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仏道は先ず懺悔からなり。
人は皆、過去世の故に娑婆に在りとしかと悟りて見れば、
娑婆とはまさに地獄なり。
悲嘆、懊悩、苦痛、すべてこれ我が身の業苦なりと、
悟り得ざれば解脱なし。
解脱なし得ざるが故に輪廻を繰返し、
転生の度に又しても業苦を重ねて、
尽くる処なき無限地獄にあえて自らを投じゆく有様なり。
如何に業深くとも、すがるべき処をしかと悟り得れば、
無量の慈悲と無限の神力ありて遂に解脱なし得るすべこそ、
仏道なり。
折角現世に御仏在りと教え導かるる正法に縁結ばれたる事、
由々しき大事なりと真に悟り得ざれば、
己が身の先ずなすべきを悟り得ざるなり。
迷い迷いて抜け出すべき方向も分らざる、
盲の如き己が心に、一点の灯かざして道示し給わりしは、
御仏のみ使いなり。
救い取らせよとの御声ありたればこそ、
無数の人垣の中より選ばれて、ここに来りしものなる己と悟りてみれば、
これぞ如何なる過去世の大徳なりやと伏し拝みて、
謝し奉る心とならざれば、真の仏縁とはならざるものなり。
それ故にこそ、稀なる功徳頂きて導き入れられたるも、
ゆくべき道の在り方示し下さるる師のありがたさ、
解らざる故に安々といとも安易に去りゆくものの姿、
未来永劫いとも哀れなり。
又しても重ねゆく重き罪咎自ら作りて、
我身に受けざれば相成らぬ地獄の責苦、
いつの日か解脱の光、相まみえん。
人はこの娑婆世界の業苦を自ら作りしものとは悟り得ざるが故に、
重ねゆく罪障なりとも解らず、知らず知らずに重ね重ねて
日々の業の深みにはまりゆくものなり。
一瞬の間の人生なれども輪廻し輪廻して、
いつ果つるやも計り難き業苦に身も焼く憂き世とは、
悟り得ぬ故の無限地獄なり。
一時も早く抜け出す道こそ懺悔なり。
懺悔なくして解脱は無し。
故にこそ、仏道は先ず懺悔からなり。
合掌 |


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