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無欲は万有に通じ、貧欲は無一物に通ずる心なり。
されば欲あるが故に信解なきなり。
貧欲は信解を曇らせ無欲は信解を光らすものなり。
さればこそ一切空なる真理に於いて、
微々たる己の貧欲いかばかりなるやば、
計り知られざる無限供求の真理の中に、求めても求め得られざる
あくことなき求欲は地獄とも悟り得ずして、
遂に我身自ら亡ぼしゆくなり。
無限の宇宙に無量の財宝充満いたす中に在りて、
己その主とも知らざるが故に、貧にあえぎ、貧に苦しみ、
あくことなき無限地獄に只求め、求めて果てなき貧欲こそ
身に一物もそなえ得ざる己を作るものなり。
豊かなる心とは無一物にして、万有の中に在るを知る事なり。
万有即神なればこそ無欲は信解に通ずるものなり。
絶対なる信解とは、只無欲に在りてこそ得らるるものなり。
我がものと申すもの何一つとして無きを悟り得て、
必要に応じて現わるると信解なし得る処なり。
空即是色、これなり。
我がもの、我がものと我執いたさば、如何なる宝も身に付かざる事、
突然に失うは世の常なるを悟りて見れば、
色即是色これなる心に刻みおくべし。
我が命にしてすでに我がものならざるを、
などてや他の何物を以て我がものとなすべきや、
我一人空に在りて、空即神なりと、しかと悟り得れば、
我即ち神なり。
神仏の御ふところに抱だかれて、神仏の御心のままに
なさせ給わる己にあれば、これ以上の果報いづくにありや。
信解の偉大さ、絶対なる果報身にしみじみと悟り得て、
これ生くる身の無上の幸と感謝なす時こそ、
人は神と一体なり。
合掌 |


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