高野一巳
18 その後の世界
人々は互いに助け合い、補い合い、譲り合い、支え合い、共に協力しあって、どんどん復興を果たし、より豊かに、より幸福に暮らせるようになっていった。 やがて、時は過ぎ、以前に劣らず、明るく楽しい、豊かで安定した、幸福に満ちた暮しをできるようになっていた。 豊かさに慣れ、安定して幸福に暮らせることが当たり前になってくると、働かず、自分の欲を満たすことに夢中になるものが出てきた。 その男は、食うために働くから、自分が食べることができたら働かない。働かず、怠けて食ってばかりいる。 腹いっぱい食べていながら、他の人のものを見ると欲しくなる。
相手が弱いと見ると、けんかし、奪い合って、自分のものにする。 奪い取って自分のものにしたものの、すぐに他ものに目移りして、あきてしまって、まだたくさん残っているのにゴミ箱に捨ててしまう。 誰もいなくなったゴミ箱ががさがさと動いたと思うと、リトルデビルが顔を出して、にやりと笑った。 |