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FSX Tips > ATC解説 〜VFR編〜

VFRで管制圏を持つ空港に離着陸を行う場合の交信例です。大橋空港という架空の第二種空港から離陸し北東へ離脱、その後、同空港に東から進入、着陸するという流れです。簡単な解説も付けておきました。
赤字はパイロット青地は管制官緑字は解説

飛行の前に
フライトプランをCAB(空港事務所)に提出します。フライトプランは専用の用紙が用意されていますので、それに記入してCABの窓口に持参するのが一般的です。 フライトプランの提出時期についてですが、VFRの場合は特に定められていませんが、IFRの場合は移動開始時刻(駐機場を出る時刻)の少なくとも30分前には提出しておく必要があります。

@駐機場で
1.チェックリストに従い自機の外部点検を行います。主に点検する項目は、燃料・オイルの目視チェック、エルロン・エレベータ・ラダー等の動翼の作動チェック、ピトー管やフラップ、静圧口の状態等です。

2.外部点検に異常がなければ、操縦席に乗り込み、チェックリストに従いエンジンを始動します。

3.無線の周波数や、定針儀をセットします。

4.グラウンドにコンタクトし滑走路までのタキシングを要求します。以下はその交信例です。

パイロット : Ohashi ground, JA55○5.
大橋グラウンド、JA55○5です。

大橋グラウンド : JA55○5, Ohshi ground, go ahead.
55○5、大橋グラウンドです、どうぞ。
パイロット : 55○5, north epron, Request Taxi for departure.
55○5北駐機場にいます。(出発のため)タキシングを要求します。

大橋グラウンド : 55○5 roger, Runway 35 wind 340 at 5, QNH 3001, commence taxi.
滑走路35、風は340度より5ノット、QNHは3001、タキシングを開始してください。
パイロット : Runway 35, QNH 3001, commence taxi, 55○5.(注:1-1)
滑走路35、QNH3001、タキシングを開始します、55○5。


5.タキシング指示が出ました。パーキングブレーキを解除し、滑走路35まで移動を開始します。
(注:1-2)




















注:1-1
風は復唱する必要はありません。
注:1-2
グラウンド管制官から経由する誘導路を指示された場合はその経路を、特に指示されない場合は滑走路端まで最短で到着できる経路を走行するようにします。
なお、滑走路手前に到着するまでに無断でタワー周波数に切り替えてはいけません。
その他1
空港によっては、グラウンド周波数が設けられていないこともあります。この場合、タワー管制官がグラウンド管制を兼任します。パイロットはタワー管制官にタキシングを要求します。
その他2
飛行機は基本的に自力でバック出来ません。 エアラインで使用されるような大型機の場合はトーイングカーと呼ばれる特殊車両で“押し出し”ますが、セスナのような小型機の場合はトゥ・バーと呼ばれる専用の器具をノーズギアに取り付けるか、ウィングストラット(主翼を支える棒の部分)を直接手で持ち人力で後退させます。

A滑走路手前で
1.滑走路手前に到着したら、機体を滑走路停止線からはみ出さない程度の場所に停止させ、パーキングブレーキをかけます。

2.チェックリストに従い離陸前点検を行います。


3.異常がなければタワーに周波数を切り替え、離陸を要求します(滑走路手前に着いた時点でタワー周波数に切り替えてもかまいません)。この時、出発方向と出発方法を伝えておきます。今回は右旋回出発(right turn departure)で北東へ向かいます。以下はその交信例です。
パイロット : Ohashi tower, JA55○5.
大橋タワー、JA55○5です。

大橋タワー : JA55○5, Ohashi tower, go ahead.
JA55○5、大橋タワーです、どうぞ。
パイロット : 55○5, ready, request right turn departure to north east.
大橋タワー、55○5離陸準備完了、右旋回出発で北東へ向け出発します。


これに対し、周囲の航空機の交通状況により、管制官の返事として以下の3パターンが考えられます。ただし、状況によってはこの限りではありません。(例えば、滑走路チェックのために待機を指示されることもあります)

@すぐに離陸が許可される場合(先行する出発機や到着機がない場合)
大橋タワー : 55○5, right turn north east bound approved, wind 340 at 6, runway 35 cleared for take off.
55○5、右旋回離脱で北東へ出発を承諾、風は340から6ノット、滑走路35より離陸を許可します。
パイロット : Cleared for take off runway 35, 55○5.
55○5、滑走路35よりの離陸を許可。


A滑走路上で待機するよう指示される場合(先行の到着機が滑走路を離脱している等の場合)
大橋タワー : 55○5, runway 35 line up and wait.
滑走路35上で待機してください。
パイロット : Runway 35 line up and wait, 55○5.
55○5、滑走路35上で待機します。

(注:2−1)


B滑走路手前で待機するよう指示される場合(到着機がある場合)
大橋タワー : 55○5, hold short of runway 35 traffic piper on short final.
55○5滑走路35手前で待機してください。ショートファイナルにpiperがいます。
パイロット : Hold short of runway 35, 55○5.
滑走路35手前で待機します。

(注:2−2)


4.離陸許可が出たら、離陸滑走を開始する前にブレーキをかけたままスロットルを若干開き、エンジン計器に異常がないかチェックします。さらに、トランスポンダをONまたはALTに切り替えます。(FSXではこの操作は不要です。常時ALTのままです)

5.離陸したら、タワーに通報した出発方法と出発方向で飛行します。

































注:2−1
その後トラフィックに支障がなくなれば、@の要領で離陸許可が出されます。



注:2−2
その後トラフィックに支障がなくなれば、@またはA→@の要領で離陸許可が出されます。


B空港から5マイル(約9km)の地点で
空港から5マイルの地点まで来たら、タワーに管制圏(注:3−1)から出域する旨を報告します。以下はその交信例です。
パイロット : Ohashi tower, 55○5, 5nm north east, leaving control zone.
大橋タワー、55○5は5マイル北東にいます。管制圏を出域しています。

大橋タワー : 55○5, roger, frequency change approved.
55○5、了解しました。周波数変更を許可します。
パイロット : 55○5.
了解しました。








以上で出発の手順およびATCは終了です。この後はパイロット自身が判断して好きなように飛行してかまいません(基本的にこれ以降は管制官と交信する必要はありません)。ただし、提出したフライトプランから逸脱しないようにします。
また、管制圏やPCA等の勝手に飛行してはいけない空域にも侵入しないようにします。
なお、フライトプランは飛行中でも変更可能です。最寄のフライトサービスセンター(FSC)を呼び出し、計画の変更を通報します。
注:3−1
管制圏とは、簡単に言えば混雑した空港周辺に設けられた、許可なしでは勝手に飛行してはいけない空域のことです。大きさは一般的に、空港を中心として半径5マイル(約9km)、高度3000ft(約1000m)の円柱です。チャート(航空機用の地図)およびFSXのマップビューでは青色の点線で示されています。英語では「Control Zone」といい、またFSXでは「空域D(エアスペース デルタ)」と呼ばれています。
この空域を通過するには、当該空港のタワーとコンタクトし自身の意思を通達、空域内を飛行中は常時タワー周波数を聴取し、いつでも応答できるようにしておかなければなりません。


@空港から6〜7マイル手前で
1.空港から5〜6マイル手前で、目的地空港のタワーにコンタクトし、着陸を要求します。以下はその交信例です。
パイロット : Ohashi tower, JA55○5.
大橋タワー、JA55○5です。

大橋タワー : JA55○5, Ohashi tower, go ahead.
JA55○5、大橋タワーです、どうぞ。
パイロット : 55○5 6nm east, request landing.
55○5、6マイル東にいます。着陸を要求します。

大橋タワー : 55○5, runway 35 wind 330 at 8, QNH3004, report over Yamada.
55○5、 了解、滑走路35、風330より8ノット、QNH3004、山田駅上空でレポート(通報)してください。
(注:4−1)
パイロット : Runway 35 QNH3004, report over Yamada, 5555.
滑走路35、QNH3004、山田駅上空でレポートします。


2.山田駅上空へ向かいます。

3.この合間に着陸前の点検を行います。









注:4−1
「山田駅上空でレポートしてください。」とありますが、各空港には複数の“目視通報点”と呼ばれる、上空からパイロットが目で見て確認できるような地上目標が、あらかじめ設定されています。目視通報点は“日本の空港”等の航空情報に記載されています。目的地空港の滑走路長や標高は勿論ですが、それに加えこの目視通報点についてもあらかじめ確認しておかなければなりません。

A山田駅上空で
1.山田駅上空に辿着したら、タワーにその旨を報告します。
パイロット : Ohashi tower, 55○5 over Yamada.
大橋タワー、55○5、山田駅上空にいます。

大橋タワー : 55○5 roger, join right downwind, report right downwind.
55○5、右ダウンウィンドレグへ進入し、そこでレポートしてください。
パイロット : Join right downwind, report right downwind, 55○5.
右ダウンウィンドレグへ進入し、そこでレポートします、55○5。


2.タワーに指示された通りに、右ダウンウィンドへ向かいます。
なし

B左ダウンウィンドで
1.右ダウンウィンドへ進入します。この時、トラフィックパターン内を飛行している他の航空機に注意してください。

2.最終的な着陸前チェックを行います。

3.ダウンウィンドに進入した旨をタワーに報告します。

パイロット : Ohashi tower, 55○5, on right downwind.
大橋タワー、55○5です、右ダウンウィンドにいます。

大橋タワー : 55○5 roger, report right base.
55○5了解しました、右ベースレグでレポートしてください。
(注:6−1)
パイロット : Report right base, 55○5.
右ベースレグでレポートします、55○5。


4.進入を継続します。(ベースレグでタワーに報告することを忘れないでください)









注:6−1
トラフィックに支障がなければ、この時点で着陸許可が出されることがあります。

ヒント
先行する到着機がある場合、それに続くよう指示されることもあります。
大橋タワー : 55○5 Cessna turnning right base, follow him.
55○5、セスナが右ベースレグへ旋回しています、それに続いてください。
パイロット : 55○5, roger, Cessna in sight. follow him.
55○5、了解、セスナを視認しました。これにに続きます。

C左ベースレグで
1.ベースレグに入ったら、その旨をタワーに通報します。
パイロット : Ohashi tower, 55○5 on right base.
大橋タワー、55○5、右ベースレグにいます。

大橋タワー : 5555 roger, runway 35, cleared to land, wind 330 at 6.
55○5了解しました、滑走路35への着陸を許可します。風は330から6ノット。
(注:7−1)
パイロット : Cleared to land runway 35, 55○5.
滑走路35への着陸を許可、55○5。


2.着陸が許可されました。




注:7−1
この時点で先行機がまだ滑走路から離脱していない場合は、「continue approach(そのまま進入を継続してください)」が指示されます。この場合、先行の航空機が滑走路を空け次第着陸が許可されます。

ヒント
着陸進入中、しばしば管制官が風に関する情報を通達してくれることがあります。パイロットは原則応答する必要はありませんが、プレストークボタン(音声送信ボタン)を一瞬押すことで、管制官に「聞いていますよ」という意思を伝えることが出来ます。
大橋タワー : Wind check, 320 degrees at 4.
風は320から4ノットです。
パイロット : (マイクのプレストークボタンを一瞬押す。)

D着陸後、滑走路をタキシング中に
1.着陸し、安全な速度まで減速したら、トランスポンダをSTDBY位置に戻し、着陸灯をOFFにし、さらにフラップを上げます。(滑走路上で完全に停止する必要はありません)

2.着陸後、滑走路上をタキシングしているとタワーから次のように指示されます。
大橋タワー : 55○5, turn left(注:8−1) A-3, contact ground.
55○5、左に曲がって誘導路A-3に入り、グラウンドにコンタクトしてください。
パイロット : A-3, contact ground, 55○5.
誘導路A-3、グラウンドにコンタクトします、55○5。


3.誘導路E4に進入し、機体の尾部までが滑走路停止線より完全に内側に入った位置で機体を停止させます。




注:8−1

pick upともいいます。

E誘導路で (交信相手:グラウンド管制官)
1.グラウンドにコンタクトし、駐機場までタキシングを要求します。
パイロット : Ohahsi goround, JA55○5, A-3, request taxi to north epron.
大橋グラウンド、55○5、誘導路A-3にいます。北駐機場までタキシングをリクエストします。

大橋グラウンド : JA55○5, Ohashi ground roger, taxi to north epron.
55○5、大橋グラウンド了解、北駐機場へタキシングしてください。
パイロット : Taxi to north epron, 55○5.
55○5、北駐機場へタキシングします。


2.北駐機場へタキシングします。

3.駐機場所に機体を停止させ、チェックリストに従いエンジンをシャットダウンします。

以上でフライトは終了です。
なし





トラフィックに関する指示

1.例えば、ロビンソンヘリコプターが4マイル北から左ダウンウィンドへ接近中であることを注意する場合。
タワー管制官 : 55○5 traffic inbound Robinson copter 4nm north(注:11-1) proceeding left downwind, use caution.
55○5、4マイル北に着陸のため接近中のロビンソンヘリコプターが左ダウンウィンドへ向かっています、注意してください。

それに対し、パイロットの返事としては以下の3パターンがあります。
@トラフィックを視認した場合
パイロット : 55○5, traffic in sight.
55○5、トラフィックを視認しました。

A視認出来ない場合
パイロット : 55○5, negative contact. (negative in sightとは言わない)
55○5、トラフィックを視認出来ません。

B探している途中の場合
パイロット : 55○5, looking out.
55○5、トラフィックを探しています。



2.管制官から視認出来るかどうか尋ねられることもあります。
タワー管制官 : 55○5 Cessna turnning final, do you have the traffic in sight?
55○5、セスナがファイナルレグへ旋回しています。そちらから視認出来ますか?


(返答のしかたは「1.」と同じです)
注:11-1
タワーから見た方向と距離(管制圏内での位置)を表しています。

自機がレーダーで補足されている場合は自機から見たトラフィックの方向や距離が数値として通達されます。(例えば3時の方向4マイルのように)。
タワー管制官は基本的に目視で航空機同士の間隔を監視していますが、そのためトラフィック情報に関しては、相手機の(管制圏内での)位置と針路を通達するのみとなっています。ただし、場合によっては「あなたの右側/左側」とおおよその方向を指示してくれることもあるようです。


気象情報の更新やIFR機の到着予定などの、タワーの一方送信

大橋タワー : All station concerned, Ohashi new QNH 3003, visibility 15 km, temperature 23.
全ての航空機局へ、大橋空港の新しいQNH、3003、気温23度、視程15km。
パイロット : (応答する必要はない)

大橋タワー : All station concerned, we have IFR inbound beech 58, departed ○○○ VOR/DME commencing A approach.
全ての航空機局へ、当空港へ着陸接近するIFR機あり、機種はビーチ58、現在○○○VOR/DMEを通過しました。これよりアルファアプローチを開始します。
パイロット : (応答する必要はない)














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