☆☆☆☆ 和州鵤住 源 貞弘 (正宗写し)☆☆☆☆

現代刀 無鑑査刀匠

登録日 昭和43年7月19日 奈良県 第 10850号

茎表 和州鵤住 源 貞弘 茎裏 応大和国大宇陀住出山治男需  喜多貞弘又は源貞弘と銘を刻む。 名人月山貞勝刀匠の弟子で人間国宝月山貞一刀匠と兄弟弟子の奈良県重要無形文化財喜多貞弘刀匠の正宗写しの刀です。 姿は元身幅広く先身幅も広く切っ先の延びた鎌倉末期から南北朝期の大摺り上げの太刀姿を現し、地金は小板目肌良く詰み素晴らし く力強い地金を鍛え、刃紋は互の目乱れ刃に金筋や砂流しを大胆に現し、正宗を見事に再現しています。喜多貞弘刀匠は当時相州伝 の刀を作らせると右出でるものは無いと大鑑定家の佐藤寒山先生の太鼓判を押された日本一の名人として大変有名な刀匠です。しかし  昭和の中頃に彼の作品は、古名刀と良く似ているので古物商がその作品を利用して愛刀家に販売したと言う噂も聞いている。それは 古名刀の写しが上手であると言う事は、研究熱心でもあり同時に腕も上手であるということかも知れない。この作品に対する私の今の感想は、 金筋・金線が二重三重に刃縁に絡み稲妻も現れていて、地沸も正宗の如く良く付いて言うことは無いのだが、少し金筋が出すぎて品格に乏しく 思える。又正宗は地景が品良く出ているのに対しこの作品は、物足りないのと地に潤いが乏しいように思える。古名刀の最上作正宗には、遠く 及ばないがそれでも地刃の働きは良い見本になる作品である。

☆ 最近の観刀記 ☆
最近、もう一度子細に鑑賞してみると、小板目良く詰んでいるので細かな地景が観てとれ、刃境に金筋と稲妻が現れ、地には沸が良く付 いていることが分かりました。正宗の太い地景は、現れてないがそれ以外は、大摺り上げの正宗に迫る太刀と見直しました。価格的にも 納得のいく刀剣です。


刃長 68.1cm  反り 1.0cm 元重 7.7㎜  先重 0.62㎝   元幅 3.51cm  先幅 2.6cm

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