A

Live Reviews Indexに戻る

Private Roomに戻る

表紙に戻る


AC/DC

Stiff Upper Lip World Tour@大阪城ホール(Feb./22/01)

AC/DC、19年ぶりの日本公演であるが、ということは前回来日した時は僕はまだ中学生である。その20年前であれば僕がAC/DCのライブに足を運ぶなんてちょっと想像できなかった。というのも当時のAC/DCはやたら「悪魔」とか「地獄」というフレーズで売り出していたので何となくヘヴィーメタルだと思っていたのである。そして当時、ニューウエイヴにはまっていた僕にとってヘヴィーメタルは敬遠していたジャンルであった。そんなわけで長い間、AC/DCを耳にすることはなかったのだが、ここ数年、AC/DCが再評価されると同時に、どうもヘヴィーメタルであるというのは勘違いであるらしいことがわかってきた。そして実際にCDを聴いてみるとこれはヘヴィーメタルではなく、ブルースあるいはブギを主体としたごく普通のロックンロールであることがわかったのである。ロックが好きな人間ならギターのリフに身を任せることがいかに快感かはいまさら言うまでもない。CDを聴いてAngus Youngのリフの洪水にすっかりやられてしまった以上、これはぜひライヴを観なければ、と思っていた矢先の来日公演であった。ラッキーである。

さて会場の大阪城ホールはほぼ満杯。客もライヴが始まる前から熱いノリで、間違いなく盛り上がることを予感させる。それにしても客層は同年代より下の人もいて、この人達は一度も生でAC/DCを観たことはないはずなのだが、どういう経緯でAC/DCのファンになったのだろうか?不思議である。

ショウは「You Shook Me All Night Long」でスタート。しかし客の熱さに比べて演奏はよく言えば安定感のある、悪く言えば無難な演奏に聴こえるのだが、これはスタンドで観ているせいだろうか?Angusのリフも体で感じるというより、ちゃんと耳で聴いているという感じである。「このままライヴが進行するなら、予想していたよりは淡々としたものだなあ」と思いながら何曲か冷静に聴いていたのだが、ところがこれは勘違いで要するに最初の1時間は後半のためのジャブであった。

したがって客の熱さに演奏が追いついてきたのは後半である。ところで実はこのJapan Tourは基本的に欧米のツアーのセットを持ってきている。経費の関係でステージセットを簡素化しがちな来日アーティストが多い中でこれは本当に評価していいと思う。煙を吐くAngus Youngの銅像、「Hells Bells」の天井から吊り下げられた鐘、「消防法、大丈夫か?」と思わせる「Highway to Hell」で立ち上がる火柱、「Whole Lotta Rosie」でむくむくと現われる女の子の人形、そして本編最後で演奏した「Let There Be Rock」では会場中央の花道の先で舞台が上下し、Angus Youngが弾きまくる。そして爆発するAngus像。また中盤では恒例のAngusのストリップショウが披露され、日の丸のトランクスに客席も盛り上がる。

こんな演出に驚いている間に前半の冷静な自分自身はどこへやら、完全にエキサイトしてしまっていることに気づく。Angusのリフももはや耳で聴いていない。脳を直撃である。勝手に体は動くし、叫んでしまう。しかし無敵のライヴバンドであるAC/DCにとってはこんなことも当然、計算済みであろう。前半は明らかにジャブであった。その時、一緒に観に行った友達も失神寸前だったらしい。もちろんこれは観客全員に共通していたのだろう。というのも本編終了後のアンコールの拍手がやけに少なかったからである。もちろんつまらなかったからではない。みんなAC/DCの迫力にやられてしまって拍手すらできない状態であったに違いない。

アンコールは「T.N.T.」と「For Those about Rock (We Salute You)」。当然、「For Those about Rock (We Salute You)」ではお約束どおり、6砲の大砲がぶっ放される。大砲を打つ時、vocalのBrianが「Fire!」と叫んでいるが、そんなこと言われるまでもなくこっちはとっくに「Fire」である。我々はスタンドの一番奥にいたにも関わらず、この大砲の音で耳をやられる。アリーナなんかにいたら気を失っていたかもしれない。そして本当の最後に大砲が爆発した瞬間、会場全体にとてつもない量の紙吹雪が舞う。これは小林幸子のショウなのか(笑)?

とにかくAC/DCはロックンロールの究極のエンターテーメントであった。Angusは本当に2時間の間、ひたすら弾きまくり、ダックウォークしまくりで、これはステージセットのことも含めて、一切手を抜いていないことは明らかである。だが、ただ馬鹿みたいに激しく動くだけではなく、またただうるさいだけでもなく(と言っても大音量だけど)、完全に計算されていると言う点で「これは本当にプロの仕事だなあ」と興奮と同時に感動も覚えた。しかしこれを観たいために19年も待った人の感動はひとしおだろうなあ。って言うか、こんなショウを19年間も持ってこれなかった日本のロックファンっていう人達にどっか問題があるんじゃないだろうか?まあ自分も長年、勘違いしていたから偉そうなことは言えないけど。ところでメンバーもそれなりに歳である。次はあるのだろうか?

Black Ice Tour@京セラドーム大阪(Mar./16/10)

この来日公演の直前、メルボルンに出張していたのだが、この時期、AC/DCは地元オーストラリアをツアー中ということでかなり盛り上がっているようで、どこかの展示場で「AC/DC展」のようなものをやっていた。パネル写真の展示ややビデオが流れているくらいのものだが、さすが国民的バンドである。

いや、オーストラリアの国民的バンドというよりは、正確には世界を代表するロックバンドというのが正しいだろう。前のツアーのレヴューにも書いているように、自分もにわかファンであったので偉そうなことは言えないが、やはり日本の評価が低すぎたのだ。しかし前のツアーから9年も経って、状況もだいぶ変わった。まあ「Black Ice」そのものがかなり力作であるのだが、これが再び世界中で売れて、しかも日本でも結構売れたと記憶している。ようやく日本での評価も世界水準に追いつき始めた感じだ。

それでも、京セラドームっていうのはさすがにハコが大き過ぎるんじゃないの?と思った。しかしこれには理由があって、1つの理由はセットをすべて持って来るにはドームサイズの会場が必要だったこと。2つ目の理由はステージをやや前寄りにしてアリーナの席数を減らしたこと。これによりさすがにsold outにはならなかったが、ガラガラという感じもしなかった。これだとどこからでもステージはよく見えるし、何より完全にセットを持ってきてくれたことに感謝しよう。そして、前回より明らかに増えたファンが、こうしたバンドの配慮に応えるように盛り上がっているのもいい感じだ。

定刻を少し過ぎた頃に場内が暗転。モニターに蒸気機関車に乗ったAngusのアニメが映し出される。で色々お約束の展開があった後に、アニメの機関車は脱線して激突。その瞬間に中央から機関車のセットが現れ、花火と炎が飛びまくり、当然、「Rock N' Roll Train 」でショウはスタート。この花火と炎の量、日本だから抑え目とは思うが、それでもいきなりこれ、本当に大丈夫ですか?

ある意味、AC/DCのショウはお約束事が多いので、印象は前のツアーとあまり変わらない。違う点を1つ挙げると、昔の曲の多くはキーを落としていたことか。これは彼らの年齢を考えれば仕方のないことかもしれない。しかしキーは落としてあっても、意外なほど(全くとは言わないが)気にならない。AC/DCの真髄は、メロディーというよりリフとグルーブで鍛えられた楽曲にあるからだろう。

そして本当の最後はやはり「For Those about Rock (We Salute You)」で大砲ぶっ放して終了。いやあ相変わらず凄い。年齢的に最後のツアーと言われてますが、新譜作るのはいいから、もう一度、このセットで日本来てもらえませんか?

セットリストは以下の通り。Rock N' Roll Train / Hell Ain't a Bad Place To Be / Back In Black / Big Jack / Dirty Deeds Done Dirt Cheap / Shot Down In Flames / Thunderstruck/ Black Ice / The Jack / Hells Bells / Shoot to Thrill/ War Machine / High Voltage / You Shook Me All Night Long / T.N.T. / Whole Lotta Rosie / Let There Be Rock / Highway To Hell / For Those About To Rock (We Salute You)

Rock or Bust Tour@Tacoma Dome (Feb./2/16)

AC/DC、どうしようかずいぶん迷ったんだけど、Foster SchoolのMBAの方と意気投合して行くことにしました。

会場のTacoma Domeはもちろん初めてなんだけど、大阪城ホールよりももう少し広いくらいかな。何となくわかっていたことだけど、それにしても本当に白人しかいない。アジア系など我々以外にいたのだろうか?MuseもTower of Powerも客層はもうちょっとバラエティに富んでいたはず。

そんなアウェイ感溢れる中、ショウはスタート。今日はUS tour初日だが、そんなこと感じさせないくらい音がまとまっているのはさすが。これまでと比べると、アンコールも含めてショウは2時間ちょうどでちょっと短め。その分エネルギーを凝縮した感じがあって、音が突き刺さるようだった。これはたぶん、最新アルバムと同じコンセプトだと思うが、2時間以上もあの調子でショウが続いたら、こっちも疲れてしまうので、これで正解。相変わらずチケット代以上の現役感溢れるステージだった。

TOP


Average White Band

Japan Tour@大阪Blue Note(Sep./23/06)

白人のソウルバンドと言えば、Tower of Power、そしてこのAverage White Band。今までCDは何枚も買っていたが、実際にライブを観たことはなかったので待望の来日公演である。いつもだったらBlue Noteは2nd stageを観るのだが、今日は事情があって1st stageに。そのせいか観客もやや大人しく、バンドも最後になって調子が出てきた感じ。まあこれはBlue Noteの宿命か。やはり2ndの方がかなり盛り上がったのだろう。さらにアメリカみたいにTOPとのジョイントだったら言うことないけどね。

今は全盛期と比べるとメンバーもだいぶ変わっていて、オリジナルメンバーはAlan GorrieOnnie McIntyreくらいしかいない。個人的にはAlanのvocalとOnnieのguitarが好きなので悪くはないのだが、drumsのRocky Bryant という人のプレイがやや直線的でもうちょっとメリハリをつけて欲しいところ。その一方で、Klyde Jonesという人はKeybordもguitarもbassも弾いて、おまけにlead vocalまでやるマルチプレイヤーで、今の音楽的な屋台骨はこの人の様子。

それにしてもPick up the Piecesという曲の魅力は不滅ですね。インストでシンプルな構成なんだけど、いつ聴いても盛り上がってしまう。

TOP


Bryan Adams

18 Till I Die Tour@大阪城ホール(/97)

「死ぬまで18歳」というCDリリース後のツアーで、タイトル通り、確かにエネルギッシュ。ただし色々な曲をやってくれたのだが、最後の方は曲の区別がつかなかったような(笑)。まあrock'n rollとballadで構成されるいかにもAmerican rockな(BryanはCanadianだけど)ショウであった。

印象的な演出があって、ショウの途中でアリーナの真ん中に設置された小さな舞台で何曲か演奏するのである。つまり大ホールでもライブハウスてきな雰囲気を再現しようという意図である。で、このコーナーの途中から観客をどんどん舞台に上げて躍らせるのであるが、狭い舞台に次から次に客を上げてもう無茶苦茶な状態になってしまう。ところがそう思いきや、演奏は乱れることなく、また無茶苦茶をやっているようでBryanの目は冷静であった。そんなところに改めて、本物のエンターテナーぶりというか、アメリカのshowbiz界の奥深さを知った思いがした。

それと面白かったのがオープニングで、メンバーが舞台に登場して演奏が始まると舞台後方にかけてあった幕が落ちる。するとそこに2階か3階建ての棚みたいな舞台があって、そこで観客から(というかファンクラブかららしいが)選ばれた何十人の女の子が踊っているのである。つまり彼女達はショウの間、Bryanを背中から見続けることになるのだが、こんな演出、他で見たことなかったのでインパクトありました。

TOP


Aerosmith

Roar of The Dragon Tour@大阪ドーム(Dec./29/99)

それにしてもAerosmithって人気ありますね。本当にチケットが取れない。洋楽アーティストとはいえ、チケット争奪戦を何とか勝ってきた僕でも「Nine Lives」の時は本当にチケットが買えなかった。まあ特別、Aerosmithが好きという訳でもなかったが、一度は観ておきたいと思って、この時は頑張りました。この時は2000年のカウント・ダウン・ライブを大阪でやるために組まれたJapan Tour。そういったイベント性があったためか舞台装置、特に火薬の使い方が滅茶苦茶に派手。絶対に消防法を無視している。

ショウは「Eat The Rich」から始まって、まさにGreatest Hits。Aerosmithもヒット曲が多いから、ある意味、選曲に制約があるのかも。だって最新ヒットの「Miss A Thing」を演らないわけにいかないし、かといって「Dream on」や「Walk This Way」をカットするわけにもいかんでしょう。まあそんなわけで楽しめたことは楽しめたのだが、いかんせん、席がスタンド上方だったので、個人的には盛り上がりに欠けてしまった。アリーナ前方の人には最高だったのかもしれない。本当、ドームでライブやると、どこで観るかで印象ががらりと変わってしまうよね。

TOP


The Allman Brothers Band

Japan Tour@大阪厚生年金会館(Jan./14/91)

The Allman Brothers Bandってアメリカ南部のブルースを基調とした男くさいロックをやるバンド。CDを聴いている限りではその通りなんだけど、実際にライブで聴くと、ちょっと印象が違うんだよな...。

彼らはライブではジャムるのがパターンなのかとにかく1曲が長い。メンバー構成はtwin guitarsでtwin drumsなんだけど、例えば1人が2分ソロをやったら、もう1人も必ず2分はソロをやる。ドラム・ソロも同じような感じで、だいたいティンパニー、5分叩き続けるソロなんて初めて見た。そういうソロを何度も何度も聴かされると、退屈とかじゃなくて何か幻聴・幻覚が起こったような気がしてくる。つまり彼らのライブってしらふで見るもんじゃないということが、その時わかったような気がした。ということは...。演奏の途中、スライドでキノコっぽい映像が流れていたのが全てを象徴している(笑)。これも一種のサイケデリック・ロック。

TOP


Anderson, Bruford, Wakeman, Howe

An Evening with 'Yes' Music, Plus...@大阪フェスティバルホール(Mar./05/90)

「Big Generator」のツアーの後、Trevor Rabinの路線に反発して脱退したJon AndersonがかってのYesのメンバーを集めて作った新グループがこのABWH。要は「Fragile」のメンバーからbassのChrisを差し引いたと思えばいい。実質的に往年のYesの再結成だが、法的な問題でYesを名乗れないために長ったらしいグループ名になっている。しかしツアー・タイトルを見ると「こっちが本家Yes」と意地を張っているのがおかしい(笑)。

このツアーにはChrisの代わりにTony Levinと、guitarとkey.にサポート・メンバーが1人ずつ参加。技術的に優れているのは言うまでもない。タイトルにあるようにABWHの新作とYesの名曲を配したセット・リストであったが、ABWHの新譜は口実で要はみんなYesの曲をライブで演奏したかっただけなのではないか。往年のファンには「あのYes」が再現されて満足だったと思うが、やはり80年代のYesを引っ張っていたのはいわゆる「90125 Yes」のTrevor Rabinであり、彼がいないYesは何となく枯れた感じがして、どこか物足りないように感じた。まあこれは世代の問題ですね。

TOP


Aswad

Japan Tour@大阪国際交流センター(//87)

僕が初めて行ったレゲエのライブ。別に悪いショウじゃなかったと思うけど。でもなぜか僕とレゲエとはあまり相性が良くないようで...。

TOP