レッドバロン

リチウムポリマー電池(以下LiPo)も各社で販売されるようになり、入手しやすくなってきました。
まず最初に使用するバッテリーとして2セル(7.4V)1320mAhで7C放電が可能な物
を選びました(写真1、2の左)。このバッテリーを選んだ理由は、
このレッドバロンを作る前にOK模型のグライダー、サフランを飛ばしていて、こちらは当初9.6V320mAh62g
のニッケル水素バッテリーを使用していましたが、もう少しスタミナが欲しいなと思った事と、今までヘリで
よく利用していたK&Sで販売されるようになり、入手しやすくなったからです。
電圧は低くなりますが、180モーターでは余裕の放電特性があると思われるのと
重量も少し軽くなるのでグライダーには案外使えるのではないかと思いました。
また、LiPo対応充電器もそろえました。

写真1 左から7.4V1320mAh LiPo、8.4V500mAhニッカド、11.1V2100mAh LiPo
重さは56g,134g,132g

写真2 厚みの比較
このLiPoバッテリーを入手し、何か他に使えないかと思っているとQRPから
レッドバロンという電動複葉機が出ていることを知りました。標準使用バッテリーは7セル(8.4V)
500〜600mAhニッカドで、400モーター(ギアダウン)です。放電特性から考えて
7.4V1320mAhの
LiPoでは若干無理があるかと思いましたが、以前から複葉機を飛ばしてみたかったのと、
電動の飛行機を飛ばしたかったので、この2つを満たすレッドバロンを購入して試してみることに
しました。
都合の良いことに、バッテリー搭載位置がほぼ重心位置にあるため、バッテリー重量の変化による
重心あわせの必要がありません。
正月休みを利用し、4日ほどで完成しました。何だか複葉機はいいですね。
完成した機体を眺めているだけで何かワクワクする物を感じます。今まで自分でも気がつき
ませんでしたが、案外ノスタルジックなのかもしれません。(^^;
○飛行編
LiPoを充電し、機体に搭載してみました。レッドバロンは7セル500〜600mAh
のニッカドバッテリーがぴったり収まるように設計されています(写真3)。そのため、そのままでは
バッテリーが機体の中で暴れてしまうのでスポンジを余分なスペースに詰めることにしました。

写真3 バッテリー収納スペース。ほぼ重心位置にあるため、
バッテリー交換による重心あわせはほとんど必要ありません。
電圧面と放電面に不安はありましたが、その予感を裏切りレッドバロンは2,3mの滑走で
力強く離陸していきました。上昇も問題はありません。危なげなく上昇していきます。
トリム調整をしながらしばらく飛ばして
いると複葉機独特のクセが見えてきました。複葉機は中速と全速ではエレベーターのトリムが
変わってしまいます。そこで説明書通りに中速にあわせてトリムをセットしました。
また、メーカーのふれこみ通りこの機体はエルロン方向が安定しています。今まで複葉機は
コロコロとしてエルロン方向に落ち着きがないという事をよく聞き、そうなんだと思っていましたが、
この機体に関してはほとんど問題はないでしょう。旋回時も普通に飛ばせます。
しかし、ロールをさせると驚きました。なかなかロールしません。説明書にも書いていましたが
ここまで回らないとは思いませんでした。45度くらいまでは素直に傾くのですが、それ以上は
なかなか回りません。おそらく安定性重視の設計によるものでしょう。8.4V500mAh
ニッカドではパワーがあるので少しはマシですが、それでもゆっくりです。
説明書通りエルロン→ラダーに強めのミキシングをかけておく方が良さそうです。
ループも若干苦しそうです。このあたりの原因は機体の性能というよりもバッテリーの
特性にあるようです。7.4V1320mAhではダイブをさせて
やらないとループは出来ませんでした。原因としては冬場の低温がかなり影響してそうです。
この時は1月で、気温は10度を下回っていました。
春の暖かい日(3月末、気温20度)に同じ7.4V1320mAhLiPoで飛ばした時は
かなりパワフルに飛ばすことが出来ました。2〜3周の連続ループも可能です。
プロペラ回転数も7700rpmとアップしました。
8.4Vニッカドではほとんど温度による影響は感じられませんでした。
もちろんループも問題なく、感覚的には春の7.4V1320mAhLiPoより少し
パワフルな感じです。
トリム調整をし、5分ほどで降ろしてみました。まずモーター、バッテリーの発熱を確認しました。
冬で寒かったのでモーターは冷たいままです。ほとんど中速で飛ばしていたためでしょう。
バッテリーは、ほんのり暖かい程度です。LiPoは低温に弱い(放電しにくくなる)ようなので
このくらいの発熱がある方が都合が良さそうです。400モーターでも主に中速を使用し、
たまに全開にするくらいなら1320mAh7Cのバッテリーでも大丈夫そうです。
ただ、スピード400クラスのモーターはギア、プロペラによって10A以上流れることが
あるようで、
これではこのバッテリーの放電許容量(1.32Ah*7C=9.24Ah)
を超えてしまいます。全開で長時間使用したい場合は電流を計測し、プロペラ、ギア比等を
吟味する必要がありそうです。
2100mAhLipoなら放電性能にも余裕があるので全開でもモーターを回しきり、
パワーもアップするのかもしれません。ちなみにこの機体の使用ギアは標準装備の2:1ギアダウン、
プロペラは8×4電動用です。
次に飛行時間を計ってみました。説明書を読むとLiPoは放電しすぎると大変なダメージを
受けるようで、ある情報では30%は残す必要があるとの事です
(どこで見たのか忘れてしまいました)。何に対する30%なのか詳しくは
わからないのですが、安全を見込んでとりあえず容量の30%と解釈しました。
少々不安だったのですが、使用しているK&Sの
スピードコントローラーのオートカット電圧が5Vだったので、400モーターを動かしての
5Vならちょうど良い位かもしれないと思い、オートカットまで回してみることにしました。
オートカットまで回し、充電してみると1300mAh近く入ります。どうも5Vのカットオフでは
低すぎるようです。全容量の10%を切ってしまいました。
放電のしすぎでバッテリーを使い物にならなくしたかと思いましたが、大丈夫だったようです。
その後も同じように使えています。案外タフなのかもしれません。
さて本題の飛行時間ですが、対象として8.4V500mAhニッカドを用意しました。おおまかな
結果ですが以下の通りです。
※2004/4/15追加。
電流値を測定するため、イージーテスターを入手しました(写真4)。このテスターは
回路を切断しなくても、ケーブルをセンサーに挟むだけでリアルタイムに電流値が分かります。
そこでずっと気になっていた放電々流値を測ってみました。先にも書きましたが、LiPoは
温度によって最大放電流値が変わってきます。表の電流値は4月の測定ですので参考までにこの時の
回転数を表の( )内に書いておきます。1320mAhLiPoでは瞬間的に許容値を
超えることがありますが、
全開での連続電流値はバッテリーの許容値内に収まっているようです。
この動力ユニットの組み合わせでは2セル1320mAhLiPo7C放電で十分対応できそうです。
−−− 追加終わり −−−
バッテリー別飛行時間および回転数、電流の比較
バッテリー | 飛行時間 | 回転数rpm | 電流値 |
8.4V NiCd 500mAh | 約6分 | 8650(8600) | 9.5A |
7.4V Lipo 1320mAh | 約20分 | 7200(7750) | 8.4A |
11.1V Lipo 2100mAh | − | 9650(10000) | 12.4A |
中速を多用する旋回飛行で測定。
ともにオートカットが働くまで。平成16年1月計測。
回転数の( )内は4月計測のもの。電流値も4月計測。

写真4 進和技研のイージーテスター。クランプするだけで電流が測れる。
結果を見るとほぼ容量に比例する事がわかりました。さすがは高容量のLiPo。
20分は結構長かったです。上空をGP機が飛び回っている中、私はレッドバロンを
地上1mから3m位の低空をひたすら旋回飛行していました。ゆっくりの飛行なのでかなり低空を
飛ばす事ができ、これがまたスリルがあって結構楽しい!私が機体を降ろすまでの間、
GP機が2回離着陸をしていました。(^^; 操縦者のすぐ近くをちょろちょろと、
まるで虫が飛んでいるかのようだったので毎回こんな事をしていると何時か
「五月蠅い!」と言われて
しまいそうです。(電動なので実際は非常に静かなのですが。笑)
電動機は 飛行時間が短い=飛ばない と言われていた時代は終わったようです。
それではパワー面を補うため3セルではどうか、ということで試してみました。
3セル2100mAhのバッテリーは7セル500mAhニッカドとほぼ同サイズです(写真1,2)。LiPoの方が
角張っているのと若干厚みがあるため、機体のバッテリースペースに入れるには若干スムーズ
さに欠けますが、何も加工をせずとも搭載できます。当然ながらスポンジも必要ありません。
実際の飛行ですが、レッドバロンではパワフルすぎて前述の複葉機のクセが強く出てしまい、
非常に扱いづらくなってしまいました。この機体では8.4V程度のバッテリーが最適のようです。
(元々そういう設計なので当たり前なのですが)
3セル2100mAhのバッテリーについては現在同じQRPのエスパー400sを製作中
ですので、こちらで使用してみたいと思っています。
以上の結果、7.4V1320mAh7CのLiPoで400モーター+ギアダウン(2:1)、
8×4電動用プロペラの組み合わせだと特に問題なく使えるようです。
全開飛行も大丈夫のようです。気温が高ければ結構パワフルに飛ばすことも可能です。
飛行時間は間違いなくニッカドより勝ります。
バッテリー自体も軽く、軽量化の効果か離陸も楽です。
(上記2セルLiPoバッテリーを含む全重量ジャスト500g メーカー表示重量590〜640g)
飛行時間が十分取れますので、この機体でエルロン機の練習をしても面白いのではないでしょうか?
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