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一つの事に向かって一心になり得る事は、
真に人間の本懐なり。
しかして、命がけの一心をもって貫き通す人生程、
生き甲斐有るもの無し。
されど、無数の目的に向かって一心になる中で、
仏道に向かってまっしぐらに、
身命投げ打ちて尽くしきれる生涯とは、
他の何ものにも代え得られざる大徳なり。
芸術に、ひたむきなる情熱を傾けて我を忘るる時、
芸術の神はその者の身体に宿りて、
神の神技を現さるるが故に、
人並以上に勝れたる芸術を生み出すなり。
学問に於いてもまた然り。
それぞれの部門の神がその体を使って、
人にあらざる高度の学問や、
美術、建築等々と表現致さるるなり。
されど、信解無き者には、いかに秀でたる真価世に現さんと、
己が力を過信致して心奢る故に、
心は貧しく、死はいとも哀れなり。
そこに人、人にあらざる神力を信じ奉りて、
神と一体なる己れを修得成しゆく、敬虔なる仏道行者、
その大いなる差の出来得るところなり。
人は自らの力にては何事も成しあたわずと、
心にしかと悟りおれば、己が存在の真価、
御仏しかと見定め下ださるるものなりと確信致さるる故、
一切を委ね奉りて、御心のままに表現なさしめ頂くことこそ、
唯一絶対の人生の価値なりと悟るべきなり。
合掌 |


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