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煩悩は、假着なり。
假着とは、一切の執着より起こる処の因縁より起こるものなり。
この因縁こそ地獄なり。
十二因縁の因って成す処、即ち此れなり。
自ら作りて、自ら落ちゆく地獄なり。
されば、此れより逃れんとして縋り寄る処、仏の他に無し。
自我を以て求むるが故に、我欲となり、煩悩となり、
身を焼く炎にもだえ苦しむ様となるなり。
現世とは、あらゆる物質現象を以て我欲をいかに解脱なすげきやを問う処なり。
一切の我欲より解脱致さば、煩悩、愛欲と申す汚れ無し。
肉体は愛欲の渦なり。
この渦に巻き込まれつつ、人は前後不覚となり、
善悪をも分からぬ無分別と成り下がるなり。
下根の我とも見えずして心貧しく、貧しきが故に餓ゆるなり。
食に飢え、愛に飢えたる果てが貪欲となり、
盗みて恥ざる畜生道とも成り下がるなり。
あらゆる犯罪の元は、皆これなり。
されば、現世は当にこのるつぼと成り果てたる有様なり。

我が物と申すもの、何一つとして無きが故に、己れと申す我も又無きなり。
己が為、己が為と我欲欲しいままなる姿こそ、
上から下に至るまで、求めて止まざる浅ましさ、当に地獄なり。
今にして止むを知らざれば、ついに自滅の他無きを悟らずんば、
人類滅亡は必死なり。
一心に縋りてこそ己れを見いだすべき道、明らかに示さるるを悟るべきなり。
人、ついに仏と成らんは、只、真我に目覚むるのみなり。
合掌 |

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