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King Crimson

The Power to Believe (UICE-1045 )

"Nuevo Metal"なるキーワードの下、完成したクリムゾンの新作であるが、インタビューによればこの"Nuevo Metal"とは「King Crimsonが演奏するメタル」ということだそうだから意味はあってないようなものか(笑)。しかしその内容はメンバーも認める通りのなかなかの傑作で、1stや"Red"とかを超えるかどうかはわからないが、それにしてもかなりの高水準であることは確かだ。

このアルバムの何がいいのかというと、サウンドが現代的で聴きやすい。クリムゾンで「聴きやすい」というのも変だけど。Pat Mastelottoの重たいドラムが"Nuevo Metal"のサウンドの核になっているのは明らかなのだが、同時にプログラムされたパーカッションも随所に散りばめられていて、それが意外にもサウンドをすっきりさせ、現代的かつ聴きやすいサウンドになっている。

アメリカでは"Nu Metal"なるジャンルの音楽が流行っていて、"Nuevo Metal"はそのような流行に対するクリムゾンからの回答なのかもしれない。TOOLなどクリムゾンの影響を受けたというバンドの登場も本家に何らかの影響を及ぼしたに違いない。しかしこのアルバムはクリムゾンが流行に追随したという印象は全くない。クリムゾンは"Red"あるいはもっと遡れば"21st Century Schizoid Man "のような音楽を昔からやっていたわけで、R. Frippが言うようにメタルはクリムゾンのサウンドの文法の一つだからである。かと言って前作の"The ConstruKction Of Light"のようにヘヴィネスばかりが強調されると聴く方としてはちょっとつらい。

繰り返しになるが、このアルバムはクリムゾンの伝統を継承しつつ、現代的なサウンドになっているところがいい。昔のクリムゾンばかりを聴いている人にも聴いて欲しいし、反対にクリムゾンをよく知らない若い世代にも聴いて欲しいという、世代の架け橋のようなアルバムである。それにしてもR. Frippという人は50歳代後半というのに、こんなヘヴィで現代的な音楽をやりたいというのだから、やはり普通の人ではないんだな。


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