2007年3月・第1回定例会代表質問March 2007

第1質問

 議長の許可を得ましたので私は日本共産党東大阪市会議員団の代表質問をさせていただきます。先輩同僚議員の皆様におかれましてはしばらくの間の御清聴のほどよろしくお願い申し上げます。

長尾市長の市政改革の展望について

 長尾市長が昨年就任以来約8カ月が過ぎました。この短い期間にもタウンミーティングを2回開催し、市民の意見を直接市長が聞いて行政に反映をさせる努力を初め、24億円もかかる上下水道局庁舎建設計画の中止、介護保険料減免制度を大阪府下トップクラスに拡充し、介護保険の要介護認定を受けている方への税金の控除証明書発行などさまざまな公約を実現、暮らしの活路を切り開く市政を推進してまいりました。

 この間長尾市長の進めてきた市政に対し、税金も上がり介護保険料が高くなったから困っていた、減免が今度受けることができてうれしい、介護保険の要介護認定を受けていたら税金の控除が受けることができるんですか、それはありがたい、初めて知りました、新しい建物をまた建てるのは税金のむだや、上下水道局の建設を中止してくれてよかったなど市民から歓迎の声が寄せられています。

 今、小泉、安倍の自民、公明政権による格差と貧困の広がりの中で、長尾市政が進めているむだを省き暮らしを守る政治は特別に重要になっていると言えます。実際東大阪市でも生活保護世帯が2003年度の8163世帯から今では1万世帯を超すまでに急増しています。就学援助を受ける児童生徒の割合も2006年度は21.25%になっています。一生懸命働いても生活保護以下の収入しか得られない、いわゆるワーキングプアという状況も広がり、市内製造業も減少し、市民の暮らしは大変です。

 それだけに長尾市長が所信表明で示された市民の3つの声、暮らしを守ってほしい、税金のむだ遣いをするな、市民の目で市政が見えるようにを基準にした市政運営こそ今求められている政治であり、市民の期待にこたえるものだと確信します。

 そこで最初に長尾市長にお聞きいたします。長尾市長が就任以来進めてきた新しい政治の流れについての感想と今後市長は所信表明で示された市民の3つの声を基準にどんな市政改革を進めていくおつもりなのか、市長の東大阪市政への思いとその展望をお聞かせください。

旧同和施策の見直しについて

 次に東大阪市政が直面している課題を旧同和施策の見直しと暮らしを守る施策の充実という2点に絞って質問します。

 まず旧同和施策の見直しであります。今議会冒頭長尾市長は市政運営方針の中で、公約のもう一つの柱である旧同和施策の終結に向けて強い決意を示されました。今議会に提案された予算案は旧同和施策の見直し約2億円と東大阪市政史上初めての画期的なものとなり、旧同和施策終結に向かう大きな一歩をしるすものです。こうした長尾市長の提案に対して、市長の並々ならぬ決意が感じられる、ぜひ頑張ってほしいと期待の声が寄せられています。

 旧同和施策はかつて封建的な身分差別のために差別の対象とされ、住宅や居住環境などが劣悪な状態に置かれた旧同和地区の人々の実態を早急に改善するために、1969年に同和対策事業特別措置法が10年の時限立法として制定されたのが始まりでした。その後地域改善対策特別措置法、地域改善財特法などと法律がつくられ特別対策が行われてきました。そして1986年には地域改善対策協議会が意見具申を発表し、同和地区の実態が大幅に改善され、実態の劣悪性が差別的な偏見を生むという一般的な状況はなくなった、特別対策の必要性はなくなったとの見解を明らかにしました。さらにこの意見具申では可及的速やかに一般対策へ全面的に移行されるべき性格のものであるとなっているものです。

 政府としても2002年3月末をもって特別措置法を失効させ、当時の総務省地域改善対策室、もとの同和対策室を廃止しました。

 このように今や旧同和施策を続けることは法的にも実態的にも根拠はありませんし、これ以上引き続いて一般対策としながら旧同和地区を特別扱いした施策を進めることが旧同和地区を行政により固定化することになり、また内外の社会的交流を妨げ、かえって同和問題の解決に逆行することになります。

 また昨今大阪市や八尾市などで部落解放同盟一部幹部が相次いで逮捕され、同和行政と絡んでの無法が明らかになっています。こうした一連の問題は民間運動団体の威圧的な態度に押し切られて不適切な行政運営を行う傾向が一部に見られると86年に当時の総務庁が指摘したように、行政の主体性の確立に弱点があったのがその要因ではないでしょうか。

 この教訓からも行政が地方自治法に基づいて住民の福祉の向上のため主体性を持って公平、公正に法や条例に基づく事務を執行していくことが必要であります。また新たな差別要因の一つとされた同和関係者の過度な優遇は直ちに終結していかなければなりません。

 こうした中で長尾市長が今議会に提案した予算案は、旧同和施策の終結の公約実現に向けての大きな一歩をしるした市政史上画期的なものと考えますが、その内容を改めて明らかにし、市長の旧同和施策の終結への視点と今後の決意についてお聞かせください。

旧同和施設の異常な職員配置について

 次に具体的な課題についてお聞きいたします。まず旧同和施設の異常な職員配置について質問します。

 人口が5000人ほどの旧同和地区内には青少年センター、人権文化センター、障害者センター、老人センター、診療所など公的施設が集中しています。その職員数は合計で437人にもなります。人口5万7000人の四條畷市の普通会計での職員数429人をも上回る驚くべき人数です。その人件費総額は26億円にもなっています。こうした職員の多さは人手不足に泣いている職場から見て到底許せるものではありません。

 例えば私はよく西福祉事務所に行きますが、そこではフロアの職員全員が市民からの電話の対応に追われて窓口にすぐに出てこれないといった光景によく遭遇します。また生活保護のケースワーカーは80の国基準に対し100を超すケースで苦労されておられ、また国保の現場も大変です。

 それだけに旧同和関係施設等に437人もの職員を配置をしているような状況は直ちに改めるべきであります。日ごろ市民のための仕事をしたいと考えている職員の方は多くおられます。そういう職場にこそ手厚い職員配置を行うべきです。早急なる見直しを行うよう強く求めるものであります。

 特にこの間も問題にしている青少年センターと青少年運動広場への職員配置であります。長瀬と荒本の青少年センターと運動広場には職員、非常勤嘱託、アルバイト合わせて74名もいます。人件費の総額は6億3139万円にも上ります。青少年センターにかかわる人員の問題では、このほかに警備だとか清掃だとかいう目的で雇用開発センターに10名の職員の配置をしています。合計すると青少年センター関係だけで84名もの職員を配置していることになるのであります。とんでもない話です。こうした異常な職員の多さの問題に加えて解同と一体の人権協会への職員の派遣という問題もあります。

 ここに2006年7月13日現在の人権協長瀬地域協議会の事務局構成という資料があります。そこの事務局員の名前を見ていきますと、青少年センターの職員の名前が4名掲載されています。他の職場では考えられない職員配置を行い、一方でこうした状況を続けるということは市民の納得は絶対に得られません。早急に見直しを行うべきです。

 その際大阪市が青少年会館条例を廃止し、さらに事業を基本的に廃止をしている取り組みは大変参考になります。大阪市では施設は残るものの公募による指定管理を導入し、職員を青少年会館からは引き揚げるというふうになっています。本市もこの特別扱いになっている事業の廃止、縮小など根本的に見直しをし、異常な職員配置も改めるべきです。

生活環境整備事業所への職員配置の問題について

 人員配置の問題ではもう一点お聞きします。生活環境整備事業所への職員配置の問題です。本市では1973年に当時の同和地区を対象に地域の美化と生活環境を整備することを目的として生活環境整備事業所が設置をされ、地区内の不法投棄対策と道路や公園の清掃や除草などが行われてきました。

 この事業についての必要性などについては、既に長尾市政の第1期目のときにつくられた東大阪市同和行政研究会が2000年8月に出した東大阪市における同和事業の終結に向けての意見書で次のように指摘がされていました。

 東大阪市では町の美化のために必要な事業であるとして蛇草、荒本両地区に生活環境整備事業所が設置され、地区内の道路や公園、空き地などに不法投棄されたごみや道路上の散乱ごみの清掃、除草などの処理のために合わせて14名のアルバイトが雇用され、1999年度予算ではアルバイト経費として8434万円が計上されました。しかし町の美化のためには何よりもまずごみの不法投棄をしない自主的な取り組みを推進することが基本であり、そのことを抜きにしてごみ収集に幾ら多額の経費を投入しても町の美化にはつながらない、直ちに廃止されるべきであると指摘されておりました。

 ところが原局はこれを廃止せず、今も同じような状況を続けています。人員配置も今なお14名の職員、アルバイトが配置され、その人件費は約3000万円になっています。原局は地域改善対策特別措置法が終了して以降は環境部美化推進の分室として位置づけ、旧同和地区にかかわらず不法投棄対策の事業を行っていると説明していますが、基本的には変わっていません。

 研究会の意見書で提起された方向で分室は廃止するべきです。美化推進全体で行うとした場合でもその人員は縮小するべきです。市政の効率化、活性化の観点からもこの美化推進の分室を廃止をするべきではありませんか、当局の見解をお聞かせください。

共同浴場について

 次に共同浴場についてお聞きいたします。

 長瀬と荒本には共同浴場があり、部落解放同盟一部の幹部らが中心になった運営委員会に2005年度は年間約6285万円という多額の委託料を払って運営されています。その共同浴場の入浴料収入は2005年度は年間約2265万円しかありません。

 先ほど紹介した2000年8月の同和事業終結に向けての意見書では、共同浴場の補修、管理の経費が多額であることや、経費係数が高く収入経費が一元管理されていないこと、維持管理や補修も経費扱いされずに別枠で市負担となっている問題点も指摘をし、結論として経営改善のため入浴料単価の改定や経営分析を浴場経営者組合などに委託して行う必要性、大阪府下の大衆浴場経営者への経営委託を公開入札で行うことの検討などを提起しています。遅きに失したとはいえ、こうした見直し、検討を直ちに行い、市が多額の税金を投入し続けるという状況はなくすべきです。当局の見解を求めます。

旧同和関連施設などの使用料の適正化と滞納整理について

 旧同和関連施設などの使用料の適正化と滞納整理についてお聞きいたします。

 この間改良住宅の家賃滞納は2005年度決算で単年度だけで8722万円余り、滞納繰越分を含めると4億円を超えるまでになっています。

 長尾市長の1期目に住宅改良室を中心にこの滞納解決に乗り出しましたが、依然として大きな課題であり、早く解決をする必要があります。そしてこの間余り議論されていませんが、市営産業施設の家賃滞納も大変深刻な状況を続けており、放置することは許されません。

 長瀬、荒本の作業場、倉庫などの産業施設についてはもともと同和地区産業の育成を図ることを目的として設置されました。しかし使用料は1平方メートル当たり360円です。近隣の倉庫などの価格は大体1平方メートル当たり1200円以上という状況であり、まさに破格の扱いと言えます。見直しをする必要があります。また使用料の滞納が続き、2005年度単年度の収納率は66.2%、年度末の滞納総額は3495万円にもなっています。

 そこでこの産業施設について、次の3点について答弁を求めます。使用料について適正化を検討するべきだと考えますが、見解をお聞かせください。またこうした使用料滞納の一掃に向けて経済部としてどのように取り組んでいくのかお聞かせください。さらに空き家については一般公募を進めていくのか、あるいはほかへの転用など産業施設のあり方を根本から検討していくことが必要だと考えるが、見解をお聞かせください。

長瀬診療所、荒本平和診療所について

 長瀬診療所、荒本平和診療所についてお尋ねいたします。

 この間私たちは長瀬、荒本平和診療所に対する特別扱いをやめるよう何度も求めてまいりました。これについて今度の予算案の中で補助金が計上されていないことは大きく評価をするものです。

 同時に診療所について言えば、補助金の問題のほか貸付金の問題や人件費、職員派遣、年間約3600万円もの人件費を支出している問題があります。特に貸付金の問題でありますが、本市は1979年以降両診療所に合計で13億8857万円もの資金を無利子で貸し付けました。

 しかし両診療所からの返還金は4億9062万円に過ぎず、8億9795万円という多額のお金がいまだに未返還となっています。しかも両診療所は毎年の繰越金をふやしているのに、この10年間返済はゼロというありさまです。

 またそれぞれの診療所に対してこうした問題を含め他の診療所にはない特別扱いをやめていくべきではありませんか。長瀬、荒本平和診療所への貸付金の返還など特別扱いをやめていくべきだと考えますが、当局の見解をお聞かせください。

改良住宅への入居について

 次に改良住宅への入居について数点お聞きいたします。

 市営住宅の入居については市民の財産である住宅にだれもが公平に入居できることは地方自治体としては当然のことです。ところが改良住宅に関してはこの公平性が確保されているとは到底言えない状況が続いています。

 現在改良住宅の入居の仕組みはどうなっているのでしょうか。2005年に作成した市の新システムによる入居などの流れという文書によると次のようになっています。

 市は住宅への入居を希望する人から入居等の相談を受け、住宅店舗相談表を作成する。その際入居希望という中には現在市営住宅に住んでいる人も住みかえたいという希望者と全く新規に入居を希望している人とに分かれるようです。

 そしてここからが問題ですが、この希望があった人のうち住みかえ希望者は地元精通者らでつくる入居委員会で入れるか入れないかを検討するというのです。その検討結果で入居の可否が決まります。したがって公開抽せんなどはありません。

 もう一つの新規の希望者はどうなるのか。現在の制度では住宅困窮度を点数にして、それを先ほどの入居委員会で検討し入居者を決定することになっています。ここでも公開抽せんはありません。

 つまり改良住宅では一般の市営住宅で行われているような公開抽せんはゼロであります。しかも地元精通者などでつくる入居委員会にゆだねられており問題です。したがって入居委員会による選考は廃止をするべきです。その上ですべての入居の選考は公開抽せんに改めるべきであります。

 なおこうした改善の問題とは別に仮設住宅への入居問題というのがあります。つまり市の説明によると、住宅困窮度が特に高く、客観的に緊急に入居させる必要があると認められる場合には仮設住宅への入居を認めるという制度があるそうです。

 ところがその問題は、その入居も緊急入居委員会を開き検討するそうで抽せんはないとのことです。またしても抽せんなしの入居であります。しかもこの仮設住宅は2部屋、2Kですが、家賃は何と月1500円と聞きました。驚くべき話であります。

 さらにこの仮設住宅に入った人は先ほど説明した住みかえ制度を使って広い改良住宅に入居できることになっているそうです。したがって入居委員会というところが緊急入居を認め、その後住みかえ制度による改良住宅への入居という道を通って市営住宅への入居ができるということになっているのであります。

 率直に言ってこの制度は一体市のどこでどのように決定をしてひそかに進めてきたのか疑問を呈さずにはおられません。そして地元精通者などを通じて抽せんなしで家賃1500円などという住宅に入居できるシステムが市民の知らないところで行われているとすれば、その地元精通者のまさに特権ではありませんか。こんな特別扱いを続けることは断じて許すわけにはいきません。

 そこで改良住宅の入居問題について次の3点について見解をお示しください。

 改良住宅の入居方法についてですが、入居委員会を廃止をし選考は一般の市営住宅と全く同じように公募をするべきだと考えますが、答弁を求めます。

 家賃1500円の仮設住宅があり、地元精通者を通じた入居委員会での入居を市政だよりでも知らせずに進めているということが本当にいいことか、仮設住宅とは一体どういった経過目的でつくられたのか明らかにされたい。

 また仮設住宅は廃止をして地元精通者を通じれば入居できるといった特別扱いはやめ、公平、公正に入居を進めるべきではないか。少なくとも市が主体性を持った選考にするべきです。答弁をください。

法令遵守について

 次に法令遵守について質問をいたします。

 大阪市はコンプライアンスにかかわる大きい問題が次々と表明化したことをきっかけに公正、公平であるべき行政をつくるためとしてコンプライアンス改革に力を入れ、昨年4月に職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例を施行しました。

 そして公益通報制度、不当要求行為対応、内部統制体制、内部監察、職員の意識改革の5つを柱にした平成18年度コンプライアンス推進計画を立てて取り組みを強めています。例えばこの公益通報制度は市職員等の職務の執行に関する事実で違法または不適正なものについて広く通報を受け付け、事実調査を行い、是正を図り、通報者の保護を図るもので、電話やファクス、書面、メールなどにより受け付けています。

 また内部監察制度として職員みずからが事務の執行が法令等を遵守し適正に行われているかどうかを自律的に調査し、必要に応じて改善措置を講じることも行っています。さらに職員の意識改革として研修制度をつくり、またコンプライアンスハンドブックも作成し、職員一人一人が携帯することとしています。

 また八尾市でも公共工事下請業者恐喝事件が起こり、その教訓を生かしてコンプライアンス制度の再徹底を行うとともに、職員倫理規則に規定する不当行為の内容を見直しし、団体との年末年始のあいさつについては年賀交礼会で対応することのルール化に加え、人事異動後のあいさつも社会通念上許される範囲とすることなど、法令を単に遵守するだけでなく団体とのつき合い方にもルールや指針を持つようにして職員が公平、公正に仕事をしていけるように取り組みを強化し始めています。

 東大阪市でもこうした改革を進めるべきであります。私は市職員が外部からの不当な圧力に屈服しないで仕事ができる庁内での体制をつくることが大事だと考えます。実際これまでも職員が法令に基づく施策を進めようとして被害に遭った、あるいはそこまではいかなかったが精神的苦痛を受けた、身の危険を感じたという事例を耳にしたことは一再ではありません。

 したがって市として2つの対策を行うべきと考えます。

 一つは職員に対する不当要求行為があった場合、職員は市長等の機関に報告したり内容を記録するなどの対応ができるよう体制をとることです。不当要求行為とは脅迫や威圧的な言動、暴言、喧騒その他の不穏当な言動、あるいはその地位を利用するとか権限に基づく影響力を行使して市職員に不適正にその職務上の行為をし、またはしないことを求める行為などによって公正な職務の執行を妨げる行為で、これらを許さない対応を職員が行えるよう体制をつくるべきです。

 もう一点は、暴力団等からの不法、不当要求を予防したり排除をすることができるよう関係機関との連携した対策を行う体制をつくり、職員個々人が裸で行政対象暴力に対応せざるを得ないような状況をなくすべきです。こうした総合的な法令遵守の対策を行うよう求めるものです。本市においても法令遵守、コンプライアンス制度の確立をしていく必要があるのではないでしょうか、御答弁を求めます。

国民健康保険について

 次に大きな柱の2つ目として暮らしにかかわる問題で幾つか質問いたします。

 まず国民健康保険にかかわって質問いたします。加入者の過半数が年金生活者などで加入世帯の平均所得が165万円にすぎない国保は、国の手厚い援助があって初めて成り立つ医療保険です。

 ところが自民党政府は1984年の法改悪で国庫負担率を引き下げ、国の責任を次々と後退させてきました。1984年度から2004年度の間に市町村国保への国庫支出金が49.8%から34.5%に減る一方、住民1人当たりの国保料は3万9020円から7万8959円へと倍増しました。

 本市の国保会計に対する国庫支出金は84年当時54.3%だったものが2007年度では28.20%と大幅に減っています。

 仮に国庫支出金が当時の水準を維持していたとするなら、単純計算で国の補助金は331億円規模で国保会計に入ることになります。それほど多くの補助金が削られたということです。その結果全国の自治体で値上げをしなくてはならない、そういう事態になっているのであります。

 全国市長会が国に対して国保の安定的運営のための財政措置、一般会計から国保特別会計への繰り入れに対する財政措置等国保の財政基盤強化のための抜本的な対策と2005年6月に、また国保の財政基盤を確立するべく抜本的な対策を緊急に講じることと2005年11月に決議をしたように、全国的に国保料値上げとなっている最大の原因は、政府が国の責任を後退させ国庫支出金を大幅に削減してきたことにあることを示しているのではないでしょうか。

 こうした点も踏まえるなら、全国の国保財政を再建するために国は1984年当時の水準に計画的に戻していくべきだと考えます。また国庫支出金の減額で国保財政が困難に追い込まれる中、今国保を運営する市町村に問われるのは市民の国保料負担を少しでも和らげるために努力をし、財政も健全化をさせていくために努力を図るかどうかです。

 こんな中、長尾市長は新年度の国保料算定に当たって最高限度額を53万円に据え置き、昨年度比で11.3%と大幅に市の一般会計からの繰入金をふやし66億円とする予算案を発表し、自治体としての努力を果たしてこられました。

 また今後は市民に国民健康保険料が国民皆保険制度であることの趣旨も理解してもらい、保険料の納付に困っている市民の暮らしの実情をよく聞いて相談を行うことと、逆に払う能力があっても払わない悪質な滞納者にはきちんと納めていただくなど厳正に対処をすることが必要です。そうして収納率を引き上げていく上で体制も強化をしていくことが課題になっています。

 そこで質問いたします。国や府の支出金をふやすよう強く求めていくべきだと考えますが、当局の考えをお聞かせください。

 また予算案では東大阪市の一般会計からの国保への繰入金総額は一体どのような位置を占めるのか。対前年度比伸び率で大阪府下の水準ではどの程度か教えてください。

 また国保の納付相談、収納体制の強化を図る必要があると考えるがどうかお答えください。

中小企業対策について

 最後に中小企業対策について質問いたします。

 この間の貧困と格差を拡大する政治のもとで大企業はバブル期を上回る利益を上げる中、政府自身も中小企業庁が、中小企業ではいまだ景気回復を実感するにはほど遠いと言うなど現状は大変厳しい状況です。

 本市の昨年10月から12月期の中小企業動向調査報告によると、概況では製造業も非製造業も景況は明るい見通しと分析されていますが、2006年全体では前年比で倒産件数は23.8%増で、負債額が約5億円減少しています。このことに見られるように、同報告でも大型の倒産は減少したが、小型、中型の倒産件数が増加していることが指摘されています。

 こうした点を見ると、とりわけ小規模零細企業への支援を行うことが今求められているのではないでしょうか。

 長尾市長が市政運営方針の中で小規模企業層の実態に触れ、中小企業診断士や税理士などの専門家を直接企業に派遣し、訪問相談による支援活動を実施するとおっしゃっていますが、この内容と今後の発展方向についてはどのようにお考えかお聞かせください。

 以上で1回目の質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

第2質問

 2回目の質問ですので自席からの質問をお許しください。

改良住宅の問題について

 改良住宅の問題についてちょっと指摘しときます。実はこの仮設住宅ですね、私も月1500円てほんまにあるんかと思って現場へ行ってみました。

 すると、荒本の仮設住宅には会社の看板が張ってありまして、さらに調べてみるとその一つは会社はホームページも持っておられました。そのホームページ見たら2004年から始まってるような感じですので、少なくとも3年以上ここにいらっしゃるのかなあというふうに思うんです。

 もし仮に3年以上いてはるんであれば、仮設ではなくてこれ常設じゃないのかなと疑問を感じるんです。

 もう一つ別の住宅には同じく別の会社の看板張ってありました。これまた調べますと、この会社は同和建設協会に入って市の公共事業も請け負ってる企業です。市はこういう仮設住宅に会社の入居を認めてきたのか非常に疑問なんですよ。その辺で疑問に思っております。

 それからこの仮設住宅ですけども、一点だけ調査を求めておきますので、今答弁できないと思いますから後から調べて回答していただきたいんですけども、家賃滞納は一切ないでしょうね。このことについてはきちんと調べておいてください。

 もう一つこの仮設住宅のことですけども、今も御答弁ありましたように、緊急入居については住宅困窮度が特に高く、客観的に緊急に入居させる必要があると認められる場合にはというふうになってるんです。

 これ会社を救うためにね、何回も言うてますけども、仮設住宅への入居を認めたのか非常に疑問ですし、またこういうことが困っているから緊急に入れるべき人なのかと。

 今困っていると言えば、貧困と格差拡大の政治のもとでテレビなどでも若者が一生懸命働いても一たん働いた中、病気などして正社員からアルバイトやパートなどにかわってなかなか食いつなぐことができない、家賃も払うことができないいうことでネットカフェに行って過ごしていると、そういったことがよく報道もされてます。

 普通の住宅に住めなくて自立もできないと、こういう人たちがたくさんいてる実態があるのに、この住宅困窮度が特に高くと、本当に困っている方のためだというんであれば、なぜこうした若者とか広く市政だよりなどで市民に知らせて、公平に知らせてこなかったのか、これが非常に疑問なんです。

 市が主体性を持って市民に広く公平に知らせて市の権限で住宅入居の応募を受け付ける、それが本来の行政のあり方じゃないですか。その上今住宅の困っている方はたくさんいらっしゃって、本市の市営住宅でも、またきょう本日の本会議の議論の中でもありました。

 一般の市営住宅の競争倍率は平均29倍、最高でしたら60倍を超えるということで、こんなに高い倍率で多くの市民が住宅困ってるから安いとこに入りたい、こういって住宅を求めてます。

 一方で改良住宅の空き家がたくさんあって、しかも仮設住宅で1500円で入れるこういう住宅を市民みんなに知らせずにやっていること自身が問題だと言わざるを得ません。地元精通者などの特権的なやり方で入居委員会に諮る方式をやめて、行政が主体的に市民に公平に住宅の空き家も知らせて、そして応募方法も知らせて、そして答弁もしていただいてますように公開抽せん、しかもすべて公開抽せんで今の市営住宅の入居方法と同じようにすることが求められていると思いますし、もう特別扱いをやめるということが地元の住民の皆さんもおっしゃっていることで、もう同和地区はないわけなんでね、もう一切の特別扱いはやらない、そういう立場でこの仮設住宅入居委員会の問題は今後の課題だということで強く申し述べておきます。

国民健康保険料について

 もう一点指摘しておきますが、国民健康保険料についてです。国保料については全国的に今大きな問題になってますけども、これ解決するためにはやはり質問でも強調しましたように国の補助率が非常に減らされたということが全国の国保財政を苦しめていると、そういう中でやっぱり計画的にもとへ戻していくことが決定的だと思うんです。国や府に対しての要望を強めていくとのことですけれども、ぜひ多くの自治体と力を合わせてこの国民皆保険制度の柱として成り立っていくよう国への運動も強めていっていただきたいというふうに思います。

 もう一つは、市独自にやっぱり保険料の軽減の努力、つまり一般会計から国保の会計に対して繰入金をふやす努力も非常に大事だと思います。この間繰入金を抑制すべきだとの議論もありますけども、この一般会計の繰入金が保険料を軽減させることに貢献するということは各方面でも認められています。

 例えば平成10年の3月の本市の議会で当時の与党、今の野党の皆さんの中で次のように発言がありました。一般会計繰入金51億7300万円は昨年より1億3000万円の増で、中身を見ますと財政安定支援業務、すなわち保険料を実質引き下げる要因として約4億円の昨年比増となっており云々とあって、我が党として一定評価をするものであります、こんな発言もありました。

 こういう役割を評価されているところですので、今日市民の暮らしがほんとに大変になってきて、そういうときだからこそ市として繰入金もふやしてでも市民負担を軽減させるという、この間長尾市長のとった措置、これをもっと努力を、こうした努力を一般会計の財政状況も見ながら続けていただくよう強く要望をしておきます。

 以上旧同和終結に向けて長尾市長が歩み始めて、むだを省き暮らしを守るという長尾市長の公約の実現に向けた予算であることを大きく評価しながら、また今後の課題についても要望をさせていただいて、また残余の質問については同僚議員から質問させていただきますので、これで質問を終わっておきます。御清聴ありがとうございました。

バナースペース

上原けんさく事務所

〒577-0816
東大阪市友井2-9-21

TEL 06-6730-5840
FAX 06-6730-5850