バイク

■SUZUKI SV650S

販社ページ(Moto-Map)
容量645cc/DOHC/8バルブ
 水冷90°V-Twin/最大72ps
全長2085mm/乾燥重量172kg

■SV650Sのこと

SVシリーズは1998年に400が発売になりました。650は99年に発売になったようです。当初は国内仕様もあったのですが、国内では不人気故すぐに販売中止に。しかしヨーロッパでは大人気で、99年ぐらいでしょうか、雑誌にヨーロッパで年間で一番売れたバイクだったという記事を見た記憶があります。2003年に1000が発売。それにあわせて650もモデルチェンジして1000と同じ外観に変更になります。2007年にはABSモデルも発売になりました。
 SVシリーズは、スポーツバイクといえば4気筒が普通の日本車としてはあまりない二気筒のスポーツバイクです。SV650/Sに関して言えば、二気筒の良さを生かして他の4気筒600クラスネイキッドに比して10-20kg軽い車重やスリムさが売りです。もっともパワーはスーパースポーツ譲りのエンジンを持つ彼らに劣ります。しかし前述のようにSVの様なバイクがそもそもあまりないという点はセールスポイントではあります。
 GLOBAL SUZUKIの中にあるPDFパンフのキャッチコピー。
 Roads. Tried Any Good Ones Lately? (SV650)
 Roads. Try Them All,Enjoy Them All (SV650S)
 速くでも快適でもなく、楽しむことに重点が置かれて設計されているのでしょう。

 そもそもSV650Sを気にしたのは1999年のことでした。まだRF400に乗っていた当時、試乗車のSV400(ネイキッドモデル)+ケンツマフラー装備に乗った時にエンジンが面白いと思ったのとバンクが軽いのが気に入り、RF400の次のマシンにSV650Sが第一候補になったのが始まりです。しかし、買い換えを本格的に考えるようになって実際にバイク屋に行ってハーフカウルのSV400Sの方に跨ってみると、あまりに低いハンドル位置に早々に候補から脱落したのでした。そしてその時までまったく考慮になかったGSX1300R隼に跨ったり実車を見ると急にこちらが第一候補になり、2000年には購入に到るのでした。
 2006年前後には隼を降りることを考え始めるようになり、要求性能に合わせたバイク選びを始めるとやはりSV650Sが候補に挙がる様になった。モデルチェンジした650Sはハンドル位置も比較的高そうだったのも大きな要素で、結局7年を挟んでSV650Sに乗ることになったのでした。


■SV650S・ファーストインプレッション

 ここでは買ってから初めてのツーリング(慣らし第二段階途中1100km)までのインプレッションを書いていきます。

 まずはスタイルから。ハヤブサが大きく太くて個性的とは言えてもカッコいいとは正直言いがたいスタイルだったのに対して、SV650Sは細身でカッコいいと思います。ただし最近ありがちな顔でもあります。
 テール部分は尾灯がREDであることを活かしてスタイリッシュでカッコいいです。REDだからできるテールをデザインしている点で好き嫌いはさておいてもいいデザインだと思います。しかしデザインがテール部分で完結していて、フェンダーやウインカーがとってつけた様というかフェンダーレス化前提の様な印象を受けます。あとテールカウルが細いのは確かにカッコいいのですが、その代わり荷物が入らないということでもあります。それと荷掛フックの類がハヤブサより少なく使いにくいのはどうかと。
 ハヤブサは格好良くないと書きましたが、ハヤブサはあの誰にでもわかる圧倒的な存在感、あえて言うなら「300km/hも出るバイクはこんな異次元のカタチをしています」的なスタイルは大いにアリだと思います。

 インターフェース及び車体構成回り。ハンドルはハンドルアップスペーサーをかましたハヤブサより高いか近い感じ。RF400よりは低いかくらい。最初はもう少し高くてもと思いましたが、走行中はこれくらいでちょうどいい感じです。違和感を感じたのはステップ回りで、ちょっと膝の曲がりがきついです。RF400はもっときつかった気がしますが、どちらにしても足から疲れる感じです。ネイキッド仕様のステップ回りが移植できるならやってみる価値はありそうです。
 スクリーンは適度な効果という感じ。そこそこ風が当たるというのでしょうか。ハヤブサの時の様にタンクバッグの紐が負圧で前にたなびきつつ切り取った様にヘルメット辺りに風が当たるという様なこともなく。まあノーマルのままで不満はなさそうです。ただ、クリアーのスクリーンにETCを付けたら非常に目立つのでスモークスクリーンに替えたくはなりましたが。
 シートは一時間ほど乗っただけでおしりが痛くなってきました。こちらも早急に対策を打つ予定です。純正にジェルシートがあるので手に入るなら入手したいです。

 サスペンション。標準状態では非常に固いです。とりあえずリアを最弱に、フロントを二番目に弱くしましたが、それで普通に乗れてしまいます。そのうちフロント最弱を試す予定です。プリロードしか調整できないのと、この範囲の狭さはちょっといただけません。

 エンジン。慣らし中なのであまり多くは語れないことを先に書いておきます。ツインエンジンのバイクは所有したことがなかったので楽しみでしたが、とりあえず流して楽しいエンジンではありません。流すだけで楽しかったエンジンというとボルティーを挙げるのですが、ああいう鼓動を楽しむタイプではなさそうです。それでも六速90km/hくらいまでは多少ツインぽいですが、それを超えるとマルチ以上に振動もないなめらかなエンジンになります。アクセルに対する回転上昇も速いので、味よりはスポーツに振った特性の様に思います。この辺は好みの問題ですが、もうちょっと流すだけで楽しいと良かったかなと思いました。燃費は通勤で23-4km/l程度。参考までにRF400で18km/l、ハヤブサで15km/l弱、DF200Eで30km/l弱程度でした。まあ悪くないかなと思います。

 ハンドリング。ハヤブサから乗り換えてそんなに旋回性が良くなった気がしませんでした。まあ重さを感じるS字の切り返しでは間違いなく速いでしょう。友人に後ろから見てもらっている分には前よりはクイックになっているそうですが。ただしこれは半分ほどはタイヤの所為ではないかとも思います。SV650Sの純正タイヤはダンロップのD220STと完璧なツーリングタイヤで、クイックなハンドリングから程遠そうに見えます。
 ハンドリングに密接に絡むのがエンジンの開け始めですが、こちらはRF400の様に開けていけるのでいい感じです。ハヤブサだとツキが良すぎてリアブレーキを踏みつつアクセルを開けていたのが、そういうことが少なくて済みそうです。


■SV650S・セカンドインプレッション

 慣らし途中二度目のツーリングから慣らし後キャンプ装備でのツーリングまでの感想。

 当初思ったよりエンジンはワインディングでの加速時には結構パルス感があって悪くない感じです。対して流しているときには振動が少なく、疲れない様な味付けで、そういう意味では良くできています。また高速に乗るときに一速でレッドまで回してみましたが、リミッターが効くまで綺麗に回り、回転上昇が鈍る感じはまったくなかったです。
 サスペンション。前後最弱を試しましたが、これでもまあ走れます。が、少し柔らかすぎる感じ。キャンプ装備だと明らかに柔らかいのですが、車載工具だとリアサスが調整できなかったのでどの辺が適当かはわからず。普段から前後最弱からひとつ手前ぐらいが無難そうです。
 一日の走行距離が少なかったせいか慣れのせいかはさておき、シートとステップ位置は割と気にならなくなってきました。逆にスクリーンはもう少し高い方がよさそうです。
 ハンドリング。さすがにハヤブサよりは通常のシーンでは旋回半径は小さいですね。しかし過去に試乗したSV400やCBR600F3ほどの旋回性はありません。この点はちょっと残念。先にも書きましたがリヤタイヤが明らかに安定性重視のプロファイルに見えるので、タイヤを替えてどれほど変わるのかには興味があります。
 全体的な乗り味などの感想を一言で言えば「素直」です。SV650Sは欧州向けエントリーモデルまたはベーシックスポーツといった辺りの位置づけだと思います。そのお金をあまり掛けない中で、無難に・そつなくまとまっているという感じです。いや、工業製品としてはかなり良くできていると言ってもいいかと思います。とにかく何をしても素直の一言で、本当に良くできていると感じるのです。しかし、個性や飛び抜けた物を感じないのも事実で、いささか面白味に欠けるのが残念です。


■SV650S・総括

 ネガティブなことを書くのでまず断っておきます。SV650Sはハヤブサの後、今まで乗ってきたバイクの経験から、「こういうバイクが自分は乗りたいんだ」とカタログスペックから決めつけで買いました。当時600ハーフカウル最軽量・パワーは重視しないのでそこそこのパワー、でも単にパワーダウンすると楽しくないかもと選んだツインエンジン・燃費もよく、エンジンはモーターのようにスムーズで癖も無く、凄く曲がるという程でないにしても400並には曲がるハンドリング。そう、スペック的には理想通りのバイクでした。
 ただ、たったひとつだけ致命的な欠点がありました。初ツーリングした頃から気が付いた欠点とは、「乗ってて楽しくない」。本当に「何この糞つまらねえバイクは」とずーっと思いながら走ってました。もちろんこのことは個人の好みが大きい部分です。SV650Sは知人にあげましたが、知人は喜んで乗っています。ただ、私はつまらなかった。
 モーターのように回るエンジンはハヤブサ以上に4気筒的で、ツインらしい鼓動を期待した私にはまるで面白くなかったし、ハンドリングは当然ハヤブサよりもよく曲がるものの、ただ曲がっているだけでそこに楽しさを感じることができませんでした。曲がるというなら昔借りたCBR600F3なんか直角に曲がってるんじゃね?ってくらい曲がったしあれくらい曲がったらただ曲がるだけでも楽しいだろうとは思うのですが。あと、曲がる時に何かシートの上に椅子を置いて座っているかのような不安定感も好みではありませんでした。ハヤブサは低重心で、地べたに張り付いてタイヤのグリップを感じながら曲がるのが安心感もあって気持ちよかったです。
 持っている車両のインプレッションというのは、つい愛情が入って盲目的になるものです。私も売るまではこのことを書こうという気にはなりませんでした。結局インプレッションというのはあまり信用できたものではないし(当然この文章も)、結局好みに左右されるものだから乗ってみなければ分からない、というのを強く感じました。


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