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千差万別に色取り取りの花さき匂うは
人間の目を喜ばす為には非ず。
花そのものは、人間の眼など意に介せず、
これ種族保存の本能そのままに従いて、人跡未踏の深山にても、
人今だかって知らざる美花さき香るあり。
人間とは、此の世のものすべて人間の為にこそありと、
思い上がるが故に花美わしきも人の為にこそ、
などと身勝手なる思い上がりが、天地の法則を乱しゆくなり。
本能とは、此の世に生くる絶対なる必要性を
神仏植え付け給いしものなり。
即ち、生命を守る事、種族保存をはかる事、
これ現世、現象界に於ける絶対なる必要性なり。
さればこそ生命の尊きは、これ、神授け給わりしが故なり。
この命受けつぎて絶やさざる事、この現象界に於ける唯一の意義なり。
後絶えて消滅いたさば、現象界は存在致さざるなり。
故に人間自らの我まま勝手にて、花さかせんと、
自然に背むきて時期を無視いたせし開花は、
花には、むごき仕打なり。

人間にても、己が身勝手に子孫の生命絶やさん事、
これ神仏への最大の罪悪なり。
報いを受くるも当然の事なり。
娑婆第一の智者たる人間の心魂ゆがむが故に、
他の動植物、皆此の人間の悪手にゆがめられ、いためられ、
大には自然破壊の魔手となりて、神仏の大いなるお怒りを
買うも又当然の事なり。
己が罪知らずして、おごり、たかぶる人間の大自然破壊こそ、
神を恐れぬ高慢と申す外なき仕業にて、
自ら自滅の外なき道を掘り進むものなり。
合掌 |

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