檀信徒随筆集2004
最終更新 

 「檀信徒随筆集」は、「かなくら山報」に寄せられた
檀信徒の随筆等を編集したものです。
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       山寺の葉散りゆく 竜馬の命も散りゆく
               『かなくら山報』第111号 2004/02/01
                                         奥荒田 藤村章広

 十一月になると境内の紅葉も一段と燃えて、見事な景観を見せてくれる。十一月中旬頃に
なれば、山寺金蔵寺の木々の中には早くも紅葉がすっかり燃えつきて、少しづつ一枚一枚と
葉が短い命を散らしている。雨上がりの木々の紅葉が舞い散る風情はしっとりとした感じが
する。落ち葉も雨にぬれてしっとりと落ち着いたムードを表現している。木々の葉が命を散ら
す風景は悲しくも見える。
 幕末の志士坂本竜馬も山寺の木々の葉のように、十一月中旬頃に短い命を散らしていっ
た。「討幕の密勅」が近い日に下るとの知らせを聞いた竜馬は、薩長が暴走して武力で幕府
を倒すと江戸や京都の町は火の海になり罪のない人々が多く死んでゆく。
 なんとかしてこれを止めなくてはならないと考えた竜馬は「船中八策」の一つ「大政奉還」を
するしか手はないと考えた。これを発し後藤象二郎の手から山内容堂を通じて、「大政奉還
建白書」を幕府に提出する。慶応三年十月十四日、十五代将軍徳川慶喜は二条城にて大
政奉還を決意、朝廷に政権を返上した。
 この知らせを聞いた坂本竜馬は、涙をこぼしながら「よう討幕の密勅が下る前に、急いで
すばやく大政奉還をして下された慶喜殿」、「よう勇気ある御決断をして下された徳川慶喜
殿」と言いながら竜馬は感動して泣いた。「これで幕府は倒れた。そして戦争せずにすんだ。
人々が血を流さずにすんだ。よう御決断下された徳川慶喜殿」と言いながらいつまでも泣い
ていた。
 そして一ヶ月後の十一月十五日運命の夜。京都の木々の葉も短い命をたくさん散らして
いた。木枯らしが吹く寒い夜、近江屋にて刺客の手で坂本竜馬殺害される。
  山寺の木々の葉が
   燃えて散ってゆく
  竜馬は若い命を
   燃やして散っていった
 散り染める葉が石段に落ち葉となる風情は、特有の雰囲気があり山寺が一層静寂な感じ
がする。やがて、北西の季節風が段々強まる頃、千ヶ峰おろしが吹き荒れて、山寺金蔵寺
にも本格的な冬が里より一足早くかけ足でやってくる。
  新春ワイド時代劇「竜馬がゆく」(TV大阪、一月二日放送)を見て 
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             住職への手紙2通
              『かなくら山報』第111号 2004/02/01

 寒中お見舞い申しあげます。
 毎々格別のお引き立てに預かりまして厚く御礼を申しあげます。尚本年も倍旧の
お引き立てをお願い申しあげます。
 先日、『かなくら山報』を読ませていただき驚いております。金蔵寺様は播磨平野
の真ん中に在り、風光明媚なおだやかな所にあり、住職様もゆうゆうとお過ごしかと
存じておりました。積雪等とは御縁のないお寺と思っておりました。でも、金蔵山金蔵寺
とおっしゃる位だから、雪のお山の中にたくさんの埋蔵金があるやも知れません。私共
も雪おろしや雪かきは慣れておりますので、お手伝いに行きたい等思っております。
 今夜あたりから、近畿地方も大雪になるとかテレビが報じております。道具を出して
きて用心しなくては、と思っております。
 変なことを書き連ねてしまいました。お笑い草までにー。
 どうぞお元気で、また春になりましたらご来山そしてご来店下さいますようお待ち申し
ております。                                       合掌
        一月十三日                          高野山 S.N
 金蔵寺様

(Emailにて)
 東野先生
 またまた寒波到来ですが、お元気ですか?
 お礼が遅くなりましたが、安産祈願のお札をご丁寧に送って頂きありがとうございま
した。予定日まであと一ヶ月、待ちどうしいやら、不安やらで・・・。
 一月の末に、先生にお越し頂いた平安神宮での結婚式で「仲人」をして頂いた、京都
で勤めていた会社の社長が七十一歳で亡くなられ、その葬儀のお手伝いに京都へ行っ
てきました。
 死んで行く命と生まれてくる命を身近に感じて、時の移り変わりというか、人生の儚さ
を感じました。
(中略)
 まだまだ寒い日が続きますのでご自愛ください。 
    二月五日                             小野市 W・F 

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