Happy g o o d y







やばい・・・やばい・・・やばい・・・どうしよう・・・


なんでこんな事になっちゃったんだろう・・・

自分でもわかんない・・・

わかんないけど・・・やってしまった・・・





「・・・で僕のとこに来たのはわかったけど・・・これからどうするの?」

「どうしよう・・?」

「どうしよう?と言われてもね・・・こればっかりは僕もどうにもしてあげられないよ

英二と大石の問題だからね」

「・・・うん」

「だけど・・ひとつだけ言えるとしたら・・・さっきから何度も鳴っている携帯・・・

大石からでしょ?出たほうがいいよ。きっと探し回ってるよ」

「・・・うん。わかってる・・・けど・・・なんて言っていいかわかんないし・・・」

「それでも・・・出た方がいいんじゃない?」

「じゃあ不二が出てよ・・ここに来てるからって伝えてくれたら大石も捜さないだろうし」

「・・・わかった・・・だけど伝えるだけだからね。後は英二の問題だよ」

「あんがと・・・後は・・・わかってる・・・ちゃんと考える」






何度も鳴る携帯。

その相手が大石だって事は、携帯を見なくてもわかってる。

だって俺は大石の家からここに逃げてきたんだから・・・

あの時はどうしていいか、わかんなかったんだ。

嬉しかったのに、恥ずかしくって・・・

頭の中が真っ白になって・・・

気付いたら大石の事突き飛ばしてて・・・


「やっぱ・・ごめん!」


って一言言い残して・・・家を出てきてしまった。

そんな俺の事、大石が心配しないわけない・・

必ず追いかけてくる・・・

そう思ったから、家には帰らず、コンテナにも行かず・・・

なるべく大石の知らないとこ・・・掴まらないとこ・・・色々考えながら走って・・・

気が付いたら、不二の家に辿りついてたんだ。

不二は急に来て様子のおかしい俺に驚いてたけど、スグに部屋に入れてくれた。

そんで、俺の話をじっと黙って聞いてくれた。

全部は・・・本当の事は話せなかったけど・・・

聞いて貰ったおかげで・・さっきよりは少しは落ち着いてきたと思う。






綺麗に片付けられた不二の部屋。

いつ来ても散らかってるとこなんて見た事が無い。

そんな不二の部屋を見てると、今さっき出てきた大石の部屋を思い出した。



大石の部屋も、いつ行っても綺麗に片付けられているよな・・・



参考書や難しい良くわかんない本も大石の法則があるのか、いつも決まった場所に決まった順番で並んでいて

大石の大切なアクアリウムも『凄く手が掛かるんだよ』と笑いながら言っていた通り、水槽が汚れているなんて見たことが無かった。

大石・・・



俺が頭をブルブル振って目線を携帯に移した時に、また携帯が鳴り始めた。



「英二・・出るよ」

「うん」



小さく不二がため息をついて携帯に出るのが見えた・・・



「もしもし・・・

うん僕。

英二なら今、僕の家に来てるから・・・

うん・・・大丈夫みたいだけど・・・今はまだ少し話しづらいみたい・・・

大石?

何を?

わかった。ちゃんと伝えておくよ。

うん・・じゃあ・・」



不二の声だけしか聞こえないけど・・・

あいつ・・・謝ってんだろうな。

出て来たのは・・・俺なのに・・・

悪いのは・・・俺なのに・・・

今頃自分の事、責めてんだろうな・・・



「英二・・・はい」



話し終わった、不二に携帯を渡された。



「ごめん・・・あんがと・・・」



受け取った携帯を眺めてると、不二が大袈裟にため息をついた。



「英二・・・大石からの伝言。『俺の方こそごめん』だってさ・・

それと『英二が置いて来た荷物は、明日家に持って行く』って・・」

「・・・そっか・・」

「それでいいの?」

「えっ?」

「深くは聞かないけどね・・・落ち着いたら戻った方がいいんじゃない?」

「う・・ん・・・」



俺だってそうした方がいいのぐらい・・・わかってる・・・わかってるけど・・・



「ごめん今の取り消す・・戻りたくないなら、無理して戻らなくていいよ英二。

それより、何か飲もうか?下から取ってくるよ」



そう言って不二が部屋から出て行った。

俺の様子に不二が、かなり気を使ってくれている。

ホントに悪いな・・・って思うけど・・・

今は・・・本当に俺もどうしていいかわかんないんだ。

俺はベットの横にあったクッションを抱きかかえて・・・ゴロンと横になった。



大石・・・

なんでこんな事になっちゃったんだろ?



今日の部活はめずらしく朝練だけで、更に明日は休み。

そんな事めったにないからさ、絶対に大石と一緒にいたいって・・・

俺から今日の事を話したんだ。




「ねぇ大石。明日さ朝練だけじゃん。そんでもって明後日は休みだろ?」

「あぁ。そうだな」



大石は部誌から目線を外さず、返事をしている。



「だからさ。明日昼から大石の家に行って・・・そのままお泊りしていい?」

「えっ?」



そんなに驚くような話をしているわけじゃないのに、大石は部誌を書く手を止めて 俺を見た。



「なんだよ・・もうなんか用事入れてんのか?」

「いや・・・ないけど・・・」

「じゃあなんだよ!俺が行ったらなんか都合悪いことがあんのか?」

「いや・・・別に・・・」

「なんだよ!ハッキリしろよ!俺が行くの、そんなに嫌なのか?」

「だから・・・そんなんじゃ・・・」



そう言ったまま大石は俯いてしまった。


なんだよ・・・ったく・・・ハッキリしない奴だな

せっかくいい話だって思ったのに・・・


黙ったままの大石をジッと見てると、おもむろに大石が顔を上げた。



「いないんだ・・・」

「ハァ?」

「だから・・・俺以外誰もいないんだ・・・」



凄く真剣な顔で言うから、何の事だ?って思ったけど・・・



「別に大石がいればいいじゃん!何でそこで渋るんだよ!」

「だから英二・・・俺だけなんだって!」



この時俺は、大石が何を言おうとしてるのか、何を思っているのか?

なんて考えないで、『別にそれでいいじゃん』で押し通した。



「んじゃ決まりだな。晩御飯はどうすんだ?俺がなんか作ってやろうか?」



大石はまだ負に落ちない顔をしていたけど、観念したのか渋々答えてる。



「いや・・・晩御飯は母さんが何か作って冷蔵庫に入れて置くって言ってたから」

「じゃあ朝は、俺がふっわふわのオムレツ作ってやるよ」



二カッて笑うと、大石は小さくため息をついた後、苦笑した。



「期待してるよ・・・」




そうなんだよな・・・殆んど俺が無理矢理大石の家に行く事を決めさせたんだ。

そして今日約束通り、昼から大石の家に行ったんだ。








この話は最初に書いたSTEPの後の話です。


取り敢えず、グルッと一周したという事になるのでしょうか?

なので大石も少しは言うように・・・愛を語るように・・・なったかな?

そんな感じで☆

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