「あ〜もう何処に行っちゃったんだよ〜大石!!」
昨日あれだけ一緒に部活出ようって約束してたのに〜〜〜!!
もうすぐ関東大会なんだぞ!もっと練習して新しいフォーメーションも試していこうって言ってたのに何処ほっつき歩いてんだよ・・・・ったく!!
HRが終わってすぐに一緒に部活に行こうと大石のクラスに誘いに行ったんだけど、そこにはすでに大石の姿はなく・・俺は大石の姿を探して走り回っていた。
んっ?!あれ大石じゃないか・・・?
あそこの渡り廊下を歩いてるの絶対大石だ!!
「大石発見!!お〜い!大石!!」
俺がパタパタと走っていくとそこには、たくさんの本をかかえた大石とかわいい女の子が立っていた・・・
なっなんだ・・・ひょっとして・・・またもや・・・こいつ・・・
「あっ英二!いいとこであったよ!この本を図書室に運んでから部活にでるからさ、少し遅れるって手塚に伝えといてくれよ」
なっ何笑顔見せてんだよ!!俺ずっと探してたんだぞ!
「なんだよ!一緒に部活行く約束してただろ!本なんて運んでる場合か?もうすぐ関東大会なんだぞ!!」
「わかってるけど・・彼女一人じゃこの量は運べないよ」
たくさんの本を抱えて、当たり前のように大石が言って苦笑いをする。
この親切バカは困ってる人を見たらほっとけないんだ・・・
「だけどさぁ・・・俺も大石がいないと困るんだけど」
「・・・英二」
俺の言葉に言い返せなくなったのか、大石はそのまま黙ってしまった。
そしてそんな大石をフォローするように、俺達のやり取りを黙って見ていた女の子が気まずそうに話に割り込んできた。
「あっあの・・・大石くん大丈夫だよ。私一人で出来るから。菊丸君と一緒に部活に行って来て・・ねっ!」
「いや・・でも・・・」
なんだよ!なんでそんな事言うんだよ・・
まるで俺がわがまま言って大石を困らせてるみたいじゃんか!・・・そうなんだけど・・・
それにそんな事言ったらよけいに行けなくなるだろ!大石はそういう奴なんだよ!!ホントにもう〜〜!!
「もういいよ!それ早く運んできなよ!手塚には俺がちゃんと伝えておくから・・」
そう言うと大石はホッとした顔をした。
「すまないな英二・・必ず後で行くから・・」
「ごめんね菊丸君・・」
そして二人は図書室の方へ歩いて行った。
なんだよ・・あやまんなよ・・俺が意地悪してるみたいじゃんか!
大体俺との約束の方が先だぞ!なんで本なんて運んでんだよ!バカ大石!!
ふんっだ!後でギタギタにしてやる!!
「あ〜なんか腹が立ってきた!さっさと部活に行こ!!」
ハァ〜・・・それにしてもさっきの子かわいかったな・・・
あんな子が困ってたら大石じゃなくてもほっとけないよな。
あの子の大石を見る目、あれは絶対大石に惚れてるな・・・
ああっくそ!バカ大石!あいつは絶対気付いてない!
自分に惚れてる女に優しくしてどうすんだよ!!
ますます大石の事を好きになるだけじゃんか!!
まったくも〜!あいつの優しさは節操なさすぎ・・
まぁ俺もそんな大石が好きなんだけどさ・・・ハァー
やっぱり大石も男の俺なんかより、かわいい女の子の方がいいのかなぁ〜〜。
駄目だ!駄目だ!こんな事考えたら・・
そうじゃなくても大石から好きって言ってもらってないのに不毛すぎる・・・
取り合えず後で来るって言ってんだから・・・来たら嫌味の1つ2つは言わせて貰おう。
「ってなんだよ!結局こなかったじゃんか!!!」
バカ大石!うそつき!もう練習終わっちゃたじゃないか!!!必ず行くって言った くせに!!!
いつ来るのかと部活の間中ずっと大石の事を考えて待ってたんだぞ!!
このうそつきヤロウ!!
俺の怒りは頂点に達して叫んでしまった。そんな姿を側で見ていた親友の不二が声をかけてきた。
「英二・・英二・・・」
「なんだよ!不二!」
今俺は猛烈に怒ってんだぞ!!
「顔が怖いよ・・まぁ落ち着いて・・みんな引いてるよ・・」
不二の言葉に周りを見ると、みんな遠巻きに俺を見ている。
「えっ!あっ!ごめん・・・」
「ちょっとこっちにおいで・・」
.
「うん・・」
不二に連れられて部室へとトボトボ歩く俺を他のみんなは黙って見送っていた。
あ〜不二はなんでもお見通しだからなぁ・・・けど今のは不味かったかな・・・
確かにみんな引いてたし・・まっいいか・・考えるの面倒だし・・悪いのは大石だし・・
部室に着くとおもむろに不二が話を切り出した。
「それで・・今度は大石何したの?」
「かわいい女の子と一緒に本運んでた・・・」
「それで・・・」
「運び終わったらすぐ来るって言ったのにこなかった!」
「ああっ今日は間に合わなかったよね」
「間に合わないじゃないよ!なんで本運ぶのにこんなに時間がかかるわけ?おかしいじゃんか!!絶対運んだ後もなんか手伝ってんだよあいつ!!」
俺が部活の間中思っていた事をぶちまけると、不二はフッと笑った。
「そうだろね・・わかってるじゃないか英二・・」
「うっ・・」
「大石はそういう奴じゃないか・・・本を運んでハイさよならって出来ないのが大石でしょ・・・
それとも英二は本だけ運んで、困ってる女の子を一人残してくる大石が好きなわけ?」
不二の眼が開いてる・・・・
「・・・好きじゃない・・・」
「だろ・・だったら・・わかるね」
「ううっ・・・うん・・・わかった・・・今日はおとなしく帰る・・・」
ああホント不二には敵わないと思う・・・っていうか友達で良かった。
「いい子だね・・・みんなのフォローは僕がしといてあげるから」
「わかった不二・・いつもごめんね・・じゃあ俺先帰るね・・」
「ああ気をつけてね英二」
笑顔で手を振る不二と別れて、俺は後ろ髪を引かれながらも家へ帰る事にした。
大石のば〜か!ば〜か!ば〜か!
英二怒ってます。そして不二はいい奴(英二には)という事で、続きどうぞ。(残り2ページ)