三和カルト Mercury M
with ロータリーエンジン 始動編
このページでは初めての飛行にあたっての様子、感想等を小説風に書いてみました。
少しでも臨場感を感じていただければと思います。(文才がないのはお許しください。)
ロータリーエンジンの不思議 〜魅惑のロータリーサウンド〜
2001年5月 某日曜日
数ヶ月にわたる製作を終え、幾多に及ぶ問題を解決してこの機体は完成した。今日はその初フライトである。このエンジンはどんなサウンドを奏でるのであろうか?期待と不安は止めどなくわき上がってくる。
燃料缶からポンプを介し、機体の燃料チューブにつなぐ。ハンドポンプを回している間、何か忘れているものはないか、落ち着きを取り戻すべく必死に考える。
「やるべき事はすべてやった。」燃料が満タンになる頃自分に言い聞かせる。
チューブを機体からはずし、エンジンのプラグをはずし、プロポの電源を入れる。エンジンのマニュアル通りニードルを3回転開く。機体の電源を入れ、プロポでスロットルを全開にする。キャブレターを指でチョークしながらスターターを回す。数回回すとプラグの穴から生燃料が飛び出してきた。
「これでよし。」プラグをエンジンに取り付ける。後はエンジンに火を入れるだけである。
緊張は最高潮に達する。エンコンのスティックを下げ、トリムを少しあげる。
「エンコンのスティックよし、スタントスイッチ、ホールドスイッチよし。」
その他のスイッチも確認し、プラグブースターを付ける。スターターのHEXをカップリングに差し込む。
「ブォーーー」ロータリーエンジンが目覚めた。これがロータリーの音か。思ったよりも賑やかである。しかし、混じりっけのない、純粋な音である。機体の剛性も手伝ってか賑やかだけど今まで使っていた30クラス2サイクルエンジンより静かに感じる。マイルドと言うべきか。
始動性は非常に良い。スターターを軽く回すだけでエンジンは勢いよく回り始めた。
「なかなか気持ちのいいエンジンだな。」
機体を持ち上げ、フィールドに運ぶ。機体から離れ、エンコンスティックを徐々にあげていった。
「ブォーーーァーーーーッ」エキゾーストノイズがスティックに合わせて大きくなっていく。マフラーからは排気がドライアイスのように真っ白に落ちていく。煙の量がすごい。「まだニードルが甘いからな。」ホバリングをしながら思う。それを証拠にローターの回転数も低そうである。
5分ほどすると燃料タンクが空になってきた。煙の量に比例して燃料の消費が激しい。
「ニードルを絞れればもう少し延びるかな?」機体を降ろしながら思う。
後にわかるのだが、この時はまだ本当のロータリーサウンドには出会えていなかった。しかし、この時点でも思ったよりも大きい音だが、サウンドは悪くないと自分で納得していた。この日はこのままのセッティングで数タンクの飛行で終了した。
初飛行の最後にトラブルがあったので対策をし、後日2回目のテスト飛行を行った。
「今日は少し絞ってみるか」
1タンク目は大事をとって全開と同じ3回転で飛行。2タンク目から少しずつ絞っていった。飛行回数を重ねるたびエンジン回転も上がってきた。ある程度絞れてきたとき、その出来事は起こった。いつものようにエンジンを始動し、機体がふわりと浮き始める。ホバリングには入って間もなく、エンジン音がスゥーッと小さくなっていくではないか。最初は耳を疑った。しかし、現実はその疑惑を確実に拭っていく。
「静かだ。確かにこれはモーターだ。」狐につままれたような気分だ。
以前からあちこちでロータリーエンジンはモーターのようだ、という例えを聞いたことがあった。ただそれは振動が少ないだけではないか、音はあまり変わらないのでは?と想像していた。それが見事に覆された。現にレシプロエンジンより静かでなめらかなエキゾーストノイズを生産しながらこの機体は空中に浮いている。
「これがロータリーか。」
初めて感じるロータリーサウンドを浴びながらしばらくこの不思議な感触に浸っていた。
−終−
なぜ音が途中で小さくなったのかいろいろと考えてみました。そしてはっきりは分かりませんが、気が付いたことは、回転が低い内はボディーからの音が大きかったのではないか、ある程度回転が上がってきて共振点をすぎたところで音が小さくなったのではないか、ということです。エンジン自体もある回転数以上回った方が振動が少ない、ということもあるのかもしれません。とにかく私の製作した機体ではこのような現象が起こり、非常に驚きました。ただ、この辺はまだまだ研究してみる必要があると思います。
※追加情報です。
その後の対策でマフラーステーを強化するとノイズが低減し、このような現象が起きなくなりました。どうやらこの辺の振動が大きかったようです。
最後に、この文章を読んで大げさに書いているのでは?とお思いになる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これは私が感じた正直な感想であります。ただ、同じ経験をしても人それぞれ感じるものが違うのも確かです。この文章は、このようなことを感じる人もいるんだなと思っていただければと思います。
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