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FSX Tips > ATC解説 〜IFR編〜
ATC解説のIFR編です。今回は架空のエアライン(クリスタルフライヤー、CFA)で、架空の第2種空港(大橋空港)から出発し、架空の第1種空港(大鳥空港)に着陸するという流れです。

IFR編の解説にあたり、VFRとIFRそれぞれの概要を簡単にまとめておきました。

1.VFR (有視界飛行方式)

・自機の姿勢、現在地、他機の回避等、全てパイロットが機外を見て判断して飛行する方式です。自動車の運転と同じです。
・他の物件との衝突防止のため機外を監視することを一般に見張りといいます。
・VFRは常時外を見て操縦するという性格上、飛行中は必ず一定以上の気象条件を維持する必要があります(VMCを維持するといいます)。具体的には、雲に近づきすぎたり(もちろん入ってもいけません)視程が極端に悪い空域を飛行したりしてはいけません。
・管制圏やPCAなどの特別な空域を除けばどこを飛行しても構いません(どんな経路で目的地に向かっても構いません)。また、それら空域でも事前に許可を得れば通過することが可能です。

2.IFR (計器飛行方式)

・国土交通大臣(実際は管制官)の指示に従い飛行する方式です。管制官は航空機の針路や高度を指定し、またトラフィックに関しても監視してくれます。(とはいえ、自機以外如何なる物件も視認出来ないような気象条件下(視程ゼロのような)でない限り、パイロットにも見張り義務はあります。)
・離着陸時を除き、VFRのように最低気象条件の制約を受けることがありません。
・計器飛行方式ともいいますが、あくまでも管制官の指示に従い飛行する方式であり、
フライト中は必ず計器飛行を行うとは限りません
・上空に張り巡らされた航空路と呼ばれる回廊を飛行することになっています。離陸したIFR機は、SIDと呼ばれる、空港と航空路を結ぶ出発経路(○○departure)を通り航空路に乗り、そしてSTARと呼ばれる航空路と空港を結ぶ到着経路(○○arrival)を飛行して目的地空港に着陸します。(何らかの事情によりSIDが航空路に到達していないは、トランジションと呼ばれる経路が追加設定されます。)


交信の流れ
デリバリー(IFRで飛行する航空機の、フライトそのものの認証を行います。)(注:1−1)

グラウンド(地上をタキシングする航空機、車両を管制します。)

タワー(離着陸する航空機および、管制圏内を飛行する航空機を管制します。)

ディパーチャー((タワーから移管後)出発機が航空路に入るまで管制します。

ACC(〜コントロール)(航空路上の飛行機を管制します。)

アプローチ(航空路を出た後、到着機がタワーに移管されるまで管制します。

タワー(離着陸する航空機および、管制圏内を飛行する航空機を管制します。)

グラウンド(地上をタキシングする航空機、車両を管制します。)
注:1−1
クリアランスデリバリーが設けられていない空港では、グラウンド管制官がこれを兼任します。さらにグラウンドが設けられていない空港ではタワー管制官がこれを兼任します。

その他
タワーはレーダー誘導は行いません。


出発

デリバリーにフライトの認証を要求します。(ゲートまたは駐機場で)
あらかじめフライトプランを提出しておくことはVFRと同じですが、IFRの場合は移動を開始する前にデリバリーと呼ばれる管制機関にコンタクトし、フライトそのものの許可を得る必要があります。この時、どのSID経路で出発するのかが指定されます。以下はその交信例です。
パイロット:Ohashi delivery, CFA083.
大橋デリバリー、CFA083です。
大橋デリバリー:CFA083, Ohashi delivery, go ahead
JACFA083、大橋デリバリーです、どうぞ。
パイロット:CFA083, spot 7, to Otori Airport FL370.
JACFA083, 大鳥空港行、フライトレベル370。
大橋デリバリー:CFA083, Stand by.
CFA083、お待ちください
パイロット:Satanding by, CFA083.
待機します、CFA083。

大橋デリバリー:CFA083, clearance.
CFA083、承認します。
パイロット:CFA083, go ahead.
CFA083、どうぞ。

大橋デリバリー:CFA083, cleared to Otori airport, via ○○departure, ○○transition flight planned route, maintain FL 370, squark 2401. Readback.
CFA083、大鳥空港までの飛行を許可します、出発経路は○○ディパーチャー、トランジション○○、その後はフライトプラン通り、フライトレベル370を維持、スコーク2401。復唱してください。
パイロット:CFA083, [上の内容を復唱]
CFA083、[上記の内容を復唱]
大橋デリバリー:CFA083, read back is correct, contact Ohashi ground 121.9MHz.
復唱に間違いはありません。121.9MHzで大橋グランドにコンタクトして下さい。
パイロット:Roger, Contact Ohashi ground 121.9MHz, CFA083, good day.
121.9MHzで大橋グラウンドにコンタクトします、CFA083、さようなら。
大橋デリバリー:Good day.
さようなら。


認証が完了しました。続いてグラウンドに周波数を切り替えます。

グラウンドにプッシュバックおよび滑走路までタキシングを要求します(ゲートまたは駐機場で)
グラウンドにプッシュバックを要求します。プッシュバックが不要な場合はこの交信は必要ありません。
パイロット:Ohashi Ground, CFA083, Request push back.
大橋グラウンド、JACFA083です。プッシュバックをリクエストします
大橋グラウンド:CFA083, Ohashi ground, Runway17, push back approved.
JACFA083, 大橋グラウンドです。滑走路17へプッシュバックを許可します。
パイロット:Runway17, push back approuved, CFA083.
滑走路17へプッシュバック許可、CFA083。

プッシュバックが完了、エンジンを始動し準備が出来たら、続けてグラウンドに滑走路までのタキシングを要求します。
パイロット:Ohashi ground, CFA083. Request taxi.
大橋グラウンド、JACFA083です。タキシングをリクエストします。
大橋グラウンド:CFA083, taxi to Runway17 via P-3 P-2 P-1 T-1.
JACFA083、誘導路P3P2P1T1を経由して滑走路17へタキシングしてください。
パイロット:Taxi to Runway17, via P-3 P-2 P-1 T-1, CFA083.
誘導路P3P2P1T1を経由して滑走路17までタキシングします、CFA083。

指示された誘導路を経由し滑走路に向かいます。
航空機に対しては英語を使用しますが、地上作業車には日本語が使われているようです。

グラウンド管制官がタワーとコンタクトするよう指示してきます。(滑走路手前付近で)
タキシング中、指示された滑走路にある程度近づくと、タワーへコンタクトするよう指示されます。
大橋グラウンド:CFA083, contact tower 118.35MHz.
CFA083、118.35MHzでタワーにコンタクトしてください。
パイロット:Contact tower, 118.35MHz, CFA083.
タワーにコンタクトします。

まだ誘導路を走行中ですが、構いません、タワーに周波数を切り替えます。
プロペラ機の場合、この交信はありません。

タワーとコンタクトします。(滑走路手前付近で(タワーに周波数を切り替えた後))
(タキシングを続けながら)タワーにコンタクトします。この時、離陸をリクエストする必要はありません。
パイロット:Ohashi tower, CFA083, on your frequency.
大橋タワー、CFA083です。

これに対し、タワー管制官の応答として以下のパターンが考えられます。

@すぐに離陸が許可される場合。(トラフィックが存在しない)

大橋タワー:CFA083, wind 180 at 6, Runway17, cleard for take off.
CFA083、風170度から6ノット、滑走路17から離陸を許可します。
パイロット:Cleard for take off Runway17, CFA083.
滑走路17から離陸を許可、CFA083。
(注:5−1)

A滑走路手前で待機するよう指示される場合(最終進入する到着機がある等)
大橋タワー:CFA083, hold short of runway 17, inbound 3nm.
CFA083、滑走路17の手前で待機してください。

パイロット:Hold short of runway 17, CFA083.
滑走路17手前で待機します、CFA083.

B滑走路上で待機するよう指示される場合(先に着陸した航空機が滑走路を離脱している等)
大橋タワー:CFA083, Runway17, line up and wait.
CFA083、滑走路17上で待機してください。
パイロット:Runway 17, line up and wait.
滑走路17上で待機します、CFA083。













注:5−1

この場合、滑走路停止線で一時停止する必要はありません。そのまま滑走路に進入し離陸します。

その他
プロップ機の場合は離陸準備が完了した旨をタワーに通報、タワーはそれを聞いて初めて離陸許可を発しますが、タービン機の場合はタワーとコンタクト後、滑走路手前に近づいた時点で既に離陸準備が完了しているものと見なされ、トラフィックに支障がなければそのまま離陸許可が発出されます。

タワー管制官がディパーチャーとコンタクトするよう指示してきます。(離陸後、上昇中)
離陸後まもなく、ディパーチャーへコンタクトするよう指示されます。
大橋タワー:CFA083, contact ○○ departure ○○○.○○MHz.
CFA083、周波数○○○.○○MHzで○○ディパーチャーにコンタクトして下さい。
パイロット:Contact ○○ depature ○○○.○○MHz, CFA083 good day.
周波数○○○.○○MHzで○○ディパーチャーにコンタクトします、CFA083、さようなら。
大橋タワー:Good day.
さようなら。


○○ディパーチャーに切り替えます。

ディパーチャーにコンタクトします
ディパーチャーにコンタクトします。
パイロット:○○ departure, CFA083, airborn 1500 for FL370.
○○ディパーチャー、CFA083です、離陸しました、現在1500ft、FL370に上昇中。
ディパーチャー管制官:CFA083, ○○ departure rader contact, turn right heading ○○, for vector to ○○.
CFA083、○○ディパーチャーです、レーダーで捕捉しました。○○までレーダー誘導するため針路○○へ旋回してください。
パイロット:Heading○○, CFA083.
針路○○へ旋回、CFA083。
ディパーチャー管制官:CFA083, resume own navigation direct ○○. Comply with restriction. climb and maintein FL370.
CFA083、○○まで直行。通常航法に戻り制限に従って下さい。FL370に上昇してください。
パイロット:Direct ○○, resume own navigation, climb and maintain FL370, CFA083.
○○まで直行、通常航法に戻り、FL370に上昇します、CFA083。

航空路が近づいてくると、ACCにコンタクトするよう指示が来ます。

ディパーチャー管制官:CFA083, contact ○○ control ○○○.○○MHz.
CFA083、周波数○○○.○○MHzで東京コントロールにコンタクトして下さい。
パイロット:Contact ○○ control ○○○.○○MHz.
周波数○○○.○○MHzで○○コントロールにコンタクトします、CFA083。

ヒント
航空機側から直行をリクエストする場合は次のように言います。
パイロット:○○ departure, CFA083, request direct ○○.
○○ディパーチャー、CFA083です、○○まで直行してもいいですか?
ディパーチャー管制官:CFA083, request approved direct ○○.
CFA083、○○までの直行を許可します
パイロット:direct ○○, CFA083, thank you.
○○まで直行します、CFA083、ありがとうございます。

ACCにコンタクトします
パイロット:○○ control, CFA083, leaving ○○, for FL370 direct ○○.
○○コントロール、CFA083です、現在○○ft、FL370へ上昇中、○○へ直行です。

ACC管制官:CFA083, ○○ control, climb and maintein FL370.
コールサイン、東京コントロールです。FL370へ上昇して維持してください。
パイロット:climb and maintein FL370, CFA083.
FL370へ上昇して維持します、CFA083。

ACC管制官:CFA083, re-cleard direct ○○.
CFA083、○○まで直行してください。
(DEPからの直行ポイントと変更になったと言うことです)
パイロット:re-cleard direct ○○, CFA083.
○○へ直行します、CFA083。


空中に張り巡らされた航空路を一つの管轄部署が全て監視しているわけではありません。これらはセクターと呼ばれる複数のACCに分担されています。セクターの境界線に近づくと次のセクターへ移管するよう指示が来ます。

ACC管制官:CFA083, contact ○○ control ○○○.○○MHz.
CFA083、周波数○○○.○○MHzで○○コントロールにコンタクトしてください。

パイロット:Contact ○○ control ○○○.○○MHz, CFA083.
周波数○○○.○○MHzで○○コントロールににコンタクトします、CFA083。


パイロット:○○ control, CFA083, leaving ○○ for FL370
○○コントロール、CFA083です、現在○○ft FL370へ上昇中。

ACC管制官:CFA083, ○○ control roger.
コールサイン、○○コントロール、了解です。

この後もセクターが変わるたびに同じような指示が来ます

目的地が近づくと、ACC管制官は徐々に高度を下げるように指示します。
ACC管制官:CFA083, descend and maintein FL160.
CFA083、FL160に降下して維持してください。
パイロット:Descend and maintein FL160, CFA083.
FL160に降下して維持します。CFA083。


STAR経路に進入する頃合に、アプローチへコンタクトするよう指示が来ます。

ACC管制官:CFA083, contact ○○ approach on ○○○.○○MHz.

CFA083、周波数○○○.○○MHzで○○アプローチにコンタクトしてください。
パイロット:Contact ○○ approach on ○○○.○○MHz, CFA083.
○○○.○○MHzで○○アプローチにコンタクトします。

ヒント
高度の変更をリクエストする場合は次のように言います。
パイロット:○○ control, CFA083, request FL350 due to light turbulence.
○○コントロール、CFA083、軽い揺れ(乱気流)の為FL350への降下を要求します。

ACC管制官:CFA083, descend and maintein FL350.
CFA083、FL350へ降下して維持してください。
パイロット:Descend and maintein FL350, CFA083, thank you.
FL350へ降下して維持します、CFA083、ありがとうございます。

アプローチにコンタクトします
パイロット:○○ approach, CFA083, leaving FL○○, for FL160 information ○.
○○アプローチ、CFA083です、現在FL○○でFL160へ降下中、ATIS入手済み○です。

アプローチ管制官:CFA083, ○○ approach, fly heading ○○ for vector to ILS Runway ○○, final approach course, descend and maintein 13000.
CFA083、○○アプローチです。ILS滑走路○○ファイナルアプローチコースへ誘導します。針路○○で飛行して13000ftへ降下して維持してください。
パイロット:Heading ○○, descend and maintein 13000ft, CFA083.
ヘディング○○で飛行 13000ftへ降下して維持します、CFA083。
この後はヘディングや高度、速度の指示が続きます。

アプローチ管制官:CFA083, reduce speed 180 knot, intercept localizer
CFA083、180ノットに減速し、ローカライザーと会合してください。
パイロット:Reduce speed 180 knot, intercept localizer, CFA083.
180ノットに減速、ローカライザーと会合します、CFA073。

アプローチ管制官:CFA083, report localizer capture.
CFA083、ローカライザーを捉えたら報告してください。
パイロット:Report localizer capture, CFA083.
ローカライザーを捉えたら報告します、CFA083。

ローカライザーを捕らえたら
パイロット:○○ approach, CFA083, localizer capture.
大鳥アプローチ、CFA083です。ローカライザーを捕らえました。

アプローチ管制官:CFA083, cleard for ILS Runway22 approach.
コールサイン、滑走路22へのILS進入を許可します。
パイロット:Cleard for ILS Runway ○○ approach, CFA083.
ILS Runway○○への進入許可、CFA083。


STARの終了点が近づくと、タワーに移管するよう指示が来ます。

アプローチ管制官:CFA083, contact Otori tower ○○○.○○MHz.
コールサイン、周波数○○○.○○MHzで大鳥タワーにコンタクトしてください。
パイロット:Contact tower ○○○.○○MHz, CFA083.
周波数○○○.○○MHzで大鳥タワーにコンタクトします。

タワーへコンタクトします
パイロット:Otori tower, CFA083, departed ○○.
大鳥タワー、CFA083です、○○を出ました。
大鳥タワー:CFA083, Otori tower, runway22 continue approach, wind 190 at 8.
CFA083、大鳥タワーです。滑走路○○への進入を継続して下さい。風は170度から8ノットです。
パイロット:Continue approach runway 22, CFA073.
進入を継続します、CFA083。
大鳥タワー:CFA083, runway22, cleard to land, wind 180 at 6.
CFA083、滑走路22への着陸を許可します、風は180度から6ノット。
パイロット:Runway22 cleard to land, CFA083.
滑走路22への着陸を許可、CFA083。
大鳥タワー:CFA083, turn right T-6, contact Otori ground 121.9MHz.
CFA083、右に曲がって誘導路T6へ入り、121.9MHzで大鳥グラウンドにコンタクトしてください。
パイロット:turn right T-6, contact Otori ground 121.9MHz, CFA083.
右に曲がってT6に入り、大鳥グラウンドにコンタクトします、CFA083。













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