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さんげとは、身を以て知る心の痛みなり。
腹綿にしみ通る心の痛み、身にしみじみと受けて始めて己が業、悟り得るなり。
さればこそ相手は佛の使なり。
大慈大悲の御手配あらずして、さんげは成らず。
己を高め、仏の位に昇らんことの容易ならざるを悟り得てこそ、
この痛みは身の功徳となりて清浄ならしめらるるものなり。
大清浄の身となり一切無けい礙の心境を得て始めて
身は軽く上昇いたすなり。
大光明の世界とは大慈悲心の中に在り。
一切万物おしなべてすべて佛心あるものなりと悟り得て
大慈悲心の己れと成るなり。
森羅万象すべてこれ宇宙即ち佛心に在れば、佛心即大慈悲なり。
その中に生きて在る己れ即ち佛心の現れなり。
何を迷いて己が罪業に犯され、悩み苦しみ自業自得などと思いあやまれるや。
即ち一彈指の中に百千万業の罪障消滅なし得るすべとは
当にこれなり。
無垢清浄の大慈悲心の中に在りて大慈大悲の光明世界に生くる
己れに何の罪業あるべきや。
幻の如きものをありと見あやまれるが故に夜も眠られざる程に、己を悩ますものなり。
いと笑止とや申さん。
観音生きて汝が身に宿るものを、何のおそれやあるべき、
すべてをありのままに受け入れて只、大慈悲心に包みゆくべし。
在りと思いし幻の姿、霜露の如く消え去りて
いと安らかなる眠りに入るべし。
合掌 |

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