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2000年11月21日 朝日新聞の夕刊に掲載されました

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究める  達人への道

 観光客でごった返すJR京都駅から車で約十分。自動車整備工場などに挟まれた三階建ての小さなビルが製本会社「兼文堂」の工場だ。約百社ある京都の製本所の中では中堅。月に百点ほどの書籍やパンフレットを手がける。製本機の音は声が聞き取れないほどだが、リズミカルで心地よい。

 三代目社長の廣瀬景一さん(41)は「うちは本づくりに関してうるさいと言われています。著者や編集者の人たちの努力を水の泡にしないように、十人の社員全員で原稿に目を光らせるので」と笑う。

 製本所の作業は、折った時にページが順番に並ぶように両面に印刷された大きな紙を折る「刷本」から始まる。届いた印刷原稿の不具合は責任外なのだが、先日も下半分が欠けて印刷された文字を発見、欠陥本になるのを防いだ。「ミスは結構ある。次の仕事も遅れるから中断は焦るけれど、仕上がり第一です」

 

 かつては多くがハードカバーの「上製」だったが、今は注文の七割がのりでとじて表紙が薄い「並製」。大部数の発注も減り、製本機の稼働も小刻みで不効率だ。「でも零細だからこそ、お得意さんの要望に細かく対応する丁寧な仕事ができます」。一度に処理すれば六時間で終わる二万冊文の製本の途中で別の見本用十冊だけを仕上げ、機械をセットし直すような二度手間も惜しまない。

 「著者の意向で規格外の判型にしたいがコストが気になる」という出版社には、無駄を減らす工夫をした刷本を提案した。本の仕上がりは紙の特性次第、と言った基礎知識のない若手社員向けに簡単な製本マニュアルを作ってくれという印刷会社もあった。

 「本の中身のことはわからないが、現場の知恵ならある。京都の出版文化を支える力の一つになりたいです」

  (出典:2000年11月21日朝日新聞夕刊)

 

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人は生きて書を残す 製本するならやっぱり兼文堂お気に入りにいれといとくれやす

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