早月尾根から剣岳(2998m)山行報告

早月小屋前展望台にて

報告:ごましおさん
【報告】早月尾根ボッカ隊剣岳を目指す。

山域  :北アルプス、早月尾根から剣岳
日程  :2002年10月12から13日
メンバー:薫さん、森の音さん、DOPPOさん、BAKUさん、ごましお
共同装備:4人用テント、2人用テント、12日夕食、13日朝食
個人装備:食料、飲み物、シュラフ、マット等山行必要品

今回のメンバー全員剣岳は初めてだった。早月尾根をボッカするのは体力勝負、我々が辿った足跡を残してみました。

10月12日 快晴、雲ひとつ無し
登山口 8:9 〜 展望台8:39、45 〜 標高1100付近9:13 〜 標高1400付近9:30、40 〜 標高1650付近 10:13、34 〜
標高1800付近 11:6、15 〜 避難小屋跡12:3、12:15 〜 早月小屋手前12:50 、13:20 〜 テン場13:30
10月13日 快晴
テン場 6:26 〜 2400地点6:57、7:2 〜標高2600地点 7:20 〜 標高2800地点8:5、10 〜 剣岳山頂 8:56、9:42 〜
標高2600地点 10:50、11:2 〜 2400地点 11:18 〜 テン場 11:38、12:40 〜 避難小屋跡 13:6、14 〜
標高1600地点 13:55、14:00 〜 標高1300地点 14:27 〜 展望台 15:2、10 〜登山口 15:27

10月12日
前夜薫さん邸に各自集合し、コンビニで買い出しを済ませて出発したのは9:30だった。名神、北陸高速道は渋滞もなく
快調に進み、宿泊地の馬場島に到着したのは1時40分。既に数台在り中で眠っている様子も窺えた。仮眠用テント設営後
すぐに宴会の開始。この時点で明日は早月小屋までとなった。夜空を見上げれば満天の星で明日の快晴を約束していた。
朝起きると駐車場には車が増えており、既に出発して行くパーティを見送りながら、朝焼けの中我々はゆっくりと支度した。
出発前 馬場島キャンプ場
8:9
駐車場を出て車道を少し進み登山口から入った石標を過ぎるといきなりの急登だ。今日は標高差1400mの登り一本、
ゆっくりと進んだ。一汗かく頃見晴らしの良い展望台に着く、此処からは未だ山頂は拝めなかった。暫く緩やかな登りに
続き急登が始まった。大木の根が登山道を横切り歩き難い、まだ歩き始めて間も無いのに息が切れる。
大木の前
汗が噴き始めると標高1100m付近で小休止してまた歩き始めた。標高1400m付近までグングン標高を稼ぐと伴に、
黄色と紅色の葉を付けた木々が多くなってきた。
10:13
標高1600付近で大休止をとった。
この辺りになると、紅葉が益々鮮やかになり、赤谷山、赤ハゲ、白ハゲ、池の平山などの山々
も見渡せる様になった。
この後も急登が続き標高1800m付近になると、青空に黄色と赤色とダケカンバの白色が映え、素晴らしい紅葉を目に
することが出来、一同撮影タイムに入った。
12:3
何とか急登を終えると、林の中の避難小屋跡に到着した。此処まで来ると早月小屋までは一登、再度大休止をとった。
この辺りの紅葉は終わりかけで、登山道は落ち葉で覆われていた。
12:50
避難小屋跡からは暫く緩やかな傾斜になり池を越えると、小屋手前のピークの遙か奥に剣岳山頂が見え始めた。
小屋手前の急登が終わると眼下に早月小屋、その遙か上には剣岳山頂、西に奥大日岳、東の剣尾根の奥に
白馬鑓岳が見渡せる広場に立った。
早月小屋手前の展望台より
剣尾根の堂々とした岩肌に圧倒された。他のパーティと写真を撮り合いして交換を約束した。

13:35
広場での撮影を済ませ早月小屋に到着。
早月小屋テン場
薫さんDOPPOさんは早速冷えたビールを購入。テン場で開けるが、ボッカしたビールとほぼ同じ冷たさで少々ガッカリ
した様子だった。小屋の主曰く、家庭の冷蔵庫より冷えとる。は、本当か??。
テント設営後、ボッカしたビールでカンパ〜イ!!。今日一日の疲れが飛んだ一瞬だった。いや〜!、西日を浴びての
ビールは何度やっても美味しいものです。自然と隊員の口も滑らかになり、次々と放談放言が飛び出し大いに盛り上がった。
赤谷山に浮かぶ雲とナナカマド
夕刻になり段々と山が赤く染まり始めると、再び撮影タイムになり、各々ポイントでシャッターチャンスを待った。
陽が落ち気温も急に下がり始めたので、テントで薫さんお得意の鍋を囲み再度宴会が始まった。重い荷物と急登で疲れ
た身体にアルコールが良くまわり、DOPPOさん、BAKUさんはいつの間にか目が閉じていた。ある一声で終了。
それぞれテントに別れ、シュラフに入ったのは18:30った。その夜も素晴らしい星空を見ることが出来た。なんて幸運だろう。

10月13日
5時前に起きると、既に登り始めた人もいる様だった。我々も手早く朝食を済ませ準備に取りかかった。
外は霜が降りていて寒いが、今日も空には雲が無い。快晴間違いなし。
6:26
今日は山頂まで往復するので荷物は軽い、快調なペースでテン場を後にした。暫く樹林帯の急登を進み森林限界を越す頃
標高2400地点に着いた。徐々に剣岳の岩容が威圧感を増してきて、剣尾根の絶壁が間近に迫って来た。遠くには室堂の
ホテル立山も見え始めた。
8:5
標高2600m付近のハイマツ帯を過ぎ、岩場の急斜面を登って標高2800m地点に到着。尾根の左側の遙か彼方に白馬岳、
右側は室堂方面が見渡せ道路を走る車も確認出来るようになった。遠くには薬師岳も見え高度が高い事を実感出来た。
見上げると、山頂直下の道標が見え、山頂に立つ登山者の姿も分かるようになった。この先の登山道には新雪が残っていて
歩き難そうだ、気を引き締めて鎖場に向かった。
8:56、9:42
雪が付いた鎖場は非常に緊張した。慎重に歩き最大の難関のカニのハサミを無事過ぎると、別山尾根から登る大勢の
登山者がアリの様に見えてくる。最後の急登を終え分岐の道標に到着した。小屋、テント、雪渓もう剣沢が一面見渡せる。
山頂は直ぐ其処、沢山の登山者が見える。
8:56ついに剣岳山頂に到着した。

雲一つ無い快晴の下、北方向は、白馬三山と奥に頸城山系。東方面は、後立山連山と奥に八ヶ岳連峰と横に南アルプス
連山その間に富士山が堂々と聳え立つ。南に目を転じて、立山の上に槍の穂先と穂高連峰、乗鞍と笠ヶ岳の奥に御岳が
ポツン。黒部五郎、薬師の奥に白山が小さい。更に右に向ければ、冨山平野から日本海が見渡せた。

DOPPOさん曰く720度の大展望を目に焼き付けるべく、隊員はそれぞれ山座同定と撮影に夢中だった。
薫さんは、iモード掲示板に書き込み後しばし物思いに耽る。森の音さんは、自宅に山頂コールするが繋がった例しが
無いとボヤクが紫煙を吸う顔は達成感で溢れる。DOPPOさんは、満面の微笑みで掲示板に書き込み後パノラマ撮影に
没頭する。BAKUさんは、槍の穂先でこの夏の北鎌制覇を思いだし再度感激に浸る。ごましおは、この夏の足跡を辿り
ながら早くも来年の構想を練る。それぞれが至福の時を過ごし、最後に記念撮影して後ろ髪を引かれる思いで下山についた。
10:50
カニのハサミの下りも上り以上に怖かったが、その後は標高2600m地点まで一気に下り休憩した。
驚いたことに、此処に犬を繋いだまま登って行く2人組の登山者がいた。残された犬の泣き声の寂しい響きが忘れられない。

11:38、12:38
およそ2時間でテン場まで下りてきた。まずは登頂を祝してビールと酎ハイで乾杯!。あ〜美味い。日差しが在って暑く
なってきた身体に染み渡るに連れ充実感が沸いてきた。テン場から見上げると山頂が彼方にあった。しかし、この時間から
ガスが少しずつ発生し始め、テント撤収後にはかなり多くなり望めなくなった。軽くなったザックを背負い再び長い下りに入った。
13:55
テン場から避難小屋跡辺りまではガスが濃くなってきた。標高1600地点辺りまで下ると徐々にガスが取れ始めた。
そろそろ疲れが出てきたこともあって、急斜面の上に木の根が多く途中何度も引っ掛かりそうになった。
15:2
標高1300m地点辺りになると、昨日とは違う角度で陽が射して色付いた紅葉が美しかった。
紅葉
長時間の下りに耐えた隊員の脚もかなり弱ってきて、スピードも鈍りだした。やっと急坂も終わり平坦になると展望台に
辿り着いた。ここまで来るとあと一下りだ、各自脚を伸ばして休憩しているとテン場で横だった単独者が目の前を通り
過ぎていった。
15:27
最後の急坂を駆け下りて、やっと長い長い早月尾根の下りを終え登山口に帰還した。
「試練と憧れ」と書かれた石標の前で再度記念撮影。正に試練に相応しい登山道だった。登頂を無事に終えて、喜びを胸に隊員同士
ガッチリ握手して最後を飾った。

帰り道ハートフル剣は入浴時間が16時までだった。近くの親切な人に教えて貰い湯神子温泉に変更した。そこは旅館に
併設した日帰り温泉で疲れた脚に温泉が心地良かった。途中、車中から剣岳が見えた時は山頂の光景が蘇り達成感に浸れた。
その後、中華料理『香雅』で打ち上げをして帰阪した。

最後に
今回同行頂いた隊員の皆様、有り難うございました。
場所良し、時期良し、天気良し、メンバー良し、一生忘れられない思い出になりました。

        ごましお

【GPSが描いた軌跡】

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