ホイアン 35バイク 2007/1/19
彼は少しあせっていた。
今日、この時間を逃すともう2度と彼女とは会えないかもしれない。
精一杯の勇気を振り絞った。
「俺、今日の夕方、発つんだ。今日、会えないかな。」
カウンター越しに彼女は少し考えた。
「いいよ。でも、学校があるから終わってからね。」
18:00に約束をした。
バスの出発時刻は19:30。
1時間30分しかない。
本当に彼女は来てくれるだろうか。
約束の時間。
「ごめん、待った?」
「ううん、今来たところ」
「バイク借りたんだ。」
「本当に運転できるの?私がしようか?」
「ううん、大丈夫だよ。」
海岸線を疾走する。
「ちょっとスピード出しすぎだって!」
「ごめん、ごめん!」
波の音が聞こえる。
「ねえ。一度、日本に来ないか?」
「えっ?日本?うーん。いやよ。だって物価が高いもん」
時間、距離、経済、国境。
あらゆるボーダーが二人を別つ。
もう時間がない。
「必ずメールするから!!」
「わかった。待ってる!!」
無機質なテクノロジーだけが二人をつないでいる。
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