ゲルマニウムトランジスタラジオの製作
2009/7/13
Last update : 2009/7/13
はじめに
6石スーパーラジオキットのトランジスタをゲルマニウムトランジスタに交換した「ゲルマニウムトランジスタラジオ」の製作についてご紹介します(2008年1月完成)。
このキットは、科学教材社の「CK-606 6石スーパーラジオキット」です。
1974 年当時の6石スーパーラジオキットの回路図が入手できたので、交換するゲルマニウムトランジスタの型番は、それを参考にしました。
当時と大きく変わったところは、トランジスタが PNP ゲルマニウムから NPN シリコンに変わったことで、ほかはほとんど同じ回路なので 1974
年当時のスーパーラジオが再現できます。
CK606 外観
(キットにはマグネチックイヤホンもついている)
ゲルマニウムトランジスタへの改造概要
「6石スーパーラジオキット」なので、当然トランジスタが6個使用されています。
図のような NPN 型シリコントランジスタが使用されていますが、これを PNP 型ゲルマニウムトランジスタに交換します。
上段:キットに使用されているシリコントランジスタ
(2SC1815-O ×3、2SC1815-GR ×3)
下段:交換したゲルマニウムトランジスタ
(2SA201、2SA202B、2SA203A、2SB186、2SB187 ×2)
トランジスタを単純に交換するだけではダメで、以下の改造をします。
CK-606 をお持ちの方は、下の画像をご覧いただくと、どこに抵抗器が増えたか、お分かり頂けると思います。
ゲルマニウムトランジスタ6石スーパーラジオ
(もともと初心者向けのキットなので、作りやすい構造になっている)
各トランジスタ、ダイオードの写真
各トランジスタ、ダイオードの実装部分の写真を紹介します。
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局部発振、周波数変換 2SA201 (電流帰還バイアス回路に変更するため、 抵抗器を1個追加) |
中間周波増幅 2SA202B (AGCをかけるための抵抗器があるため、 抵抗器の数は変わらない) |
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中間周波増幅 2SA203A (電流帰還バイアス回路に変更するため、 抵抗器を1個追加) |
検波 ゲルマニウムダイオード (1974年の回路図では 1S426 を使用していた が、キットに添付のゲルマニウムダイオードを そのまま使用。説明書には1K60 と書いて あったが、外観より 1N60 ではないかと思われる。 AGC 付きなのでダイオードの極性も逆にする) |
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低周波増幅 2SB186 (電流帰還バイアス回路に変更するため、 抵抗器を1個追加) |
低周波増幅 2SB187 × 2 (温度補償用ダイオードの代わりに 2SB187 (ベース−エミッタ間)を 1個使用した(右)ので、2SB187 は計3個となる) |
おわりに
調整が終わると、「AM ラジオとはこんなにきれいな音だったのか!」と感心するような良い音がしました。ただし、ゲルマだからというわけではなく、CK-606
の音が良いのだと思います。
「6石スーパーラジオ」は、高周波回路の基本のひとつだと思います。私は、ストレートラジオは何個も作りましたが、その次は IC を使用した無線機の製作にステップアップしてしまい、6石スーパーは飛ばしていましたので、今回の製作は勉強になりました。
ゲルマニウムトランジスタは別としても、6石スーパーラジオを作ったことが無い方は、一度作られてはいかがでしょうか。
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