Baby、Can't Find My Way Home、White Room、I Want a Little Girl、Got My Mojo Working、Hoochie Coochie Man、Change The World、Five Long Years、Kind Hearted Woman、Badge、Holy Mother(17th only)、River of Tears(20th only)、 Lay Down Sally、Wonderful Tonight、Cocaine、Knockin' on Heaven's Door、Layla、Sunshine of Your Love、Somewhere over The Rainbow

Japan Tour 2006@大阪城ホール(Nov./12・14/06)

もともとはアルバム「Back Home」のためのツアーのはずだったが、既に日本の前のアメリカのツアーで「Back Home」からの曲が1曲も演奏されなくなっていた。そんなわけでツアーのタイトルも「Back Home Tour」なわけないですよね。

今回のツアーの目玉は初めてのトリプル・ギター編成ということで、中でも注目はスライド・ギターの名手、若干27歳のDerek Trucks。「Back Home」は必ずしもスライド・ギターやトリプル・ギターを前提としたアルバムではなかったので、結果的にライブで映えるセットに変わっていったのだろう。その分、Derek & Dominosの曲が積極的に取り上げられていたと思う。

ギター・ソロももう1人のギタリスト、Doyle Bramhall Uと3人で回すことが多く、EC独りがソロを延々弾くということはなかった。まあそれが残念と言えば残念だが、ECもさすがに年だしそういうことを期待するのもどうかと自分を納得させた。それにそこさえ割り切れば、3人でギター・ソロを回すのも変化があって、それはそれでショウとしては楽しめた。

今回のショウのハイライトは「Layla」。もちろんECのショウではいつだって「Layla」はハイライトなのだが、今回は前半ではなくcodaのパートがはっきりいってメイン。いつもだと前半の部分で熱いギター・ソロがあって、codaのパートで余韻を楽しむという感じなのだが、今回は前半のソロは短くあっさりめ。その代わりその後で、Derekをフィーチャーしてギター・ソロの絡みが聴けるのだ。ここはなぜかECがソロを客席にお尻を向けて弾いていることもあって、完全にDerekの勝ち(別に勝ち負けでやっているわけではないだろが)。とても美しい瞬間だった。

それからTim Carmon、あんたのシンセ・ソロは本当にしょうもない。「Cocaine」だったらハモンド弾いた方がずっといいのに。理解不能。

Set listは以下の通り。Pretending、I Shot The Sheriff(12th only)、Got To Get Better In A Little While、Old Love、Tell The Truth、Any Day(14th only)、Motherless Children、Driftin'(14th only)、Key To The Highway、Outside Woman Blues、San Francisco Bay Blues(12th only)、Nobody Knows You When You're Down & Out、Running On Faith、After Midnight、Little Queen Of Spades、Further On Up The Road、Wonderful Tonight、Layla、Cocaine、Crossroads

Japan Tour 2009@大阪城ホール(Feb./13/09)

うーん、イマイチかなあ?演奏そのものはまとまっていたし、ECのコンディションも悪くなかったと思うけど、逆に驚きもなく、厳しくみれば予定調和的で退屈だったと言えなくもない。前回Derek Trucksのように、ECを刺激するようなプレイヤーがいなかったことが原因なのだろうか。

前回、大阪でやらなかった「Why does love got to be so sad 」が聴けたのは収穫だったが、CDのように火傷しそうな演奏ではなく、もうちょっとマイルドな感じ。Codaのギターの掛け合いも音量を落としていたが、それはそれで悪くなかった。でもそれはつまり、僕がECに求めるものとECがやりたいことが違っていることの証拠なのかもしれない。

Set listは以下の通り。Hoochie Coochie Man、Key To The Highway、Tell The Truth、I Shot The Sheriff、Here But I'm Gone、Why Does Love Got to Be So Sad、Driftin'、Travelin Alone、That's Alright、Nobody Knows You When You're Down & Out、Running On Faith、Motherless Children、Little Queen Of Spades、Before You Accuse Me、Wonderful Tonight、Layla、Cocaine、Crossroads

Japan Tour 2014@大阪城ホール(Feb./26/14)

今回のツアーも「これが最後の日本ツアー」みたいな話にまたなっていて、前もそんなこと言っていたけど、「まあ年齢的にそんなものかなー」と微妙な心境で会場に向かった。会場の年齢層は例によって高い。以前は大阪でも3公演くらいやっていて、それなりに若いファンもいたと思うのだが、それは「Change the World」とかヒット曲を出していたからであって、今は忠誠心の高いファンが観客の大半だろう。

今回はkey.でPaul Carrackの参加がポイント。こういう機会でもないと「How Long」とか日本で生で聴くことはないだろうから。その他にも全部で3曲くらいボーカルを任されていて、結構活躍していました。

ここ最近と同じく、ソロもコンパクトにまとめて、最後のツアーとかいう割には淡々とした演奏。しかし決してコンディションが悪いとかいうわけではなくて、「I Shot the Sheriff」のソロとかはかなり良かったです。

Set listは以下の通り。Pretending, Key To the Highway, Tell the Truth, Hoochie Coochie Man, Honest Man, Wonderful Tonight, I Shot The Sheriff, Driftin’, Nobody Knows You When You’re Down And Out, Alabama Woman, Layla (Unplugged), Tears In Heaven, How Long, Before You Accuse Me, Crossroads, Little Queen of Spades, Cocaine, High Time We Went

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Eric Clapton & Steve Winwood

Japan Tour@大阪城ホール(Nov./21/11)

まあ、この2人の共演ということであれば、Blind Faithを期待することになるわけで、実際、Blind Faithの曲もやったし、SteveのソロやTraffic、もちろんECの曲もやって2人のキャリアを総括する内容。Steveもオルガンだけでなく、ギターも弾いて、ソロまで弾いていたから本当に対等の共演であった。

Steve Gaddがドラムで、タイトに叩いていたことも大きいと思うのだが、Blind Faithの曲も60年代風ではなくて、あくまで2010年代版。今回、前から3列目でPAの前だったので、耳が潰れることを恐れていたのだが、PAの音量も控えめで楽器の音色の繊細なところも聞き分けられる。つまり大人に聞かせる感じのショウで、客席も別に盛り上がっていなかったわけではないと思うのだが、本編最後の曲までみんな座っていた。

ECは相変わらずソロはコンパクトにまとめていたが、それぞれの曲にそれなりに聴きどころはあった。また改めて気付いたことだが、Steveのオルガンは音色も演奏も素晴らしい。ロックのオルガンはこんな感じで弾いてほしい、と思う通りに弾いてくれた。歌のほうは歳のせいか、高音部分は歌いにくそうだったけど。

と、そんなことを考えながらショウを見ていたのだが、Jimi Hendlixのカバー、「Voodoo Chile」で印象は一変。PAの音もでかくなって、ECもSteveも長尺ソロを弾きまくる。最後にギターのフィードバックノイズが爆発して、この曲だけはトリップしたなあ(笑)。

Set listは以下の通り。Had to Cry Today/ Low Down/ After Midnight/ Presence of The Lord/ Glad/ Well Alright/ Hoochie Coochie Man/ While You See A Chance/ Key to The Highway/ Midland Maniac/ Crossroads/ Georgia on My Mind/ Driftin'/ That's No Way to Get Along/ Wonderful Tonight/ Can't Find My Way Home/ Gimme Some Lovin'/ Voodoo Chile/ Cocaine/ Dear Mr.Fantasy

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Phil Collins

The No Jacket Required Tour@大阪フェスティバルホール(Apr./26/85)

このショウは確か僕が初めて自分でチケットを買って観たショウだったと思う。そのせいかずいぶん昔のことになるけど、記憶に残るライブであった。

当時、僕は特にプログレのファンではなかったので、多くの日本人と同様、Genesisのメンバーというよりまずソロ・アーティストとしてPhilを認識していたと思う。とは言っても2ndアルバムから「You Can't Hurry Love」をヒットさせたり、サントラからの「Against All Odds」が全米1位になったりしていたから、その名前はある程度は知っていたとしても、(日本では)超メジャーな存在とは言えなかったのではないだろうか。このツアーは3rdアルバム「No Jacket Required」に伴うものではあったが、チケットが発売された時はまだリリース前だったので、正直言って友達に誘われてついていったのである。しかし日本でライブをやる頃には、アルバムもリリースされ「Susudio」や「One More Night」があちこちのチャートで1位になっていたから、彼の認知度もずっと上がっていて、プラチナ・チケットになっていたのではないか。

バンドのメンバーはGenesisと同様にD. Stuermer(g)とC. Thompson(ds.)。それにbassとKey.と4人のThe Phenix Hornsでホーン・セクションが加わっているところが豪華である。これはソロにおけるPhilのR&Bに対する傾倒ぶりを考えれば欠かせないパートだったのだろう。旧知のメンバーが多く、既にヨーロッパでのツアーを経て日本に来たためか、演奏だけでなくショウの構成も極めてスムーズに進行していったように思う。ショウは2ndアルバム収録の「I Don't Care Anymore」からスタート。あのパーカッション的なドラムのイントロがいつ聴いても格好いいですね。「One More Night」や「If Leaving Me Is Easy」なんかはピアノを弾きながら、またちょっとしたパフォーマンスをしたりとなかなかのエンターテナーであった。

しかし何と言ってもPhilはdrummerで、drumsを叩いている時が一番、格好いい。「West Side」というインスト曲で、途中にドラム・ソロを挟み込むのだが、このソロが本当にいい。ドラム・ソロって時々、長いだけで退屈してしまう場合があるのだが、あのソロにPhilのdrummerとしてのセンスの良さを感じる。

The Serious Tour@大阪城ホール(Feb./26/90)

商業的にはこの頃がまさに全盛期だったPhil Collins。「No Jacket Required」の後、Genesisの方も大ヒット。映画「Buster」に出演して、そのサントラから「Groove Kind of Love」、「Two Hearts」も全米1位。そして4thアルバムの「...But Seriously」も大ヒットと、とにかく出す曲、全てがTop 10に入るという無敵の快進撃。グループもソロも両方ともこれ程、成功したのは、他にはBeatlesしかない。このツアーの模様を収めたlive albumが「Serious Hits...Live!」として発売されているが、要するにこの時のショウのセット・リストはほとんどGreatest Hitsと言っても良かったのである。

メンバーは前のツアーとほとんど同じだが、key.が替わって、それから男性2人と女性1人のbacking vocalが新たに加わっている。しかしこの日のショウはworld tourの初日。そんなわけでメンバーもどこがまだ固さが抜けなくて、「公開リハーサル」という感じ。確か「Colors」のイントロでPhilが間違えてやり直していたよなあ。

もっともbacking vocalが加わったおかげで「Separate Lives」や「Easy Lover」がライブで聴けるようになったのは大きい。それから「You Can't Hurry Love」と「Twp Hearts」をメドレーでやったり、ショウを「Take me Home」で締めくくるなど、その後のライブの定番が出来上がったのもこのツアーからだった。

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